センバツ出場が決まり喜びを爆発させる仙台育英ナイン【写真:編集部】

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アプリで「ルールも発表」、選手に説明「何にこだわるのか、そもそも何枠あるのか」

 第92回選抜高等学校野球大会(3月19日開幕)の出場校が24日に決定し、仙台育英(宮城)が3年ぶり13度目の出場を決めた。昨秋の東北大会で3年ぶり10度目の優勝を果たし、順当に選出。2018年1月1日に就任した36歳の須江航監督はデータを共有するアプリなどを駆使し、チームを作ってきた。

 選抜では東北勢初の甲子園制覇に期待がかかる仙台育英。部員72人から18人のメンバーを選考する作業が始まっており、まだまだ寒い宮城県で25日からは紅白戦も実施していくという。

 現状では、すでに“内定者”も出ている。須江監督は「11月の神宮大会が終わってから今日まで、野手は打撃練習9割、守備1割くらいでやってきました。ここから実戦の中での動きと、ディフェンスについてちゃんとやらないといけないかなと。昨年の秋に活躍して実績が十分、かつ練習での質の違いもしっかり見せている、“野球力測定”みたいなのもやっているので、それでも上位にきているようなトップ10くらいの選手は今ほぼ(メンバー入りが)内定している感じです。選手にも伝えました。スターターになるであろう選手たちは選出していて、ここから7〜9枠を(残りの)63人くらいで争っていくわけです」と説明。実際にデータも選手たちに開示している。

「データで送って、紙ベースでも渡しています」というが、役立っているのがアプリ。須江監督は「『スラック』というビジネスアプリみたいなやつをうちは使っているので。みんなが共有できるやつでそこに載せて、見てもらって、ルールも発表しています。何にこだわるのか、そもそも何枠あるのか。代打候補は何人で、内野手で1枠、外野で1枠とか、代走があるのかとか……。さらに、18人登録の中でピッチャーは何人が入るのか。野手兼任が入れば5人、入らなければ6人とか。あとは、第3キャッチャーはいるのかどうかとか。そもそも第3キャッチャーはなぜいるのか、いらないのかとか……」と説明する。

「18人しか入れない。その価値を選手と理解しながら準備したい」

 そして、「選手を決めるのは何にこだわるのか」も示しているという。

「ピッチャーならストライク率とか四死球率とか、空振り率とかそういう細かいのがあるんですけど、その上位が(メンバーに)入っていくとか。野手なら出塁率と打率で見るとか、並んだらOPS(出塁率+長打率)で見るとか、様々ですね。ピッチャーはもっと細かく、特殊な適性があるのか(も見る)。奪三振率が高いとか、もしくは右バッターへの被打率がすごく低いとか、その逆とか、そういう様々な項目があります」

 指揮官は今回の選抜は“本命不在”と見ており、仙台育英も「上位10校くらいにはなっている」と客観的に評価。ここから本番までの2か月の過ごし方で、優勝のチャンスは「十分にある」と考えているが、そのためには選手選考も鍵を握ることは間違いない。あらゆる状況に対応するためのメンバー構成にしていくというのだ。

「組み合わせ抽選が早ければ抽選を見て選手を決められますが、そうではない。登録してから組み合わせ抽選があるので(それを考えて選手を)配置しておかないといけません。今の段階でうちが負ける展開は明確です。勝つ時は偶然はありますけど、負ける時は必然しかない。負ける時はピッチャーが崩壊したときです。つまりどうなっていくかというと、守備的な選手よりも最後に追い込まれたときに打力のある選手が求められます。そこらへんのバランスの最後の1枠ですよね。(ベンチには)18人しか入れないので。その価値を選手と理解しながら準備したいです」

 アプリも使ったオープンな選考でメンバーを固めていく。東北勢初の甲子園制覇へ、仙台育英は着々と準備を進めている。(Full-Count編集部)