by John Hain

アメリカのセキュリティ会社Area 1が、「ロシアのハッカーグループがウクライナのエネルギー会社Burismaに対しハッキングを行った」ことを発表しました。このハッキングの裏には、2020年のアメリカ大統領選挙で再当選を目指すドナルド・トランプ氏を支援する思惑があると報道されています。

Area 1 PHISHING BURISMA HOLDINGS

(PDFファイル)http://cdn.area1security.com/reports/Area-1-Security-PhishingBurismaHoldings.pdf

Russians Hacked Ukrainian Gas Company at Center of Impeachment - The New York Times

https://www.nytimes.com/2020/01/13/us/politics/russian-hackers-burisma-ukraine.html

Russian military hackers go after the Ukrainian quid that Trump tried to pro quo

https://thenextweb.com/politics/2020/01/14/russian-military-hackers-go-after-the-ukrainian-quid-that-trump-tried-to-pro-quo/

Russian hackers targeted Ukrainian company at center of impeachment storm: cybersecurity firm - Reuters

https://www.reuters.com/article/us-cyber-russia-burisma/russian-hackers-targeted-ukrainian-company-at-center-of-impeachment-storm-cybersecurity-firm-idUSKBN1ZD0EX

以下は、Area 1が公開した「Burismaに対するハッキングの証拠」とされるスクリーンショットです。一見すると、なんの変哲もないログイン画面ですが、Burismaの従業員のIDやパスワードといった資格情報を盗み出すことを意図したフィッシング詐欺だとのこと。



また、同じハッカー集団により、Burismaの子会社であるKUB-Gasの公式サイトに偽装したサイトも作成されたとのこと。以下がそのスクリーンショットです。



Area 1は「ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)隷下のハッカー集団、別名Fancy Bearが、2019年11月上旬からウクライナのエネルギー会社Burismaを標的にした作戦行動を開始しています」と述べて、このハッキングはロシア政府によるものだとの見方を示しました。

またArea 1は、今回のハッキングと2016年のアメリカ大統領選挙で行われたハッキングには、類似点が見られることも突き止めています。トランプ氏が初当選した2016年の大統領選挙では、ロシアがトランプ陣営を有利にさせるためのサイバー攻撃や世論操作を行ったと見られており、この疑惑は当時「ロシアゲート」と呼ばれ、メディアに大きく取り上げられました。

米大統領選でロシアの関与した「ロシアゲート」のFacebook投稿は1億2600万人にリーチ・ツイートは13万1000件・YouTubeには1000本以上の動画 - GIGAZINE



by CJ Anderson

Area 1の報告によると、ハッカーが何を目的としたかは確認されておらず、実際に何らかの情報が盗み出されたのかどうかも不明。また、かねてからロシアとウクライナはクリミア危機などをめぐり激しく衝突しており、アメリカが標的になったならともかく、ウクライナ企業へのハッキングは大統領選挙とは無関係なようにも思えます。

しかし、技術系ニュースサイトTheNextWebは「トランプ氏の対立候補として有力なジョー・バイデン前副大統領がらみのスキャンダルを見つけるために、ロシア政府があの手この手を尽くすと考えるのは、理にかなっています」と指摘して、今回のハッキングはトランプ陣営に有利な情報を得ることを目的としたものだとの見方を示しました。

バイデン氏のスキャンダルとは、バイデン氏の次男であるハンター・バイデン氏に関連する疑惑です。トランプ氏の顧問弁護士であるルドルフ・ジュリアーニ氏はかねてから、「バイデン前副大統領の息子ハンター・バイデン氏は、ウクライナのエネルギー会社Burismaの経営に関与しており、Burismaを通じて汚職や贈収賄、マネーロンダリングを行っています」と主張していました。



by Gage Skidmore

一方、トランプ氏からウクライナ大統領であるウォロディミル・ゼレンスキー氏に対し、「ウクライナ政府がバイデン家とBurismaの関係を洗う見返りとして、アメリカ政府がウクライナに軍事支援を行う」という取引が秘密裏に持ちかけられたとの情報もあり、この疑惑は「quid pro quoスキャンダル(quid pro quoはラテン語で等価交換の意)」と呼ばれています。

ロイター通信はBurisma、ロシア国防省、アメリカの国家安全保障局および国土安全保障省に問い合わせを行いましたが、記事作成時点のところコメントはないとのことです。