【田下広夢】PS5年末発売決定、それでもまだ「PS4のターン」が続くワケ 熟した“果実”を刈り取る1年に

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家庭用ゲーム専用機の商品寿命というのは、だいたい5〜6年と言われています。6年ぐらいすると、新しいゲームハードが登場し、代替わりするんですね。

PlayStation4(以下、PS4)がいつ発売されたか、みなさんご存知でしょうか。北米などで最初に登場したのは2013年11月15日、それから少し遅れて日本では2014年2月22日発売でした。そう、もう昨年末には6年が過ぎているんですね。遅れて発売された日本でも、もうすぐ満6歳を迎えます。

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というわけで、2020年はPS4の次世代機、PlayStation5(以下、PS5)が発売されることが発表されています。新ハードが登場する2020年のゲーム業界はどうなるのか、PS5はもちろんのこと、任天堂のニンテンドースイッチなどの動向も含めて、考えてみたいと思います。

PS5は“没入感”がテーマに

年末発売予定のPS5ですが、発売元となるソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)によると、「没入感をさらなる高みへ導くこと」が1つのコンセプトになっているようです。

そのために、たとえばコントローラーの振動機能にハプティック技術が採用されています。車が壁に激突する振動と、フットボールでタックルされる振動を、震えの違いで表現する、というようなものです。

他にも、人差し指で握るトリガーボタンの抵抗力をプログラムして、たとえば弓を引き絞る感覚などを再現する「アダプティブトリガー」も採用されます。また、触覚だけでなく、立体音響によって聴覚からも没入感を高めます。

あるいは、内臓ストレージをSSDに変えたことも没入感を高めるのに一役買うかもしれません。SSDはHDDに比較してロード時間が短くてすみます。ということは、ロード時間で待たされてゲーム体験が断絶することが少なくなる、ということです。

もちろん映像表現も進化します。これまでは難しかった、「レイトレーシング」を搭載。レイトレーシングというのはRay Tracingで、光の動きをリアルタイムに計算する技術です。

これによって、画面は非常にリアルになります。特に水やガラス、周りのものを反射する金属などの表現は大きく進化するでしょう。解像度は4Kのさらに4倍となる8Kまでサポート、メディアはBlu-ray Discよりもさらに大容量のULTRA HD Blu-rayに対応します。

そして、さらに未発表のユニークな機能も搭載されている、という関係者のコメントも残されています。

PS4の路線を踏襲するのか

さて、このPS5、PS4のように売れるのでしょうか。

ゲーム業界というのは非常に難しくて、簡単に売れる、売れないと言えない世界です。PS4は全世界で1億台以上売れました。売れた要因の中で非常に大きかったのは、変な言い方ですが、PS4があまり特別なゲームハードではなかった、ということでした。

PS4の前世代機、PlayStation3はオリジナリティの強いハードウェア構成で野心的なハードでした。しかしそれは、ソフト開発を非常に困難にしました。

PS4は、言ってしまえばゲーミングPCに非常に近い構成です。PS4が発表された時、サプライズがないと批判もありましたが、開発者には広く受け入れられ、多くのゲームが発売されました。

また、ライバルのXbox OneがモーションコントローラーのKinect標準装備にして約1万円程高い価格だった、というのもスタートダッシュの点で非常に大きかったと思います。

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こう考えると、PS4が売れたことは、特徴的で、ユニークで、新しいたくさんの機能が満載だから売れた、というより、平凡に見えても開発者は作りやすくユーザーは買いやすいハードにまとめたから売れた、と言えます。

PS5がこの路線を踏襲して、新規性が薄くとも扱いやすい形にまとめていくのか、それとも、飽きられない為に大きな驚きをもったチャレンジに挑むのかは、1つのポイントかもしれません。

オリジナリティあるハードで復活した任天堂

一方で、驚きのあるハードで復活したのは、任天堂のほうですね。任天堂が2017年に発売したニンテンドースイッチは、テレビに接続する据え置きハードでありながら、簡単に取り外して携帯ハードにもなるという、非常にユニークなハードです。

ニンテンドースイッチは、発売当初『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』が世界中のゲーマーの間で評価され、良いスタートを切りました。その後、据え置きハードの特徴を生かしつつも、ニンテンドー3DSが持っている携帯ゲーム機の市場を取り込みながら大きく成長していきます。

2019年はそれが非常に顕著で、『リングフィットアドベンチャー』というゲームが大きな話題となりました。『リングコン』と呼ばれるフラフープのような輪っか型のコントローラーを使い、全身運動をしながら遊べるというゲームです。Wiiで人気となった『WiiFit』を思い出しますね。

出荷数が少ないこともあり、未だに品薄の状態です。リングフィットアドベンチャーは明らかに、テレビに接続して遊ぶ据え置きゲーム機のコンテンツです。

一方、それ以上に大きな売り上げを叩き出しているのが、ポケットモンスター(以下ポケモン)シリーズ本編最新作の『ポケットモンスター ソード・シールド』です。

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ポケモンはスピンオフ作品などが据え置きハードに発売されることはあったものの、世界中で爆発的に売れるシリーズ本編新作は携帯ゲーム機のコンテンツでした。

2018年にはリメイクである『ポケットモンスターLet's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ』もニンテンドースイッチに発売されていましたが、いよいよ、シリーズ本編最新作が登場した形です。これが、ニンテンドースイッチに発売されたことで、ニンテンドー3DSが持っていた市場を大きく取り込むことになります。

2020年は3月20日に『あつまれ どうぶつの森』の発売が予定されています。どうぶつの森シリーズはもともと据え置きゲーム機のコンテンツとしてスタートしていますが、ニンテンドーDS版の『おいでよ どうぶつの森』以降、携帯機で大きく伸びる実績があります。

ニンテンドースイッチで発売された場合には、携帯ゲーム機におけるどうぶつの森の市場を取り込んでいく形で売れて行くものと思われます。どうぶつの森シリーズは特に女性ファンが多く、客層の幅を広げるのに一役買うことでしょう。

任天堂ファンのゲーマーに支持を受けてスタートしたニンテンドーDSは、リングフィットアドベンチャーのようなWiiの流れをくむファミリー層の獲得、ポケットモンスターによるニンテンドー3DSの子ども層、ゲーマー層、そしてどうぶつの森が持つ女性層を取り込み、非常に広い客層を取り込んで成長していくと思われます。

実は、まだPS4のターン

さて、最後にPS4の話を少ししておきたいと思います。というのも、PS5が年末に発売されるとはいえ、いきなり市場がそこに移行しないと思われるからです。

ハイエンドの据え置きゲーム機はゲーム開発に時間がかかり、発売してすぐにソフトが充実、というわけにはなかなかいきません。特に日本市場においては、2020年末に発売されるかどうかも、実はまだ分かりません。PS4の時のように、海外に遅れて発売ということも十分考えられます。

また、日本の市場の小ささから、日本市場向けPS5専用の大作が発売されるのは海外と比較してさらに遅れることが予想されます。

そうすると、話題としてはPS5が盛り上がっていきますが、ユーザーに行きわたり、市場を確立したPS4の方こそ、楽しみになる1年であると言えます。

PS4独占の大型タイトルと言えば、初代PlayStationで世界中を熱狂させた『FINAL FANTASY VII』のリメイク作品『FINAL FANTASY VII REMAKE』が登場します。実は、つい先日発売日が3月3日から4月10日に延期されると発表がありましたが、世界中から期待されていることに変わりはありません。

本作を筆頭にして、PS4こそ、熟した果実を刈り取る1年となりそうです。