カニと和ダシが醸すほっこり淡麗

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2019年にオープンしたラーメン店のなかから、すでに行列のできるほどの人気店となった3店舗を紹介。いずれも妥協なくこだわりの素材を使い、最高の一杯を提供してくれる。行列に並んででも食べたいラーメンはここにある!<※情報はラーメンWalker埼玉2020より>

【画像】カラフル&華やかなビジュアルの「和えSOBA」もおすすめ

■ 「拉麺 イチバノナカ」(所沢市) / 2019年6月3日オープン

東京都青梅市「㐂九家(きくや)」、所沢「㐂九八〜garage〜」は、いずれも多くのファンに支持される人気店。そんな「㐂九家」グループ待望の新ブランドが、なんと所沢総合食品地方卸売市場の中に誕生した。市場にちなんだユニークな店名も話題を呼んでいる。3店を手がけるのは大野喜久さん。魚介系素材や和ダシを巧みに駆使した味づくりに定評があり、今回はその集大成ともいえるメニュー構成となっている。淡麗系ラーメンの醤油と塩に加え、和えSOBAとカニSOBAの4種類が並び、いずれも端正なビジュアルと和ダシのふくよかな味わいが魅力だ。

店長を任されているのは、所沢店の常連だった山田さん。「大野さんのラーメンを初めて食べた時、その味に感動を覚えました。3歳になる息子も安心して口にできるので妻も気に入っています」と話す。山田さんもまた、大野さんと同じ異業種からの転職組だ。現在は奥さんの応援もあり、師のラーメンを広めたい一心で毎日厨房に立ち続ける。

おすすめは「特製カニSOBA」(1100円)。約6時間かけてワタリガニを炊き、カツオや昆布の和ダシを加えた風味豊かなスープ。香味油を抑え、口当たりまろやかに仕上げている。このほか、「和えSOBA」(950円)もおすすめ。華やかに並ぶ海鮮素材を引き立てるのは、山ワサビを効かせた大人味の塩ダレ。このタレを付属の割飯に絡め、最後までおいしく食べられる。

<住所:所沢市南永井町867-1 / 時間:11:00〜14:00、土曜11:00〜14:30 / 休み:日曜>

■ 「麺処 青野」(寄居町) / 2019年4月11日オープン

豊かな自然が残る秩父に生まれ育ち、ラーメンの食べ歩きを続けていた店主の青野聖さん。26歳で一念発起してラーメン店に弟子入りし、2019年の春にここ寄居で独立を果たした。素材の吟味には並外れたこだわりを持っている。

「大山(だいせん)どりのガラと鴨ガラを炊いて、別の寸胴ではアゴとサンマ節、鯛の中骨やシジミなども。あと、こちらの寸胴では昆布とサンマ節で別のダシを作ります。いわゆるトリプルスープですね、うちのラーメンは」。「特に醤油と塩はタレとスープのバランスを強く意識しています。どれか1つが突出してもだめで、素材同士が引き立て合うように」。素材を巧みに組み合わせ、調和のとれた味わいを生み出す腕。オープンしてまだ半年に満たないが、今後の活躍を期待せずにはいられない。

ここで味わいたいのは「味玉醤油らぁめん」(900円)。鶏や鴨、複数の魚介を合わせたスープに5種類の醤油をブレンドしたタレ。弾力のある麺がその芳醇な香りをしっとりと持ち上げる。また、「味玉味噌らぁめん」(940円)もおすすめ。鶏白湯(パイタン)スープに、深谷市の農家で造る「重忠味噌」など4種類を配合したタレを合わせる。モッチリ歯応えのある太麺ともよく絡む。

<住所:寄居町保田原215-1 / 時間:11:30〜14:30、18:00〜20:50(LO) / 休み:火曜>

■ 「つけ麺 鶏そば いな月」(桶川市) / 2019年7月17日オープン

店主の高橋さんは「中華そば 葵」や「アオイロー」などを展開する葵グループ出身。「自家製麺 竜葵」で店長を務めあげ、桶川駅西側の幹線道路沿いに自分の店をオープンさせた。2日以上かけて完成するというスープは、各素材の味を生かすように入念にバランスをとっている。丸鶏と鶏ガラの動物系スープと、数種類の煮干しからなる魚介系スープを合わせており、その配合比率によって絶妙な味わいを実現。最後まで飽きずに食べられる。

麺は「村上朝日製麺所」の特注麺。生地にタピオカを練り込んでおり、しっかり茹で上げてもコシのある食感が特徴だ。また、ツルツルしたすすり心地ながらもスープとよく絡み、麺には味がしっかりと乗る。鶏油(チーユ)はまろやかな印象をもたらすとともに、動物系素材と魚介系素材をつなぐ重要な役割を担う。韓唐辛子で味付けしたメンマや、柔らかさを大事にした鶏チャーシュー、低温調理の豚肩ロースチャーシューといったトッピングもそれぞれ違った噛み心地で、単調にならず、見た目からも華やかな気分にさせてくれる。

おすすめは「特製つけめん」(1050円)。鶏・豚2種類の低温チャーシューがのる。ツルツルとすすり心地のよい麺には全粒粉が入り、噛むほどに小麦が香る。300グラムまで増量無料なのも嬉しいポイントだ。このほか、「鶏そば」(780円)もおすすめ。鶏のスープはつけ麺と同一だが、すっきりしたあと味に驚くはず。なめらかな細麺に鶏の風味がよく合っている。

<住所:桶川市下日出谷928-12 / 時間:11:00〜14:30、18:00〜21:00(各LO) / 休み:火曜>

いずれも県内屈指の注目の行列店。オープンからわずかだが、確かな存在感を示している。ぜひ「ラーメンWalker埼玉」片手にこれらの店を訪れてみて。

※表記価格は消費税8%時の税込価格となります。2020年1月現在、消費税率が10%に変更され、税込価格が変更となっておりますのでご注意ください。(東京ウォーカー(全国版)・ウォーカープラス編集部)