【山崎俊輔】オタクが「幸せな老後」を送るには?絶対に知るべき「お金の使い方」 月1万円以上、趣味にかける人は要注意

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できるだけラクにお金を貯め、最短でお金を増やすには? お金のライフハック=「マネーハック」を提唱するのは、ファイナンシャルプランナーで著書『大人になったら知っておきたいマネーハック大全』を刊行した山崎俊輔氏だ。好きな趣味があると、どうしてもお金を使ってしまいがち。しかし、それが老後破綻を招くとしたら……。出費コントロールのコツを、お金のプロに教えてもらった。

どう予算をコントロールするか

昔、日経新聞電子版の連載で「月に1万円以上つぎ込んだら、お金をかけすぎの趣味と心得よ」というコラムを書いたらすごい勢いで炎上したことがあります。その日のYahoo! のバズワード1位になってしまい、SNSでずいぶんからまれました。

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ちゃんと読んでいただければ、「1万円以上つぎ込んでもいい。しかしそれがそれなりの予算となっていることを認識しなければならない」という話であって、「趣味にお金を使うな」と言ったわけではありません。

しかし、「予算なんか気にせずつぎ込むようになって初めて趣味人といえるのだ」と豪語するような投稿をずいぶん目にしました。

確かに趣味にハマった人の末路として、ほとんどの収入をつぎ込むような人がいるのは確かです。骨董品を蒐集するような人はその典型でしょう。

趣味の予算コントロール問題は家計にとっては重要な問題です。趣味にノーリミットで予算を突っ込むのは愚かなことです。なぜなら、そういう人は「老後に趣味人としての死」を迎え「生きながら死ぬ」老後を過ごすことになるからです。

趣味に費やす自由な時間は現役時代より老後のほうが圧倒的に長くなります。22歳から65歳までを「現役」、65歳以降を「老後」と大きくふたつに分けてみます。

最初の43年のあいだ、平日は1日2時間、週末は1日12時間、自由な時間を過ごしたとします。ざっと概算すれば、7万6000時間が自由な時間です。ゲームをしたり映画やアニメをみたり、友人と話をしたりして過ごします。

老後のほうが自由時間は長い

老後はどうでしょうか。年金生活に入ると「サンデー毎日」、つまり毎日が日曜日の時間がやってきます。会社に行く必要はなくなりますから自由時間のすべてを趣味につぎ込むことも自由です。

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人生100年といわれます。100歳ではなく仮に90歳までは自由に趣味を楽しむとすれば、25年の老後がある計算です。先ほどと同様、毎日12時間の自由時間とすれば合計で10万9500時間が老後に獲得できる自由な時間ということになります。

実は老後のほうが、趣味に邁進する時間がたくさんあるのです。ところがそれも「お金」あっての話です。老後の趣味だろうとお金はかかります。いくつかの業界ではシニア割引はありますが、それでもお金は必要です。

年金生活の夫婦の毎月の不足額のほとんどは日常生活費ではなく「教養・娯楽費」と「交際費」です。

総務省の家計調査年報(2018年)では、年金生活をしている夫婦の赤字が月4.2万円のところ、「教養・娯楽費(24239円)」「交際費(25596円)」の合計が4.9万円となっています。この数字は一貫してほぼ拮抗しています。つまり老後に飲み食いできないのではなく「老後に趣味をエンジョイするために2000万円を確保する」と考えるほうが現実の解釈といえます。

つまり、老後の趣味についてのお金の問題をどうするかが「老後2000万円」問題の本質であり、「オタクとしての幸せな老後」を確保するカギなのです。

目の前の出費を少し抑える

私の友人や後輩にはオタクが多いのですが(私自身もオタクなので「類は友を呼ぶ」ということです)、「好きなアニメのフィギュアを3つ買う」という話があります。いわく「開封して遊ぶ用途」「観賞用に飾っておく用途」そして「保管しておく用途」のため3つ買うのだそうです。

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マネーハック的には「フィギュアは買っていい」と思います。趣味は生きがいの要素でもあり、これを全否定する必要はまったくありません。むしろ趣味の予算を削ることばかり推奨するFPのアドバイスは断ってもいいくらいです。

しかし「3つは買わず、残ったお金を自分の老後に繰り越せ」とはアドバイスします。例えばそのお金を老後に向けて繰り越すことができれば「老後に別のオタク消費ができる」ことになるからです。

消費意欲が旺盛な人であれば、「老後に2000万円では足りない」という人もいるはずです。何せ毎月5万円ではなく8万円は使いたいというのなら、年約100万円、30年以上の老後を見据えれば3000〜3500万円は「リタイア後のオタク予算」に消えていくことになるからです。

つまり、マネーハック的にいえば「目の前のオタク趣味を削る(ただしゼロにはしない)」ことが「未来のオタク趣味の予算に置き換えられる」ということです。

自分の長い人生を考えて、将来の自分もオタクであるため、老後のための資産形成を行っていくと考えてみるのは、ちょっと愉快ではないでしょうか。

少なくとも「飲み食いできないから老後の貯金をする」と考えるよりはやる気が出てくるはずです。