都合のいいことだけ切り売り(C)共同通信社

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「正直迷った」末に15日、小泉進次郎環境相が育児休業取得を表明した。期間は妻・滝川クリステルとの第1子誕生から3カ月の間に合計2週間。公務に支障が出ない範囲で短時間勤務やテレワークなどを組み合わせ、育児の時間を確保する。

小泉進次郎氏の不倫報道をワイドショーがスルーするワケ

 昨年度の男性の育休取得率はたった6・16%。進次郎氏が「制度だけでなく、空気を変えないと、取得する公務員も増えていかない」と説明した通り、現職閣僚の育休取得は世の雰囲気を変え、男性育休が進む一つのきっかけになるだろう。

 森山裕国対委員長が「人それぞれの考えだと思うので、特にコメントすることはない」と突き放したように、所属議員の育休取得に自民党内の大勢は冷ややかだ。進次郎氏が風穴をあけたことで、旧態依然とした永田町の常識に一石を投じたことにもなる。

 とはいえ、だ。「私が一番願うのは政治家の育休自体がニュースにならない、そういう世の中になること」なる“ポエム”発言に違和感を覚える向きも多いはず。独身時代の不倫報道には「個人の事柄」を理由に説明を拒んだクセに、結婚や第1子誕生など都合の良い「個人の事柄」は、ガンガン情報発信する二枚舌も鼻につく。

 進次郎氏が育休に本気なら、昨年8月の官邸での結婚報告以降、堂々と宣言する機会はごまんとあった。なのに態度を決めかね、先月3日には「環境省の職員が働きやすい環境、育休、産休、その後の復帰、復職がしやすい環境をつくりたい。自分のことだけ考えていてはダメだ」と発言。見送りを示唆したが、政治家として育休実現の仕組みや法律を整備する前に、自分だけが育休を取得するわけだ。しかも、そのこと自体が、さも職員の意識改革に貢献するような論点ズラシの巧みさには舌を巻く。

 大臣就任以来、無能をさらけ出し、不倫報道や政治資金疑惑など逆風下に立たされる中、このタイミングでの育休宣言は、陰りが見える女性人気の回復策との思惑すらうかがえる。どうしても「したたかさ」がにじみ出てしまうのだ。

「男性の育休取得は世界の潮流で、それ自体は大変、結構なことです。ただ、醜聞隠しのダシに使っている印象なのは、いかがなものか。自民党内の空気を本当に変えたいなら、育休に限らず環境相として脱化石燃料の実現など本職の方でも成果を上げて欲しい。それができなければ“イクメン”アピールは、単なるパフォーマンスにしか映りません」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)

 育休宣言が素直に評価されず、いやらしさが隠し切れないのも、進次郎氏の人徳の無さかもしれない。