新体制発表会見で決意を語る猶本。写真:佐藤亮太

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「再び浦和レッズレディースの一員として戦えることを楽しみにしています。日本でプレーするなら最初から浦和レッズレディースという気持ちでした」

 ドイツのフライブルクSCから1年半ぶりに復帰したMF猶本光。加入会見での第一声は彼女らしくまっすぐな決意表明だった。

 今回の復帰は猶本の強い希望だった。昨年10月、猶本側から日本に復帰する場合、浦和にという意向がクラブ側に伝えられた。12月中旬にフライブルク退団が発表されるとすぐ、なでしこ1部の複数クラブがオファーを出したが、気持ちは変わらず、浦和復帰となった。
 
 今回、日本復帰を決断させたのは、”なでしこジャパン”として東京オリンピックの舞台に立つという揺るぎない目標だった。「優勝を目指すレッズレディースで自分が成長し、勝利に貢献できれば代表につながる。そのことに集中したいし、そこしか考えていない」と決意は固い。

 代表入りには、まずクラブでポジションを勝ち取らなければ話しにならないがドイツ帰りの猶本であっても、そう簡単な話ではない。昨季、浦和のボランチは技巧派の柴田華絵とサッカーセンスの塊である栗島朱里がレギュラーを務めた。2人の連携は試合を重ねるごとに洗練され、いまや熟成された不動のコンビとなった。

 個人名は出さなかったものの、栗島は「誰もが安心できる状況ではない。ポジションが重なる選手と切磋琢磨して高めあえれば」と猶本を意識しているのは明らかだ。

 定位置を奪うには、就任2年目の森栄次監督のサッカーにフィットすることが大前提。昨季の基本布陣は4−2−3−1で、ポゼッションを高め、ボールを奪われると前線から果敢にプレスをかけるのがスタイルだ。攻守において近いポジション同士が互いを補いながらゲームを進める、いわば相互補完型。ひとつのポジションを粛々とこなすのではなく、試合の流れを読みながら流動的に動いてプレーするサッカーセンスが求められる。
 
 選手の特長を見極めることに長けた森監督は、猶本の起用について「これから見て判断したい」と前置きしつつ、「トップ下での起用もあるかもしれない」とコンバートを示唆。より攻撃的な位置に置くことで良さを引き出し、プレーの幅を広げる狙いがある。昨季の布陣に照らせば、柴田・栗島のダブルボランチの前方にトップ下の猶本を配すれば、共存は可能だ。

 とはいえ、たとえレギュラーを勝ち取っても、すぐ代表に招集させるかは分からない。それは重々承知している。「未来のことは誰にも分からない。サッカー選手である以上、ポジション争いは当たり前。自分が成長するだけ」と覚悟を持って代表復帰を目指す。
 
 ドイツ帰りの猶本の変化にいち早く気が付いたのが、FW安藤梢だ。身体が「でかく」「ゴツく」なっていたという。猶本とは大学の先輩後輩であり、姉妹のようであり、お互いドイツでのプレー経験のある同志のような関係だ。

 自身と同じ道を辿るように浦和に復帰した猶本に、自身の経験を踏まえ、安藤はこう伝えたという。

「出て行った、帰ってきたと大袈裟にすることはない。プロとして、どこでやりたいか、どこに求められているのかが大事だから」

 更なる成長を求め、浦和に帰還した猶本光。覚悟の先にあるものは――。

取材・文●佐藤亮太(レッズプレス!!)

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