先週土曜日の1日(2020年2月)正午過ぎ、福岡市の御子神社の防犯カメラにさい銭を盗もうとしている黒ずくめの男が写ると、本殿の扉が突然開き、袴姿の宮司が飛び出てきた。驚いた男は慌てて逃げ出したが、宮司は足を掛けて倒し、押さえ込んだままスマホで警察に通報した。窃盗の疑いで捕まったのは66歳の無職の男で、盗んだ封筒には現金千円が入っていた。

宮司の石橋一成さんは、「実は、若いころに10年ほど空手をしていました」という空手の有段者だった。「正直言って、怖いとは思いませんでした。自分の身よりも誰かの安全とか、ここを守らなくてはとか、そんな使命感があったのかもしれません」

「お金を持って行ってもいいです。でも・・・」

少し変わった方法で、さい銭泥棒を防いだ神社もある。愛知県豊橋市の牛川浪ノ上稲荷社。2011年から12年まで10件ほどさい銭泥棒にやられていた。そこで、神主の鈴木敏夫さんはさい銭箱に手紙と千円札を入れてみた。その手紙には、こう書いた。

「さいせんどろぼうさんへ あなたがもし食べ物もないのならさいせん箱からお金を持って行ってもいいです。(中略)実は私も子供の頃、家のつり銭の引き出しから時々盗んでいました。(中略)でも、あるきっかけがあり、きっぱりと止める事が出来ました。(中略)あなたもきっと変わります。私も応援しています」

その後、2、3回抜き取られたことがあったが、ある時、泥棒から「すべてのさい銭を返します」と書いたノートと大量の1円玉が届いた。以来7年間、さい銭泥棒の被害はなくなった。

堀池亮介アナ「いかがですか」

古市憲寿(社会学者・作家)「そのうちに、さい銭がキャッシュレスになったら、さい銭泥棒も消えてしまいますよね」