●3DMark / Unigine SuperPosition

年明けのCESで存在が明らかにされ、そして1月14日に詳細が語られたRadeon RX 5600 XTであるが、やっと発売日を迎える事となった。これに先立ち、評価機が手元に届いているので、その性能をご紹介したいと思う。

Photo01: Radeon RX 5500 XTは普通に横型のパッケージだったが、なぜか珍しい縦型パッケージ。


○◆評価環境

今回手元に届いたのは、このスライドで右から2枚目の、SAPPHIREの製品である(Photo01〜06)。ミドルクラスの製品にしてはやけに放熱周りが厳重という印象を受けるが、テストの結果を先取りして言えば、これだけの放熱機構が必要な製品であるという事だ。

Photo02: 一見寸詰まりの2ファン構成に見えるが、実は250mmの長さがあり、結構大きい。ファン直径は95mm。


Photo03: 裏面もフルカバード。カバーが基板より一回り大きい事が判る。重量は840g(実測値)。


Photo04: 出力はDP×3、HDMI×1。背の高さ(ヒートパイプの突き出しを含んで120mm)がこのアングルだとよくわかる。


Photo05: 普通ならばこのアングルで補助電源コネクタが見えるのだが、ヒートシンクとカバーに隠れて見えない。


Photo06: かなり奥まった場所に8pinの補助電源コネクタが隠れている。


さてこのRadeon RX 5600 XTであるが、実は3種類のBIOSが提供されている。Photo07が到着時に入っていたBIOS(113-4E4111U-X49)、Photo08が後追いで提供されたSilent BIOS(113-4E4111U-O4C)、Photo09がPerformance BIOS(113-4E4441U-X4B)である。

Photo07: 違うのはPCIe 1.1程度で、あとは見かけ上Photo08と同じ


Photo08: AMDによればGame Clock 1615MHz、TGP 135Wとされている。それはともかく、これでBase Clockが1560MHzと判明した形。


Photo09: Game ClockはBase Clockと同じく1615MHz。TGPは160Wとされている。


スペックなどを見る限りではPhoto07とPhoto08はほぼ同じに見えるのだが、よく見ると元々のX49ではPCI Expressがx16ながらPCIe 1.1相当での動作になっている。Silent BIOSの方はちゃんとPCIe 4.0での接続で、これが恐らく通常出荷用のものと思われる。一方のPerformance BIOSの方だが、こちらは動作周波数を引き上げるのみならず、メモリクロックも14Gbpsに引き上げているという代物である。先の記事にも書いたが、OEMがGDDR6 14Gbpsチップを実装するのは許されない筈で、なのでこれはGDDR6 12Gbpsを14Gbpsにオーバークロック動作させているという事になるが、それを許すくらいなら最初から14Gbps品の実装を許せよという気もしなくはない。これに関してはAMDの正式見解を問い合わせ中だが、現時点では返答が無い。とりあえずテストは、Silent BIOS(つまりPhoto08)とPerformance BIOS(こちらはPhoto09)の両方でテストを行っている。

さて、そのRadeon RX 5600 XTであるが、"Ultimate 1080p Gaming"という位置づけで、競合はGeForce GTX 1660 Super/1660 Tiという説明がなされ、ベンチマーク結果もこれを意識したものであった。そんな訳で今回は比較対象として、こちらの記事で利用したINNO3DのGeForce GTX 1660 Super、それと以前こちらのレビューをした時にGeForce GTX 1660 Tiとして利用したASUSのROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMINGを比較対象用に用意した。

その他のベンチマーク環境は表1に示す通りである。昨年まではCore i9-9900Kをベースにした評価環境を使ってきたが、さすがにPCI Express Gen4が動かないとか、DDR4-3200が定格で動かないといったプラットフォームはそろそろ更新の時期であり、今回からRyzen 7 3800Xをベースにした環境に切り替えている。

なおグラフ中の表記は以下のようになる。

1660 Super:INNO3D GeForce GTX 1660 Super

1660 Ti:ROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMING

5600 XT:SAPPHIRE PULSE RADEON RX 5600 XT(Silent BIOS利用)

5600 XT OC:SAPPHIRE PULSE RADEON RX 5600 XT(Performance BIOS利用)

また、原稿中の解像度の表記は次の通りだ。

2K:1920×1080pixel(Full HD)

2.5K:2560×1440pixel(WQHD)

3K:3200×1800pixel

4K:3840×2160pixel

○◆3DMark v2.11.6857(グラフ1〜6)

UL Benchmarks

https://benchmarks.ul.com/3dmark

細かくUpdateされ続けている3DMarkであるが、最新の2.11.6846では遂にIce StormとCloud GateがUpdate終了となり、画面からも消えた("Show unsupported tests"というチェックボックスにチェックを入れると出現する)が、どうもこのバージョンのUpdateはそれだけらしい。そんな訳で今回は、IceStormとCloudGateの結果を紹介する最後の機会になってしまった(筆者はコマンドラインから起動するので、IceStormもCloudGateも普通に実施できる)。

グラフ1


グラフ2


さてそんな訳でまずグラフ1と2がOverallであるが、定格のRadeon RX 5600 XTはGeForce GTX 1660 Tiと比較して「ちょっと上」といったスコア。そしてPerformance BIOSを使うOC版はここから更に伸びる感じである。グラフ2のFireStrike(DX11)、それとTimeSpy(DX12)が一番シナリオ的に近いと思うが、

GeForce GTX 1660 Super < GeForce GTX 1660 Ti < Radeon RX 5600 XT < Radeon RX 5600 XT(OC)

という関係が明白で、しかもそれぞれの性能差が大体均一になっている感じだ。

グラフ3


グラフ4


これは主にGraphics Test(グラフ3〜4)の性能差がそのまま、というのはもうグラフからも明白である。個人的には、これまでだとグラフ3のIceStorm UnlimitedとかではNVIDIAの方が有利なケースが少なくなかったが、今回はちゃんとNVIDIAを打ち破る性能を出しているところが非常に興味深い。

グラフ5


グラフ6


Physics/CPU Test(グラフ5)の結果はほぼ同等で、これは逆に同等でないとおかしな話なので、そういう意味では変なことはしてないのが確認できた形になる。ちょっと面白いのがCombined Test(グラフ6)の結果。SkyDiverのみ、NVIDIAの方がやや有利な結果になっていることだろうか。ただFireStrikeではAMD有利という傾向になっている。

全体としてみれば、確かにRadeon RX 5600 XTの基本性能がGeForce GTX 1660 2製品と十分拮抗できている事を示すものになったと思う(もっともゲームではまた別の傾向になる事も珍しくないが)。

○◆SuperPosition v1.1(グラフ7〜9)

Unigine

https://benchmark.unigine.com/superposition

ちょっと悩んだのだが、これに関しては以前同様に

DirectX、Shader Quality/Texture Quality Medium、Depth of Field/Motion Blur有効

の設定で実施している。

グラフ7


グラフ8


グラフ9


さて、フレームレートは御覧の通り。明白に性能差が全ての解像度で示されているとして良いと思う。Radeon RX 5600 XTはOCしなくても2Kには十分な性能だし、2.5Kですら60fpsを確保できている訳で、確かに"Ultimate 1080p Gaming"に恥じない性能ではあると思う。

●Borderlands 3 / F1 2019 / Far Cry New Dawn

○◆Borderlands 3(グラフ10〜19)

2K Games

https://borderlands.com/ja-JP/

設定方法はこちらの記事の"Borderland 3"を参照。画質については、"中"(Medium)と"高"(High)の両方を試してみた。これはこの後のテストでも共通だが、AMD自身が"Radeon RX 5600は画質を最大にしてもちゃんと60/90fpsを超える性能を確保できる"と説明しているためで、通常ミッドレンジクラスのGPUの場合は画質も中くらいでテストを行うが、これに加えて1段上の画質も試してみる事にした形だ。

グラフ10


グラフ11


グラフ12


ということでまずは画質"中"(グラフ10〜12)。これだとRadeon RX 5600 XTは3Kでもプレイ可能という感じである(最小フレームレートが50fpsを確保しているから、十分可能な範囲だろう)。GeForce 1660系は2.5Kまではなんとか、という程度で明確に差が出ている。

グラフ13


グラフ14


グラフ15


では画質"高"(グラフ13〜15)は? というと、確かに2.5K以上はどの製品もかなり厳しくなっている。ただ2Kに関して言えばRadeon RX 5600 XTは最小フレームレートですら60fps超え、OC版では更にゆとりがあり、確かに"高"でもプレイに支障はなさそうだ。

グラフ16


グラフ17


グラフ18


グラフ19


グラフ16・17が画質"中"、18・19が画質"高"のフレームレート変動であるが、見事に全ての製品のグラフが分離しており、明確に性能差がある事を示している。グラフ18を見ると、Radeon RX 5600は画質"高"でも十分プレイ可能だし、2.5Kのグラフ19ではOC版ならプレイは概ね快適だろうと想像される。GeForce GTX 1660 Tiはグラフ19ならなんとか、という感じでグラフ19だとちょっとストレスがありそう。GeForce GTX 1660 Superは当然これを下回っている。

○◆F1 2019(グラフ20〜29)

Codemasters

http://www.codemasters.com/game/f1-2019/

設定方法はこちらの記事の"F1 2019"の項目を参照。さてF1 2019の場合、DX12ベースとは言いつつも軽いゲームであり、実際GeForce GTX 1660 Superのレビューの際も画質そのものは"Ultra High"で行っている。一応今回は画質そのものはUltra High固定としつつ、画面設定でAnisotorophic Filterを4xの場合と16xの場合で比較してみた(勿論16xの方が若干ではあるが、重くなる)。

グラフ20


グラフ21


グラフ22


ということでまずは4xの結果(グラフ20〜22)であるが、こちらもほぼBorderland 3に同等。もっとも2.5KでもGeForce GTX 1660 Superが平均で60fpsオーバー、最小フレームレートで50fps超えだから、実はこの範囲だと性能差はあるにしてもどのビデオカードでもプレイできる、とは言える。実際この2.5Kのフレームレート変動(グラフ27)を見ると、GeForce GTX 1660 Superでもそこそこプレイできるというのがお分かり頂けるかと思う。

グラフ23


グラフ24


グラフ25


ではより重い(?)16xでは? というのがグラフ23〜25であるが、こちらも3K/4Kでは多少フレームレートが下がるものの、2K〜2.5Kでは殆どグラフ20〜22と数値が変わらなかったりする。まぁその意味ではどのビデオカードでも「2Kは問題なく、2.5Kでもそこそこ遊べる」という感じになる。差が出るとすればそれ以上の解像度になるが、4Kはどのカードでもアウト。3Kに関して言えばOC版のRadeon RX 5600 XTならばプレイ可能(快適とはちと言い難い)というあたり。2.5Kあたりまでに留めて快適にプレイを楽しむ、と言う方が良い様に思える。

グラフ26


グラフ27


グラフ28


グラフ29


○◆Far Cry New Dawn(グラフ30〜35)

UbiSoft

https://ubisoft.co.jp/fcnd/

設定方法はこちらの記事の"Far Cry New Dawn"の項目を参照。画質であるが、今回は"Normal"と"High"で実施している。

グラフ30


グラフ31


グラフ32


まずNormal(グラフ30〜32)だが、どうも2KだとCPU側のボトルネック七日、妙にフレームレートが詰まる傾向が見える。もっともこれは2Kだけで、2.5K以降は綺麗にバラけているのだが。それはともかくとして、Normalだと2.5Kまではどのビデオカードでもプレイ可能な範囲に収まっている。3KだとRadeon RX 5600 XTがなんとかプレイ可能というレベルで4Kは全部アウトというところ。

グラフ33


グラフ34


グラフ35


High(グラフ33〜35)では、フレームレートの絶対値は下がっているものの、傾向はあまう変わらない。強いて言えば2.5Kがより厳しくなったという程度だろうか。ただ2Kに関して言えばまだ余力があるので、画質をUltraで試しても良かったかもしれない。ただ、やはりRadeon RX 5600 XT有利という状況そのものは明白である。

●FINAL FANTASY XV / For Honor / Metro Exodus

○◆FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク Version 1.2(グラフ36・37)

SQUARE ENIX

http://benchmark.finalfantasyxv.com/jp/

設定方法はこちらの記事を参照。今回は標準品質と高品質の両方で試してみた。

グラフ36


まずは標準品質(グラフ36)であるが、これまでAMD系のGPUはFF15があまり伸びない傾向だったのが、ここにきてやっとかなり追いつくところまで来ている。とりあえず1280×720pixelの結果は措いておくとして、2KでRadeon RX 5600 XTがかなりGeForce GTX 1660 Tiに肉薄しており、OC版は上回る結果になっている。そして2.5Kでは遂にRadeon RX 5600 XTがGeForce GTX 1660 Tiを逆転しており、かなり良い勝負になっている感じだ。

グラフ37


もっとも高品質にすると相変わらずGeForce系有利、という感じのままで、2Kでは完全にGeForce系が圧倒。2.5KではRadeon RX 5600 XT OC版がGeForce GTX 1660 Superを逆転しているが、GeForce GTX 1660 Tiには届かずといったところ。ただスコアの絶対値で言えば、標準品質では2.5Kまで、高品質だと2Kが快適にプレイできる範疇という感じで、その意味ではもう少しRadeon RX 5600 Tiには頑張ってほしいところではある。ただRadeon RX 5500 XTの結果(こちらは標準品質でのテスト)に比べると、ずっと健闘はしているとは思うのだが。

○◆For Honor(グラフ38〜43)

UbiSoft

https://forhonor.ubisoft.com/

設定方法はこちらの記事を参照。画質は"標準"と"高"を選択した。

グラフ38


グラフ39


グラフ40


まず"標準"だが、傾向は他のゲームと同じくRadeon RX 5600 XT有利。それはともかくとして、標準だと2.5Kまではどの製品でもプレイ可能。3KになるとGeForce系は厳しいかな、というところ。これが"高"にすると、全体的にフレームレートは下がり気味になるが。傾向としては大きくは変わらない。

グラフ41


グラフ42


グラフ43


スコアから言えば、2Kに関しては確かにより上の"超高"でもいけそうな感じではあるが、2.5K以降ではかなり厳しそうで、その意味では"高"でフレームレートが十分確保できている状況でプレイする方が正しい気もする。それはともかくとして、For Honorは比較的負荷が軽めな事もあり、Radeon RX 5600 XTだと2.5Kは余裕で、3Kあたりまではプレイ可能(さすがに4Kは厳しすぎる)という感じである。

○◆Metro Exodus(グラフ44〜53)

4A Games

https://www.metrothegame.com/

設定方法はこちらの記事を参照。今回はPresetに"Middle"と"Ultra"を選んだ。

グラフ44


グラフ45


グラフ46


さて、まずは"Middle"(グラフ44〜46)。平均フレームレート(グラフ44)で見ると、2Kで20fps、4Kですら10fpsもの差がついており、Radeon RX 5600 XTの性能の高さが一目瞭然ではある。実際フレームレート変動を見てみると、2K(グラフ50)はまぁGeForce 1660系もプレイに大きな支障はなさそう(80sec前後の落ち込みはちょっと気になるが)だが、2.5K(グラフ51)ではピークで40fpsあたりまで落ち込んでおり、ややプレイは厳しい所。Radeon RX 5600 XTはほぼ2.5Kまでは十分プレイ可能な範囲だと思われる。

グラフ47


グラフ48


グラフ49


では"Ultra"(グラフ47〜49)は? というと、2Kですらどの製品も厳しい感じになっている。フレームレート変動を見てみると、2K(グラフ52)では変動の振幅がグラフ50より大きくなっている印象で、90sec前後はどの製品も30fps前後まで落ち込んでいるため、この設定でのプレイは厳しそうだ。これは2.5K(グラフ53)でも同じで、Presetは"High"位が丁度適切なのかもしれない。とはいえ、どちらのPresetであっても、例えば50秒〜80秒あたりのフレームレートは明らかにRadeon RX 5600 XTの方が上で、性能差そのものは明確にある、として良いかと思う。

グラフ50


グラフ51


グラフ52


グラフ53


●Red Dead Redemption 2 / Tomb Raider / The Division 2

○◆Red Dead Redemption 2(グラフ54〜65)

Rockstar Games

https://www.rockstargames.com/jp/games/info/reddeadredemption2

Middle-earth:Shadow of Warに代わり今回からRed Dead Redemption 2(RDR2)を追加した。発表そのものは昨年10月と比較的まだ新しめのゲームである。

テストの方法であるが、まずは「正常に」インストールする。余談であるが、このゲームそのものはSteamから購入できるものの、Rockstar Gamesのアカウントが必要と言う、かつてのGTA Vと同じ仕組みである。なので、Rockstar GamesにSteamのID(というか、ログインのメールアドレス)を登録する形になるのだが、ここでうっかりミススペルをした結果として、Rockstar GamesとSteamのIDが紐づかなくなってしまい、結局Rockstar GamesのChat Service(以前はRockstar Gamesには電話もチャットも無くサポートはメールのみ、という話であったのが、本国ではちゃんとChat Serviceが出来ており、これを利用した)で2時間あまりかけてミススペルしたメールアドレスを修正する羽目になった(修正にSteamID64が必要で、ところがこれを持っていなかったので作るのに時間を要したというのが最大の理由)。くれぐれもメールアドレスのミススペルにご注意いただきたい。

さて、正常にインストールできたら、すぐにベンチマークが始められる。GTA Vの時は最初のシナリオをとりあえずこなさないと、ベンチマークメニューまで行きつかないという親切(?)設計だったが、そういうことはなくなった。メインメニュー(Photo10)で"SETTINGS"を選び、SETTINGSメニュー(Photo11)で"GRAPHICS"を選ぶ。そのGRAPHICS(Photo12)であるが、まず上の"VIDEO"の欄で

Resolution:1920×1080/2560×1440/3200×1800/3840×2160を選択

Screen Type:Fullscreen

VSync:Off

Triple Buffering:Off

をまず設定する。

Photo10: メインメニューはシンプル。


Photo11: "DISPLAY"は無関係である。


Photo12: VSyncとTriple Buffeingは、Quality Presetをいじると元に戻る事があるので、いじったあとは必ずOffになる事を確認しておくのが吉。


次いでその下の"GRPAHICS"の欄でQuality Preset Levelを選択する形になるのだが、なんとこのLevelは20段階もある。今回は、Level 8(左から8つ)の"Balanced"(Photo13)と、Level 14(右から6つめ)の"Favor Quality"(Photo14)を選択した。

Photo13: GRAPHICSを下の方にスクロールしてゆくと項目は凄く一杯あるので注意。この段階で、所要メモリが4GBを超えており、もうメモリ搭載量が4GBのGeForce GTX 1650シリーズとかRadeon RX 5500 XT(4GB)ではかなり厳しい事になる。


Photo14: Photo13と比べると、Anositropic Filteringが16xに、Lighting QualityがUltraになっているのが判る(ほかにも色々変化する)。メモリ利用量は更に増えている。


余談であるが、このバージョン(Build 1232.17)では、APIはデフォルトで"Vulkan"一択である(Photo15)。これはちょっと悩んだが、今回他にVulkanを使うゲームも無いので、丁度いい機会だということで、Vulkanのままとした。

Photo15: DirectX 12を使いたい場合、"Advanced Settings"を"Unlocked"に切り替えると変更可能になる。


以上の設定が終わったら、"RUN BENCHMARK TESTS"を「長押し」する(クリックしただけでは起動しない)。すると確認画面が出てくる(Photo16)のでOKを押すとベンチマークがスタートする。

Photo16: この確認画面がなかなか重々しい。


ベンチマークはGTA Vに似ており、特に登場人物とかが出てこないシーン4種類(Pass 0〜Pass 3)(Photo17)と、強盗→銃撃戦→逃亡という一連のシーン(Photo18)を経てベンチマーク終了(Photo19)である。ちなみにこの後は再びメインメニューに戻る。

Photo17: 確かPass 0の雪山。下手をするとこのシーンが一番重い、なんてこともある。


Photo18: Pass 4終盤の最後の銃撃戦。このあと手榴弾を投げて相手を片付ける訳だが、それよりもこのリボルバーで軽く10発以上連射しているあたりはきっと突っ込み場所なのだろう。


Photo19: 謎なのは、この数字と結果のログファイルの数字が時々一致していないこと。今回この数字は無視して、ログファイルの結果を利用した。


ということで結果を見てみたいのだが、実はログファイルにはPass 0〜Pass 4までのそれぞれのシーンにおける最大/最小/平均フレームレートとそれぞれの所要時間、それとPass 0〜Pass 4のそれぞれにおける50%〜99%までのPercentile ms(所要時間)、及びSettingが記録されている。まぁこのあたりもGTA Vに近いのだが、今回は初めてということもあり、Pass 0〜4のすべての平均値とPass 4のみの結果、両方を示してみる事にした(結果から言えば次回からはPass 4の結果のみにする予定だ)。

グラフ54


グラフ55


グラフ56


グラフ57


グラフ58


グラフ59


まずグラフ54〜56がBalancedで全Passの結果である。最大/最小がちょっと暴れているが、傾向としてはGeForce GTX 1600 SuperはBalancedでも厳しく、のこりの3製品はまぁ2Kは問題なし。2.5Kはちょっと厳しいというあたり。では"Favor Quality"にしたら? というのがグラフ57〜59で、Radeon RX 5600 XTですら2Kはちょい厳しい(OC版でなんとか)というあたり、GeForce GTX 1660 Tiもかなり厳しく、GeForce GTX 1660 Superは論外扱いになる。面白いのはそのRadeon RX 5600 XTも、3K以上では論外になることで、ただ2,5Kも結構厳しいあたり、2K止まりで利用するのが正しい使い方だろう。ただ2Kに限って言えば、明らかにGeForce 1660系を凌駕している。

グラフ60


グラフ61


グラフ62


グラフ63


グラフ64


グラフ65


グラフ60〜65がPass 4のみをまとめた結果であるが、(掲載しといて言うのもなんだが)変わっても数fpsのオーダーで、これならどちらか一方でよかった感じである。ただ総じて、Radeon RX 5600 XT系有利ということは言っても良いかと思う。

余談になるが、そもそもまだRDR2の完成度が低い印象は免れない。例えばログファイルにしても、性能の後で"SYSTEM"の項目があるのだが、例えばGeForce GTX 1660 SUPERをBalanced 2Kで行った結果は

=== SYSTEM ===

CPU: AMD Ryzen 7 3800X 8-Core Processor

Physical Cores: 8

Logical Cores: 16

GPU: GeForce GTX 1660 SUPER API: VULKAN VRAM: 6134784 MB

System RAM: 33470888 MB

=== SETTINGS ===

である。いつからウチのシステムがメインメモリ32TB、VRAM6TBになったのか不明だが、まだこーいう簡単なバグが治っていない。もっとひどいのはSETTINGSで、これ途中で切ったのではなくそもそも記録されていない(ので、ログファイルを見返しても設定が判らない)。全体的に「今後のバージョンアップに期待したい」ところである。Vulkanの対応に関しては単にRDR2だけでなくドライバ側の対応も気になるところで、機会があればDirectX 12を使った場合も比較してみたいところである(今回は時間の関係でご容赦いただきたい)。

○◆Shadow of the Tomb Raider(グラフ66〜75)

SQUARE ENIX

https://tombraider.square-enix-games.com/en-us

設定方法はこちらの記事を参照。今回Quality PresetはMediumとHighを利用した。

グラフ66


グラフ67


グラフ68


さてまずはMedium(グラフ66〜68)。相変わらずRadeon RX 5600 XTの性能の高さは明らかであるが、それはともかくとして2Kはどの製品も余裕ながら、2.5KになるとちょっとGeForce GTX 1660系は厳しい感じである。実際フレームレート変動を見てみると、2K(グラフ72)はどの製品も余裕で60fps超えだが、2.5K(グラフ73)はGeForce GTX 1660 Tiがぎりぎり60fps程度で、GeForce GTX 1660 Superは概ね50fps台である。にもかかわらず平均で60fpsなのは。80〜110secあたりがグーンと持ち上がっているからで、これを差し引くと2.5Kは厳しい感じだ。おそらくこの感じでは3K以上だとどの製品も厳しいだろう。

グラフ69


グラフ70


グラフ71


ではHigh(グラフ69〜71)だとどうか? というと、これが思ったほどにはMediumと変わりがなかった。一応数字を見ると全般的に数FPS(4〜5fps程度)下がっているが、傾向そのものには大きな違いは見られない。フレームレート変動(グラフ74・75)も同じで、2Kはどの製品でもプレイ可能だが、2.5KになるとGeForce GTX 1660 Tiがぎりぎりという感じ。その意味では、2Kというよりは2.5Kで余裕をもってプレイできるのがRadeon RX 5600 XTという事になるかと思う。

グラフ72


グラフ73


グラフ74


グラフ75


○◆Tom Clancy's The Division 2(グラフ76〜85)

Ubisoft

https://www.ubisoft.co.jp/division2/

設定方法はこちらの記事の"Tom Clancy's The Division 2"を参照。画質のPresetは"High"と"Ultra"を利用した。

グラフ76


グラフ77


グラフ78


さて、まずは"High"の結果(グラフ76〜78)。結果からいえばShadow of the Tomb Raiderとよく似ていて、2Kはどの製品も十分だが、2.5Kに関して言えばGeForce GTX 1660 Tiがギリで、GeForce GTX 1660 Superはやや厳しい感じ。このあたりはフレームレート変動(グラフ82・83)からも見て取れる。強いて言えば、全体的にShadow of the Tomb Raiderよりもやや負荷が低いようで、その分フレームレートも高めである。ただ3Kはやはり厳しい感じで、2.5Kに留めておくのが無難であろう。

グラフ79


グラフ80


グラフ81


では"Ultra"では? というのがグラフ79〜81。こちらは急に負荷が上がり、2KもGeForce GTX 1660 Tiまでは行けるが、GeForce GTX 1660 Superだとやや厳しい所。フレームレート変動(グラフ84)を見ると、Radeon RX 5600 XTはどの場合でも60fpsを切っておらず、OC版は更にオーバーヘッドがあって、この設定は全く問題ない。ただ2.5K(グラフ85)になると、さすがにどの製品も厳しい感じである。Radeon RX 5600 XTですら時折50fpsを切るというのは、快適なプレイからは程遠い感じで、Ultraにするなら2Kを利用すべき、ということであろう。まぁ"Ultimate 1080p Gaming"というコンセプトには沿った結果になっている、とは思う。

グラフ82


グラフ83


グラフ84


グラフ85


●PCMark 10 / 消費電力 / 考察

○◆PCMark 10 v2.0.2144(グラフ86〜89)

UL Benchmarks

https://benchmarks.ul.com/pcmark10

グラフ86


お約束でこちらも。まずOverall(グラフ86)で見ると、PCMark 10 Express/PCMark 10ではややGeForce GTX 1660系が有利で、ところがPCMark 10 ExtendedやPCMark 10 Applicationsでは差が殆どなくなるという、いつものパターンである。

グラフ87


グラフ88


グラフ89


で、Radeon RX 5600 XTが遅い理由はTest Group Detail(グラフ87)を見ると判る様にProductivityで、一方PCMark 10 ExtendedではGaming(要するにFireStrike)が加味されるのでこの差が埋まるという形だ。ただTest Detail(グラフ88)を見ると判るように、Radeon RX 5600 XTが遅いのはOpenCLを利用したSpreadsheetsとかVideo Editingなどで、逆にPhoto Editingなどではむしろ高速になるという面白い傾向になっているが、なんにせよOpenCLの要素を除外するとあまり変わらない、ということになる。これはOffice 365を利用したApplication Test Detail(グラフ89)からも明らかで、もう誤差というかテスト結果の揺らぎのレベルの差でしかない。

要するに普通に使う分には今回の4製品の間に差はない、ということだ。

○◆消費電力(グラフ90〜95)

最後にいつもの消費電力測定を。まずグラフ90が3DMark FireStrike Demo、グラフ91がSuperPositionの2K、グラフ92はF1 2019を2K、Anisotropic Filter 4xで実施した場合、グラフ93がFinal Fantasy XV Windows Edition Benchmark 1.2を2K・標準品質で実施した場合の結果である。各々の待機時の消費電力と、それぞれ全力稼働中の平均消費電力をまとめたのがグラフ94、ここから待機時の消費電力との差をまとめたのがグラフ95ということになる。

グラフ90


グラフ91


グラフ92


グラフ93


グラフ94


グラフ95


ということで総じてみてみると、OC版Radeon RX 5600 XTの消費電力の高さがちょっと目立つ。冒頭に書いたようにSilence BIOS版のTGPが135W、Performance BIOS版は160Wとされているので、その差は25Wという計算になるが、実際にはもう少し多く30〜40Wほど消費電力が上乗せになっている形だ。

それはともかく、Radeon RX 5600 XT(つまりSilence BIOS版)の消費電力は、概ねGeForce GTX 1660 Tiと同程度〜少し多い(〜10W)程度に収まっており、性能差を考えるとかなり優秀な部類ではないかと思う。そのGeForce GTX 1660も、SuperとTiの差はごく僅かで、こうなるとGeForce GTX 1660 Superの性能/消費電力比の悪さがちょっと気になるところ。効率だけを考えればGeForce GTX 1660 Tiの方が優秀で、これとRadeon RX 5600 XTはほぼ同程度と思われる。OC版Radeon RX 5600 XTは確かに性能はピカイチだが、その分消費電力も増えており、効率という面ではやや悪化している。

○◆考察

ということで無駄にグラフが多くて申し訳ありませんでした。

ま、それはともかくとして、Radeon RX 5600 XTはなかなか優秀な製品だと思う。少なくともGeForce GTX 1660 Tiの性能は超えた、と結論付けて良いと思うし、消費電力的にも悪くない。あとはもう価格と入手性の問題だけであって、こちらの記事の最後に書いた「4万をちょい切る」位だと、コストパフォーマンスはGeForce GTX 1660 Tiと同等。これより下がればお買い得といった感じに思える。

微妙なのはOC版BIOSである。確かに性能は上がるが、その分消費電力も多くなる。気になるのは、これも冒頭に書いたがGDDR6を14Gbpsでオーバークロック動作させていることで、なんとなく製品寿命的にどうだろう? という懸念が残る。素直にGDDR6 14Gbps版のRadeon RX 5600 XTの出荷が許されるなら、「おすすめ」としたいところではあるのだが。

ところで気になるのはNVIDIAの動向である。彼らの性格からして殴られっぱなしということにはならないだろう。とはいえ、現在のTU116コアをほぼフル構成でGeForce GTX 1660 Tiが使っている以上、このコアで更に性能を引き上げるのは難しい(荒業でGDDR6 15.5Gbps品を突っ込むというのはあるかもしれないが)。むしろ、TU106(要するにGeForce RTXのコア)を流用する方がありそうではあるのだが、なにしろダイサイズが極端に違う(TU106は445平方mm、TU116は284平方mm)から、Radeon RX 5600 XTと競合する価格で出すと、相当利幅を削る必要があるだろう。実際、Superでない初代GeForce RTX 2060は4万を切る価格で入手可能であるが、値段が下がるのを嫌がったかそのGeForce RTX 2060を終了にしてGeForce RTX 2060 Superを4万円台中盤〜5万円で販売しているのが現状であり、もう一度4万円未満の市場にTU106を投入するのは多少躊躇するところもあると思われる。このあたりを含めて、今後のNVIDIAの対抗策が気になるところだ。