日本代表MF橋本拳人(FC東京)

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 MF橋本拳人の2019年は大きな飛躍の年となった。FC東京では自身初のJ1リーグ戦全試合出場を達成し、愛するクラブを過去最高の2位に牽引。日本代表では昨年3月の初招集から急速に存在感を高め、秋のW杯予選では国内組のなかでただ一人2試合に先発した。しかしそれでもなお、振り返れば「悔しさ」が頭をよぎるという。最後の最後で届かなかったリーグ優勝を勝ち取るため、A代表のレギュラーを奪い取るため--。2020年に向かう26歳の思いを聞いた。

―まずは手に持っているスパイクの話を。来季はカラーチェンジした『エックス』を着用されるとのことですが、印象はいかがですか。

「青が個人的に好きなので、鮮やかな色ですし、履くのが楽しみです」

―チームカラーでもありますね。

「FC東京のカラーでもあるので。普段から身につけているものも青が多いですし、好きな色です」

―やはりFC東京で育つと……。

「青と赤には敏感です(笑)」

―カラーのほかにスパイクに求めるものはどんなところですか。

「フィット感とグリップ力は一番大事にしています」

―これは!というこだわりはありますか。

「サイズ的にちょっと大きくても、ちょっとキツくても嫌で、本当にジャストで履きたいので、そこは調整してもらっています。またグリップ力というところでは踏ん張るプレーが多いので、より踏ん張れるところを大事にしています」

―踏ん張りという点で、日本代表のアウェー戦などは芝が違うところがありますよね。そのあたりで気をつけていることはありますか?

「海外はゆるいグラウンドが多いので、取り替え式を履いてプレーしています。取り替え式を履くと重くなるスパイクが多い中で、このスパイクは重くならずにグリップ力があるので履き心地がいいですね」

―ここからはチームのことを聞かせてください。まず、ずっと聞きたかったのですが、リーグ戦の最終節、優勝を逃した後にもかかわらずサポーターが応援歌で選手たちを迎えていたことが印象的でした。どのように感じましたか。

「正直、悔しさで覚えていられないくらいでしたが、今年一年間は本当にサポーターに支えられた想いがあります。アウェー8連戦という厳しい戦いも続きましたが、ファン・サポーターがともに戦ってくれたおかげで最後まで優勝争いができたと思います。ただその中で最後に優勝できなかったのは本当に悔しいし、申し訳ない気持ちがある。2020シーズンにぶつけたいと思います」

―最高順位の2位でもやはり「悔しい」という思いですか。

「1位にいる期間が長かったので。チームの雰囲気もすごく良かったし、みんなで優勝したいという気持ちも強かったので、相当悔しかったです」

―ただ個人に目を向けると、1年間通して試合に出続けたという手応えはあったんじゃないですか。

「これまでで一番充実していた一年だったかなと思いますし、成長もすごく感じたシーズンでした。また代表に行って新たな刺激を受けたし、サッカーに対する意識も変わったので、いい一年だったと思います」

―かつては怪我に苦しまれているところを目にしていたので、年間を通して戦える橋本選手に頼もしさを感じました。

「そこは自分が一番驚いています。1年通してフル出場できたのは初めてだったので……。今までは毎年どこかしらに怪我をして、オペも2回しているし、肉離れも何回もしてきました。今年はコンディショニングというところですごく意識してやれた結果がフル出場につながったと思います。そこは自信になりました」

―フル出場の要因はなんだと思いますか。

「日々のケアは今まで以上にやりましたし、トレーニング以外の時間の使い方が変わったと思います」

―そのあたりを詳しく教えてください。

「本当に様々なことをしています。トレーニング法も変わったことというか、JARTAトレーニングという柔軟性を高めるトレーニングをしています。また治療も意識していて、少しでも張っていたらいい状態に戻すようにしています。疲れると身体が硬くなってくるので、トレーニングでは筋力トレーニングをしながらも柔軟性を高めて動きやすくなるトレーニングをしています」

―その結果が日本代表との両立にもつながっていると思います。シーズンが始まった時には、このように日本代表で試合に出る姿を想像していましたか。

「想像はしてなかったですけど、常に日本代表に入りたいと思っていましたし、森保ジャパンになってから最初の時期に入れなかったのを悔しいと思いながらプレーしていたので、今は代表に入れて素直にうれしい気持ちです」

―3月の親善試合では追加招集からすぐに出場機会があり、そこで堂々とプレーしている印象を受けました。最初から手応えはありましたか。

「何人か怪我をしての追加招集だったので、ラストチャンスくらいの気持ちで入りましたし、ここでインパクトを残さないと次はないと強く思って試合に臨みました。まずは自分の持ち味でもある球際の強さ、相手からボールを奪うところを前面に出そうと思って、そこはできたので良いアピールができたと思います」

―アウェーのW杯予選でも次々に出番がありましたね。

「ミャンマーが初戦だったんですが、自分がW杯予選に出るのはすごく感慨深いものがありました。W杯に出場するためには予選を勝ち抜かないといけないという過酷な状況な中でしたが、そこを経験できたのも自分の成長につながっていると思います」

―現在の日本代表はFC東京出身の選手がとても多いですよね。どういった思いがありますか。

「サポーターは喜んでくれているんじゃないかなと思いますし、長友選手とは一緒にやっていなかったですけど、FC東京出身ということで声をかけてもらいました。また昔の話を(中島)翔哉、権田選手ともしたので、心強い仲間だなと思います」

―一方、現在では国内組が少ない代表になりましたね。その中で意識していることはありますか。

「あまり意識はしていないですね。海外に行った選手も国内組でやっていた選手がほとんどなのでそこまで意識はしていないです。ただ、国内組としてプライドを持って戦いに行きましたし、FC東京を代表しているという気持ちも持って、なんとか爪痕を残したい、国内組でもやれるんだってところを見せたいとは思っていました」

―2020年はW杯最終予選も始まります。2次予選もここまで全勝で来ていますが、どのように臨みたいですか。

「前回の最終予選はテレビで見ていて、すごく厳しい戦いをしている印象がありました。ただ、それを戦い抜いた先にW杯があると思います。必ず勝たないといけない試合で、そのうえ厳しい状況で戦わないといけないですけど、なんとか自分の力で勝利に貢献したいと思いますし、それを経験して成長したいと思います」

―自分がやれるという思いですか、それともより高めたいものがあるという思いですか。

「やれるなという自信はあります。ただ、厳しい戦いになるのは間違いないので、厳しい中でどれだけ自分のパフォーマンスを出せるかというところをチャレンジしていきたいです。代表のスタメンを奪うためにも一試合一試合アピールしていくところも大事にしていきたいです」

―まだスタメンは「奪う」という気持ちですか?

「まだ全然ですよ。『奪う』というチャレンジャーの気持ちです」

―FC東京ではACLもありますが、そのあたりの成長も期待できそうですね。

「今年一年は移動もあってタフなシーズンだったので、それを乗り越えられた自信はあります。どんな連戦だろうが、タフな試合だろうが、自分ならやれると思っているので、チャレンジしていきたいです」

(インタビュー・文 竹内達也)