美食が集まる東京でも、世田谷は真の実力店が集う街。

それは、本物の味を求める人が住まう街だから、といえよう。

「日々を豊かにする世田谷の話題店」連載、『焼鳥せきや 』に続く2軒目がこちら。

昨年トレンドにもなった「タコス」の名店が三軒茶屋の住宅地にある。

フルコースでいただく、大人のタコスとは一体どんな内容なのか?



テーブルも備わるがカウンターが特等席。焼き立てタコスが手渡される

三軒茶屋の大人たちは、ブルーのトルティーヤに舌を巻く
『ロス・タコス・アスーレス』@三軒茶屋

通称・三角地帯を筆頭に駅周辺はいつも賑わう三軒茶屋。

しかし、世田谷を知り尽くす大人が向かう店は、繁華街の雑踏から離れた閑静な住宅街に。

夜になると連日のように予約のゲストが詰めかける。それが『ロス・タコス・アスーレス』。

メキシコ料理店だが、ソンブレロにマラカスなどというステレオタイプを想像するのは早計。

昭和な家屋をリノベーションした1階は、白木のカウンターが主体で、明るく洒落た印象。早くも先入観は覆るのだ。



メキシコの在来種「ブルーコーン」を特注の機器で毎朝製粉し、捏ねも自ら。提供する直前に一枚一枚プレスして成型した後、鉄板で丁寧に焼き上げる。生地だけで食べても抜群。トウモロコシの香味がしっかり感じられる


料理も驚き。タコスのフルコースだ。トルティーヤ(生地)はメキシコから在来種のトウモロコシを直輸入、本国の伝統製法に則り、毎朝製粉する自家製で、常に焼き立てを供す。



短角牛とチレアンチョのタコス(コース+¥1,100)。チレアンチョとは青唐辛子を完熟させ、干した赤黒い唐辛子のこと


「最も美味しいを目指した結果」とメキシコ出身の店主、マルコ・ガルシアさん。

ベストを目指し、近海物の金目鯛など、具材も厳選。日本の旬の食材に終始することで、タコスの既成概念まで覆すのだ。

その志は清々しく、心から寛げる本物の時間を提供する。世田谷で愛されるのは道理だろう。



「短角牛とチレアンチョのタコス」の中に2日間低温調理した牛の燻製コンフィを詰めている。

トスターダ3種。コースの序盤を飾る揚げトルティーヤで、本日は北海道天然ブリ、ホシガレイのセビーチェ、蟹の内子乗せ。料理はすべて前日までの要予約で全8品の「タコスOMAKASEフルコース」¥7,600より



魚タコス。この日は金目鯛。チレアンチョのソースで付け焼きにしており、アボカド、青唐辛子のコンフィのほか、青梅産の有機パクチーなどを添えて



上質な設えは「メキシコ×日本」をテーマにマルコさんと知人の建築家がコラボ。「叢」のサボテンも飾られる
【店主に聞いた】そんな『ロス・タコス・アスーレス』の大人な客層


女性グループが4割だが、意外と多いのが日本在住外国人のひとり客。美味を知る年配男性が女性を連れるデートもよく見かけるとか。