30日午後、総統府(台北市)で新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大に関して談話を発表する蔡英文総統(右)

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(台北中央社)新型コロナウイルスへの感染が広がっている中国湖北省武漢市から台湾人を帰国させるチャーター機の派遣について、台湾は中国当局からいまだに回答を得られていない。蔡英文総統は30日午後に発表した談話で「国民を迎えに行きたい」と述べ、現地に残る台湾人の帰国に向けて中国側への働きかけを継続していく方針を示した。

ウイルスの感染拡大で移動手段が厳しく制限され、事実上の「封鎖」となった武漢には100人以上の台湾人が取り残されているとみられる。台湾は27日、中国の対台湾窓口機関、海峡両岸関係協会に台湾人を帰国させるためのチャーター機の派遣に関する書簡を送っていた。

蔡総統は、現地に滞在している台湾人が適切な援助を得られることを願うと言及。台湾の対中窓口機関、海峡交流基金会を通じて台湾企業の組織と連絡を取り続けていると説明し、生活や医療上のサポートも提供しているとした。現地の台湾人を帰国させるため、あらゆるルートを通じて中国側と引き続き意思疎通を図っていく方針で、感染防止を優先に帰国者の受け入れ態勢を万全に整える姿勢も示した。

中国がチャーター機受け入れの許可を台湾に出していないことについて、米共和党のマルコ・ルビオ上院議員は29日、ツイッターで関連の報道を引用し、「言語道断だ」と批判した。

(温貴香、葉素萍、江今葉/編集:楊千慧)