有給が取れて年収も高い会社ランキング。不動産管理・賃貸業を展開するヒューリックが1位となっている。

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横浜市にある「ヒューリックみなとみらい」。1位のヒューリックは首都圏を中心に全国に約250のオフィスビルや高齢者住宅などのを所有し、賃貸事業などを展開している (写真:ユフォト/PIXTA)

就活生が気になる項目の1つとして休暇があり、彼らは休暇が取りやすいかどうかをチェックしている。逆にいうと、「休暇がとりづらい」会社は敬遠されているようだ。

厚生労働省の「平成31年就労条件総合調査」では有給休暇の年間平均取得日数は9.4日、有給休暇取得率は52.4%と、前年と比較しそれぞれ0.1日増、1.3ポイント増になっている。


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国や会社も、働きやすい環境を整備し、ワーク・ライフ・バランスの対応を進めた結果、有給休暇の取得日数は、少しずつではあるが、増加傾向にある。ただ、政府は2020年に有給休暇取得率を70%まで引き上げることを目標にしており、まだまだ道半ばだといえるだろう。

では、個別の企業で有給が多くとれる会社はどこか? さらに、給料などの待遇がいい会社でそうした企業がないか、探している就活生もいるだろう。

就活生は休暇が取りやすい会社を望む

そこで、今回、有給休暇取得日数が15日以上の会社をピックアップし、それらの会社を平均年収順に並べ、「年収が高く有給休暇が取りやすい会社ランキング」を作成した。

なお、同順位の際は有給休暇取得日数順に並べている。有給休暇取得日数は2018年度のデータのため、2019年4月より施行された年5日の有給休暇取得義務化の影響はない。

このランキングで、年収1000万円以上の会社は21社となった。

トップは、東京を中心にオフィスビルなどの賃貸事業を手がけるヒューリック。平均年収は1636万円で、有給休暇取得日数は15.4日であった。2位は住友商事(平均年収、1390万円、有給取得日数16.9日)、3位ファナック(1364万円、16.7日)と続く。上位に大手企業が名を連ねる。20位のアジレント・テクノロジーは、医薬・バイオ関連機器を手がける外資系企業だ。

1000万円以上の業種をみると、化学(15位三菱ケミカル、16位三井化学)、建設(14位日鉄エンジニアリング、21位JFEエンジニアリング)、商社・卸売(2位住友商事、8位双日)、証券(11位大和証券グループ、13位SMBC日興証券)、食品・水産(7位サントリーホールディングス、10位サントリー食品インターナショナル)、電機・事務機器(12位ソニー、20位アジレント・テクノロジー)、電子部品・機器(4位東京エレクトロン、19位アドバンテスト)、不動産(1位ヒューリック、5位三菱地所)が2社ずつランキングに入るなど特定の業種が固まるのではなく、さまざまな業種が顔を出している。

実際の取得日数や業種別平均とも比較する

一方、有給休暇取得率が90%以上の会社は33社となった。99位の大手工作機械総合メーカーのDMG森精機は、有給休暇取得日数が21.8日で、取得率が100%を超える。100%を超過しているのは、1年に付与される有給休暇20日をすべて取得し、さらに、これまで繰り越した有給休暇を取得したためだ。

自動車の車体骨格部品メーカーでホンダ系のエイチワン(185位)が、昨年に引き続き有給休暇取得率100%を達成している。

業種別を見ると、自動車部品(74位トヨタ車体、89位デンソー、91位豊田自動織機、108位東海理化、121位豊田合成、137位トヨタ自動車東日本、141位日本発条、172位トヨタ紡織、174位テイ・エス テック、エイチワン、190位ショーワ、192位エフ・シー・シー)が12社と4割弱を占めており、有給休暇の取得に積極的で給料も高い業種とみていいだろう。

有給休暇の付与日数を100%取得できるのは難しく、このランキングでも2社しかない。有給休暇を確認する際は、実際の取得日数や取得率を見てほしい。また取得日数が多いほど、有給休暇を取りやすい雰囲気があるともいえよう。

業種によって、バラツキがあるので志望業種の平均と比較することを勧めたい。ランキングに入っていなくても、業種別で上位に入る、隠れた働きやすい会社も見つかってくるはずだ。『就職四季報』では各種指標の業種別平均を掲載している。うまく活用して休みが取れる働きやすい会社を見つけてほしい。