by Li-An Lim

世界情勢の改善に取り組む国際機関である世界経済フォーラムが発表した2020年版の「グローバルリスク報告書」において、「気候変動がもたらす深刻な脅威」がサイバー攻撃や紛争、大量破壊兵器などを上回る長期的なリスクになっていると指摘されました。

炎上する惑星:気候変動の火種と政治的対立の燃え広がり〜限界を迎えた惑星:気候変動がもたらす試練と政治的対立の猛威〜 > メディア | 世界経済フォーラム

https://jp.weforum.org/press/2020/01/suru-no-to-no-e-gari-wo-eta-gamotarasu-to-no

Climate threats now dominate long-term risks, survey of global leaders finds

http://news.trust.org/item/20200115150054-km9of/

世界経済フォーラムは経済、政治、学究、その他の社会におけるリーダーたちが連携して世界情勢の改善に取り組むという目的を持った機関であり、スイスのダボスで例年1月に開催される「ダボス会議」という年次総会がよく知られています。2020年のダボス会議は1月21日〜24日にかけて開催され、アメリカのトランプ大統領やドイツのメルケル首相といった、各界を代表する3000人近くの人々が参加する予定です。

そんな2020年のダボス会議に先立つ1月15日、世界経済フォーラムは「グローバルリスク報告書」という年次報告書を発表。世界中の750人あまりの有識者や意志決定者らに2020年に増大するとみられる短期的なリスクについて尋ねたアンケート結果を公表しました。その結果、78%が「経済的対立」と「国内政治の二極化」が増大すると回答したことが判明しました。



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また、世界経済フォーラムは今後10年間に発生するとみられる長期的なリスクの調査も行っています。回答をまとめた結果、予測される上位5つのリスクが全て環境問題に関連するものでした。各界のリーダーや有識者らが予測する今後10年間のリスク上位5つがこれ。

・1:異常気象による財産やインフラ、人命の喪失

・2:政府や企業による気候変動の緩和・適応の失敗

・3:原油流出や放射能汚染といった、人為的な環境汚染や災害

・4:大規模な生物多様性の喪失と崩壊により環境に不可逆な損害が与えられ、人類と産業にとっての著しい資源の枯渇

・5:地震、津波、火山の噴火、磁気嵐といった巨大な自然災害

世界経済フォーラムで地政学および地域問題センターの副委員長を務めるMirek Dusek氏は、「これは昨年には見なかった、新しい結果です」と指摘。これほどまでに環境問題が危険視されたのは調査開始から初めてのことだそうで、今や環境問題は紛争や大量破壊兵器をしのぐ脅威になっているとのこと。

この変化は、政府や企業が気候変動を食い止めようと取り組んでいるにもかかわらず、世界的な気候変動を食い止めることが難しく、潜在的な気候変動の悪影響が明らかになった結果だとトムソン・ロイター財団のニュースリリースは述べています。



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アメリカの大手保険グループであるマーシュ・アンド・マクレナンのグローバルリスク・アンド・デジタル部門統括責任者であるJohn Drzik氏は、オーストラリアやアマゾン、カリフォルニアの山火事や世界各地で起きる洪水、干ばつを挙げて、「全ての指標が状況が悪くなっていることを示しています」と述べました。Drzik氏は環境保護活動の高まりによって政府と企業に対する圧力は増しているものの、政治的な二極化や閉鎖的な国内状況といった障害により、気候変動対策への取り組みが難しくなっていると指摘。

加えて、企業が直面しているのは、単に極端な気象による直接的な悪影響だけではありません。環境保護の気運が高まることによる規制強化を受けたり、消費者や環境保護団体から訴訟を起こされたりといった、間接的なリスク増加も脅威となっているとDrzik氏は主張しています。

世界経済フォーラムの議長を務めるノルウェーの政治家であるBørge Brende氏は、「行動を起こさないコストが行動を起こすコストをはるかに上回っている」と指摘。チューリッヒ保険のチーフリスク責任者であるPeter Giger氏も、「気候変動への取り組みが遅れるほど、対処への移行は痛みを伴うことになります」と警告し、世界の国々や企業は早急に環境保護に取り組むべきだと述べました。



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