インドが昨年11月、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉からの離脱を表明した。貿易赤字が拡大する中、関税引き下げによる輸入増加で、国内産業に一層の打撃を与える恐れがあるためだ。酪農業界からもその動向がうかがえる。

 インド最大の酪農協同組合は、ASEANや日中韓など16カ国が進めてきたRCEPの交渉参加に断固反対している。RCEPで安価なオーストラリア産やニュージーランド産の乳製品が市場に出回るようになれば、国内の酪農業が大打撃を受けるからだ。

 同組合は、同国西部の酪農地域グジャラート州に拠点を構え、国内最大乳製品ブランドのアムール社を経営している。アムール社のソディ運営部長はこのほど、現地メディアなどの取材に対し「私たち酪農産業は外国企業の参入を常に警戒している。インドのRCEPからの撤退は私たちの声を反映した」と主張。「1990年代には自給自足だった食用油が現在は輸入7割だ。RCEPに参加すれば酪農業も同じ道をたどる」と警戒を強める。

 日本は、インドを含めた16カ国の交渉を求めている。