新しいテクノロジーを用いてスポーツ業界に革新的な変化をもたらすサービスや製品である“Sports-tech”(スポーツテック)の進化が目覚ましい。

 

今回紹介するスポーツパフォーマンスコンピューター「TYPE-S」は、1月上旬に米・ラスベガスで開かれていたCES2020で正式に発表されたばかり。しかしながら、Yahoo!ショッピングやamazonで購入も可能な、画期的機能を持つスポーツテックデバイスだ。

 

開発したLEOMO,Inc(リオモ)は、米国に拠点を置き、湘南ベルマーレサイクリングチームのGM兼選手という肩書を持つ加地邦彦氏がCEOを務めるスポーツテック企業。2012年の設立以来、世界のトップアスリートとコーチに向けた製品・サービスの研究開発から販売までを手がけている。

 

その強みは、従来はおおがかりな撮影機材などを使用して行われていた動作解析のシステム「モーションキャプチャー」を、アスリートの身体に装着したモーションセンサーによって、実戦や練習の最中に、ほぼリアルタイムで実施・視覚化を実現したところだ。

 

今回発表された「TYPE-S」は、2017年に発表された「TYPE-R」に続くモーション解析デバイスで、専用機だった「TYPE-R」と違い、Android9.0をOSとすることで、より汎用性とリアルタイム性が高まった。

 

↑OSがAndroidであり、nanoSIMカードを装着すればLTE接続できるので、スマホのようなマルチな使い方をすることができる。アスリートは好みのアプリをダウンロードし、ワークアウトやレースにおいてGPSマップを使用したり、写真撮影やビデオ録画も可能

 

スポーツテックデバイスとしての機能は、LEOMO独自のIMU(慣性測定ユニット)センサーを身体に装着し、そこから得られるモーションパフォーマンスインディケーター(MPI)と、カスタマイズ可能な専用のパフォーマンストレッキングアプリ「LEOMO App」による、モーション解析機能の提供となる。

 

一般層にはピンとこないかもしれないが、1分、1秒の世界でしのぎを削るトップアスリートにとって、リアルタイムでのモーションキャプチャーのデータを視認できるという効果は絶大だ。

 

「TYPE-S」は、最大5つのLEOMOモーションセンサーのデータを、接続安定性の高い専用のBluetoothチップを介して受信する。各センサーの3軸ジャイロスコープと3軸加速度計からキャプチャーされたデータは、素早くフィルター処理され、MPIデータとして提供されることになる。

 

さらにTYPE-Sは、パワー、ケイデンス(自転車での1分間のクランク回転数)、速度、ペース、心拍数、高度データなどもトラッキングでき、まさに、アスリートのための“All in One”な商品となっている。

 

加えて、非常に高い多機能性を持ちつつも、クレジットカードサイズのコンパクトなボディで、重量はわずか110g。パフォーマンスの邪魔にならない携帯性も実現している。そして強い日差しの下でも鮮明な3インチの半透過型ディスプレイの採用と、IPX7防水等級を満たすことで、あらゆる環境や天候に対応。別売のパワーマウント(拡張バッテリー)を併用することで、最大18時間の利用を可能としている。

 

LEOMOは、サイクリングの分野においては数多くのトップサイクリストやコーチに利用され、また協業してきたことから、TYPE-Sの発売に伴い、その成果としてアスリートが自分でターゲットとするMPIの値を設定し、実際の数値が乖離すると画面上で確認できるといった画期的な新機能を提供していくという。

 

↑ランニング向けのMPIの開発と普及を加速させるため、著名なケニアのランニングコーチであるティモ・リモ氏や、オランダのスポーツ・エージェント会社Volare Sportsと協業を進めており、3月を目処として、ランニングのMPIの発表を予定している。

 

こうしたスポーツテックの進化によって得られる成果は、トップアスリートの記録の更新だけにとどまらず、データの蓄積と科学的な分析によって、競技レベル全体の底上げや、科学的トレーニングの普及によるケガ防止など、スポーツ全体の進化に寄与することになることは間違いない。

 

LEOMOはランニング以外にも、新たなスポーツ分野に向けたMPIの開発にも着手しており、その進化に期待が集まる。

問い合わせ:https://www.leomo.io/