インドOYOのアガルワルCEOはなんと今年27歳。国外でのホテル展開は苦戦中ともいわれるが、逆襲なるか?

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インドOYOのアガルワルCEOはなんと今年27歳。国外でのホテル展開は苦戦中ともいわれるが、逆襲なるか?

ソフトバンクグループおよび孫 正義氏が出資したことで知られ、2013年の創業からわずか6年で提供客室数世界第2位のホテルグループとなったインド発の低価格ホテルチェーン「OYO(オヨ)」。昨年日本進出を果たし、都内を中心にサービスを展開している。

日本におけるOYOの事業は主にふたつ。19年3月にヤフーと提携して開始した日本独自の賃貸住宅サービス「OYO LIFE」と、同10月に開始したホテル業の「OYO Hotel」である。

どちらも当初はソフトバンクグループと合同会社を設立して鳴り物入りで始まったが、その勢いは失速しており、事業撤退の噂さえ囁(ささや)かれているという。

なぜOYOは日本で苦戦中なのか、1級FP技能士・古田拓也氏がこう解説する。

「OYO LIFEは敷金礼金仲介手数料なし、家具家電付きと仕組みはレオパレスのマンスリーマンションと同じですが、それに加えてスマホだけで面倒な賃貸契約や退去手続きを完了できる点が強みです。

しかし、ネットで契約を完結させる都合上、内見をしない人も多いため、トラブルの要因にもなっています。『入居しようとしたらすでに誰かが住んでいた』『退去したくても立会人が来ない』など、管理上の不備も数多く報告されているのです。

また、OYO LIFEは不動産の所有者から部屋を借り、そこに同社の手数料を上乗せして部屋をまた貸ししています。そのため、一般的な相場よりも家賃が高く、それも普及の妨げになっています」

このように課題が山積みとなっているなか、昨年11月にはヤフー(現Zホールディングス)関連の役員全員が退任し、出資関係も解消。今年1月には大阪、名古屋での賃貸業からの撤退を発表している。

「巨額の資金を広告費や物件の先行投資に充てすぎているため、バックオフィス管理が行き届いていないようです。また、OYO LIFEの事業責任者を調べてみると、不動産業界に勤めた経験がほぼないコンサルタントばかり。日本の文化や商慣習に合わせたローカライゼーションができていないのも問題の一因となっているようです」(古田氏)

一方、日本で展開を加速させているホテルサービスにも不安が募る。海外メディアによると、OYOは過去数週間で世界200都市からホテル事業を撤退させたという。

そもそもOYOがインドで大成功を収めた裏には、インドならではの事情があるともいわれる。インド在住の日本人(20代・男性)はこう語る。

インドでは婚前交渉はタブーとされています。もちろん一夜限りの関係なんて論外で、人前で言うことさえはばかられる。飲食店でそういう話をしていたら、インド人の友達に制止されたこともあります。

そういった事情から、インドにはラブホテルのような場所がない。そこで若者の救世主となったのが、格安ホテルであるOYOでした。ラブホテルとしてOYOを使うインド人はいますし、私もインド人女性とOYOを使ったことがあります(笑)」

もちろんそれだけが成功の理由ではないだろうが、男女関係に厳格な国だからこそOYOがはやったという側面はあったのかもしれない。

しかし、ラブホ天国の日本には競合相手がひしめいている。賃貸事業だけではなく、ホテル事業も"ローカライゼーション"が足りていないのかも?

取材・文/伊藤将史 写真/時事通信社