映画ファンから高評価される「ヤクザ映画」おすすめ10本のあらすじをまとめて紹介。

仁義なき戦い』(1973)

舞台は敗戦直後の広島・呉市。復員してきた広能(菅原文太)は、暴漢射殺によって刑務所に収監されるが、そこで地場のやくざ土居組の若頭・若杉(梅宮辰夫)と兄弟分となる。釈放後、実業家出身のやくざ山守組の組員となるが、敵対する土居組の組長を暗殺したことから厄介者扱いされるのようになるのだった。

第二次世界大戦終戦直後に起きた「広島抗争事件」の渦中のひとり美能組元組長の獄中記をもとにした飯干晃一によるノンフィクションを原作に、日本映画界の巨匠深作欣二監督が映画化。製作の東映は1960年代の任侠映画から、現代やくざ社会のリアルな実態をえぐり出す実録ものに切り替えた。

『ゴッドファーザー』(1972)

20世紀初頭、イタリア南部の貧困を逃れ新天地アメリカへ移民として貿易会社を成功させ、やがて誰もから尊敬を集める大ファミリーのドンへと上り詰めたヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)。彼は三男マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)にだけは堅気の人間として全うな道を歩んでほしいと切に願っていたのだが……。

アメリカの作家マリオ・プーゾの同名小説を原作に、巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督が映画化。シリーズを通してイタリア系マフィアの深い家族愛を描いた作品として多くの映画ファンの心を摑み、屈指の目名作として映画史にその名を刻んでいる。

『ソナチネ』(1993)

北嶋組傘下の村川組組長・村川(ビートたけし)は、友好やくざの抗争の助っ人として沖縄に送り込まれる。しかしそれは村川を陥れるための幹部たちの策略であった。子分たちが次々襲撃され、想像だにしなかった修羅場に村川はひとり孤軍奮闘するのだが……。

『その男、凶暴につき』(89)で圧倒的存在感を放ち監督デビューを果たした北野武監督第4作目となる本作。灼熱の沖縄のむせ返る雰囲気の中、無慈悲な殺しの場面が鮮やかなコントラストを成す。第46回カンヌ国際映画祭では高い評価を受け、世界中に北野ファンを獲得した記念すべき監督作品。

『アウトレイジ』(2010)

巨大暴力団組織山王会。組長の関内(北村総一朗)から直参の池元組組長・池元(國村準)について指摘を受けた若頭・加藤(三浦友和)は、池元に直参ではない村瀬組への締め付けを命令する。そこで池元は下部組織である大友組組長・大友(ビートたけし)に汚れ仕事をさせようとするのだが……。

『その男、凶暴につき』(89)での監督デビュー以来、『HANA-BI』(98)や『座頭市』(03)など多くの監督作が世界的評価を得ている北野武監督が放つ本格派バイオレンス・アクション。豪華オールキャスト陣がやくざに扮し、激しい抗争の物語を繰り広げる。

『新しき世界』(2013)

警察官であるジャソン(イ・ジョンジェ)は、韓国最大の犯罪組織ゴールドムーンに潜入して8年が経ち、組織の重要なポストに就いていた。ある日、組織の会長が急死したことから後継者争いが勃発。それを好機とした警察側は犯罪組織壊滅を目指す「新世界プロジェクト」を開始するのだが……。

潜入捜査官が両組織の板挟みになる葛藤を描く本作は、サスペンス感覚に溢れた韓国版『インファナル・アフェア』として話題となり、本国で大ヒットを記録。監督は『悪魔を見た』(11)の脚本家パク・フンジョンが担当。ハリウッドでのリメイクも決定している。

『地獄でなぜ悪い』(2013)

武藤組組長・武藤大三(國村準)は、娘ミツコ(二階堂ふみ)を映画デビューさせたいがために、自ら映画を製作することに。ひょんなことから映画監督に間違えられた公次(星野源)を筆頭にスタッフは子分たちで構成。そこへミツコに恋する敵対やくざ池上組組長・池上純(堤真一)も加わり思わぬ方向へ進むのだった。

『愛のむきだし』(09)や『冷たい熱帯魚』(10)など多くの作品で異彩を放ち続ける園子温監督がインディペンデント時代に執筆したオリジナル脚本を映画化。鬼才監督が放つエキセントリックな任侠コメディの魅力は計り知れない。

『日本で一番悪い奴ら』(2016)

北海道警察の刑事・諸星要一(綾野剛)は、ベテラン刑事の村井(ピエール瀧)に裏社会に潜り込みS(スパイ)を作るようにアドバイスを受ける。言われるがままに、“S”を率いて、「正義の味方、悪を断つ」の信念の元、規格外のヤバすぎる操作を全うしていくのだが……。

2002年に実際に起きた警察内の汚職事件をモチーフに『凶悪』(13)など骨太なバイオレンス描写に定評のある白石和彌監督が映画化した本作。主演の綾野剛は見事な熱演で俳優としての実力を発揮し、先輩刑事役のピエール瀧は前作に続き白石監督とタッグを組むこととなった。

『アウトサイダー』(2018)

日本の刑務所に収監されていた元米兵のニック(ジャレッド・レト)。そこで大阪に拠点を置く白松組の清(浅野忠信)の脱走を助けたことから二人は強い絆で結ばれる。出所後、ニックは白松組の世話になり組長と杯を交わすのだが、清の兄弟分であるオロチ(椎名桔平)がニックを排除しようとするのだった。

『スーサイド・スクワッド』(16)でポップなジョーカーに扮し話題となった人気俳優ジャレッド・レトを主演に、『ヒトラーの忘れもの』(15)などのマーチン・ピータ・サンフリトが監督を担当したNetflixオリジナル作品。全編オール日本ロケが敢行され、大阪のやくざ社会を生き抜こうとする元アメリカ兵の奮闘が活写される。

『孤狼の血』(2018)

昭和63年、広島。地場の暴力団尾谷組と、新たに進出してきた加古村組との抗争が始まろうとしていた中、加古村組の金融会社社員が失踪。殺人事件の臭いをかぎつけたベテラン刑事・大上(役所広司)と新人の日岡(松坂桃李)が捜査を開始するが、やくざと警察を巻き込んだ血で血を洗う応戦が激化するのだった。

柚月裕子による長編小説シリーズを『凶悪』(13)の白石和彌監督が映画化。菅原文太主演の大人気実録やくざ映画シリーズ「仁義なき闘い」の舞台ともなった広島でオールロケを敢行し、特有のバイオレンス描写で白石節を炸裂させた。主演の役所広司はマル暴刑事をエキセントリックに熱演し、圧倒的存在感を放った。

『アイリッシュマン』(2019)

アイルランド系アメリカ人のフランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)は、マフィアから様々な汚れ仕事を請け負うことで下部組織の人間として立身出世を目指す。仕事一筋の彼は組織のために友を殺し、家族からも見放されるが、組織の秘密だけは遵守し続けるのだった。

巨匠マーティン・スコセッシ監督の下に往年の名優たちが集結。主人公フランク・シーランを演じるロバート・デ・ニーロ他、アル・パチーノ、ジョー・ペシの錚々たる面々による演技合戦では、どの表情も凄みを帯びている。これまで多くのギャング映画を手掛けてきたスコセッシ監督らしい全体像はキャリアの集大成を成している。

【文・チャーリー】

※本記事で紹介する映画は国内最大級の映画レビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」のデータに基づいてセレクトしたものです。