Dropbox Japanは1月24日、都内で記者会見を開き、日本国内のナレッジワーカー/企業・組織の有識者800人(製造業、運輸業の一般職除く)を対象とした企業の創造性とITツール利用に関する実態を調査し、結果を公表した。

今回の調査は、企業や組織におけるチームでのコミュニケーション/コラボレーションとITツール利用について、現状どうなっているのか、どういった課題感があるのか、理想としてどうなってほしいかなどの実態を把握し、コラボレーションを起こしていくことに対する市場ニーズを明らかにした。調査方法はインターネットリサーチ、調査地域は全国で対象者は22歳〜69歳の男女となる。スクリーニング調査を昨年10月24日〜25日、本調査を同日〜26日の期間で行った。

冒頭、Dropbox Japan ジャパン マーケティング リードの上原正太郎氏は「圧倒的なテクノロジーの進化、データ量の増加、ブロードバンドの高速化、スマートフォンの普及などにより、生産性の向上が見込まれるはずだが、現実は厳しい」と話す。

Dropbox Japan ジャパン マーケティング リードの上原正太郎氏

そして、同氏は「マルチデバイス化や多くのアプリケーションの登場に伴う急速な複雑化が挙げられる。昨今では、アプリケーションごとに異なるインタフェースに配慮が必要となる一方で、デバイスは未読メッセージや通知であふれている。また、アプリケーションの平均数は、この3年間で43%も上昇しており、つながりのないツールで生産性を向上させることは容易ではなく、コミュニケーション疲れといった弊害も発生している。そのため、アプリケーション、メッセージ、人間が、どのようにストレスを感じないコミュニケーションをしていくかということが背景にあるため、調査を行った」と今回の調査の意義を説明した。

ITツールの利用により、業務効率が向上したと感じているのは調査対象者全体の約4割(39.3%)となり、特に20代ではコミュニケーション効率の改善を感じる傾向が強く「仕事相手とのやりとり、コラボレーションがしやすくなった」「業務上のやりとりにおけるストレスが軽減した」と答えた回答者の割合は、それぞれ56.8%、45.5%となった。

一方、50代に着目するとこの傾向の数字は書く30.7%、31.7%にとどまっており、特に全社では20代と比較して約25ポイントの差があることから、20代・30代を中心にITツールの利用効果を強く実感しており、特に「仕事相手とのやりとり、コラボレーションがしやすくなった」という点に利点を見いだしている傾向が浮かび上がったという。

ITツールの活用により、コミュニケーションやコラボレーション面を中心に利便性が上がる一方、業務への弊害も明らかになっており、「業務時間外のメール・チャット対応が増えた」(37.3%)、「欲しい情報が探しにくい」(32.0%)、「ツールが多すぎて気が散る」(30.9%)など、集中して業務に取り組むことが困難になっていることがうかがえる。特にデジタルツールの利便性を強く体感する20〜30代の層では、これらの弊害を強く感じる傾向となっている。

例えば、20代の47.7%、30代の44.7%が「業務時間外のメール・チャット対応が増えた」と回答しているほか、「ツールが多すぎて気が散る」と回答した20代は37.5%となっており、シニア層と比較すると各10ポイント前後の差が出ている。これはITツールの利用が浸透するとコラボレーションが容易になる一方で、仕事に集中できなくなると感じる層が将来的に増えていくことを示唆しているという。

ITツールの利用効果に対する実感に世代間ギャップが生じている

次に、所属する企業・組織について「事業の収益性」「事業の成長性」「従業員の業務に対する満足度」の点で高い評価をしている企業を「好調な企業」と定義し、コミュニケーションやひらめきに関する傾向を調査。各項目のスコアが高い層では「色々な人を巻き込んでオープンにディスカッションし、新しいひらめきのもとビジネスを行うこと(オープンコラボレーション)」の重視度が高い傾向があることがわかった(各項目スコア平均81.7%)。

「好調な企業」はオープンコラボレーションを重視しているという

上原氏は「オープンコラボレーションを重視している企業の回答者の8割は(オープンコラボレーションを)重要だと認識しており、業績につながっている。オープンコラボレーションから得られモノは『ひらめき』だ」との認識を示した。

ひらめきを得るために必要なこととしては、情報共有や状況はアテク、ステータスの可視化、プライベートの時間、多様性に富んだ社員、アウトプットに対しての正しい評価システム、感謝の気持ちを伝える制度・環境に対する意識が高いことが判明した。

ひらめきを得るために必要なことの調査結果

また、社内で新しいアイデアを出してくる人について尋ねたところ、「みんなが積極的にアイデアを思いついている」と回答した調査対象者は、全体の16.9%と低い結果となったが、企業の成長性が高い層や従業員の業務に対する満足度が高い層では、それぞれ24.5%、24.1%となり、平均より高い水準であることが明らかとなった。

ひらめきは、みんなが積極的に思いついているという結果になった

さらに、みんなが積極的にアイデアを思いついている層は、ひらめきのための情報交換について「自分のデスクで雑談(51.1%)」「社内のコミュニケーションスペースや休憩室などでの雑談(44.4%)」「ランチタイム(34.1%)」「飲み会(33.3%)」をはじめとした公式な会議以外の場所で行っていることがわかったという。

情報共有は雑談から生まれることが多い

同氏は「依然としてオフィスにおけるコミュニケーションスタイルは、さまざまではあるものの、場所によっては20〜30年と変わらない『化石化したコミュニケーション』の企業も多くあるのが実情だ。このことは、われわれとしても危機感を持っている」と述べていた。

その上で、今回の調査で見えてきたトレンドとして上原氏は「ITツールが浸透するとコラボレーションが容易になる一方で、仕事に集中できなくなると感じる層が将来的に増加していく可能性があるため、ルール作りなどの環境整備が重要になる。そして、好調な企業はオープンコラボレーションを重視していることから、業務においてより良いコラボレーション、ひらめき/創造性に関するディスカッションを喚起することで企業は成長できるのではないか」と説明していた。

今回の調査から見えてきたトレンドの概要