英国のヘンリー王子とメーガン妃(2019年10月15日撮影、資料写真)。(c)TOBY MELVILLE / AFP

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【AFP=時事】ヘンリー王子(Prince Harry)とメーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)が英王室の主要な公務から退くとした電撃発表をめぐり、メーガン妃に対する人種差別的な行為が関係しているとの臆測が飛び交っている。

 ヘンリー王子夫妻が高位王族の地位から退き、王族からの経済的自立を目指すと決心する以前から、一部英メディアのメーガン妃に対する容赦ない報道は何か月も続いていた。

 メーガン妃は白人の父とアフリカ系米国人の母を持つ。2016年にヘンリー王子との関係が公になると、一部の新聞はメーガン妃に対する攻撃的な人種的固定観念を広めたとして、その報道姿勢が批判された。

 英紙デーリー・メール(Daily Mail) は2人の恋愛を特ダネとして報じ、見出しに「ヘンリーのお相手は(ほとんど)『ストレイト・アウタ・コンプトン(Straight Outta Compton)』 」と書いた。犯罪と貧困で知られる、米ロサンゼルスの一部地域を舞台にした映画のタイトルを引き合いにしたのだ。だが、実際にメーガン妃が住んでいたのはコンプトンではなくロサンゼルスの中心部で、通っていた学校は私立校だった。

 一方、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相の妹のレイチェル(Rachel Johnson)さんは、メーガン妃について「豊かでエキゾチックなDNA」があると発言していた。

 こうした報道や発言に対してヘンリー王子は異例の声明を発表し、「人種差別的底意のあるいくつものコメント」「ソーシャルメディアでの荒らしによる性差別と人種差別」と非難した。さらにネット上のコメンテーターらに対しても苦言を呈した。

 だが、ヘンリー王子の声明をもってしても人種差別に無神経な、あるいはそれよりもさらにひどい行為を止めることはできなかった。

■BBCを解雇された評論家も

 2017年には、デーリー・メールがメーガン妃の家系図を入手し、メーガン妃は「将来有望!」とその紙面に書いた。ヘッドラインには「綿花奴隷から王族になったメーガン・マークル家の150年」の文字が躍っていた。

 昨年5月に息子のアーチー(Archie)ちゃんが誕生した際には、英BBCのスポーツ担当司会者で評論家のダニー・ベーカー(Danny Baker)氏が、服を着たチンパンジーと手をつなぐ一組の男女の画像をインターネットに投稿した。画像には「ロイヤルベビーの退院」との説明文が付けられていた。

 ベーカー氏は後に「ばかげた冗談」だったと釈明したが、BBCは「重大な判断ミス」を犯したとして同氏を即座に解雇した。

 英王族の人々の行為をめぐっても、激しい論争が巻き起こった。

 エリザベス女王(Queen Elizabeth 供砲里い箸海任△襦▲吋鵐噺爵マイケル・オブ・ケント王子(Prince Michael of Kent)の妻、マリー・クリスティーヌ王子妃(Princess Michael of Kent)は、2017年にバッキンガム宮殿(Buckingham Palace)で開催された昼食会に黒人をかたどったブラックモアのブローチを着けて出席したが、これが問題視され、後に謝罪を余儀なくされている。昼食会にはメーガン妃の姿もあったのだ。

 王子妃の行為については、このスタイルの宝飾品が、奴隷のイメージを掲げるものであり、人種差別的だと批判された。

■繰り返されるレッテル貼り

 メーガン妃の王室離脱については、物議を醸し、紆余(うよ)曲折を繰り返す英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)とメーガン妃とをもじった「メグジット(Megxit)」と一部では称されているが、離脱と人種差別とは無関係であると主張する声もある。

 だが礼儀作法の専門家であるウィリアム・ハンソン(William Hanson)氏は、「悲しいことに、メディアのやっていることは、メーガン妃の人種を問題視しているようなものだ」と話す。

 ハンソン氏は、ウィリアム王子(Prince William)と結婚した中流階級出身のキャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge)にも言及し、同妃の出身階級を取り上げるやり方と全く同じだと指摘した。

 他方でメーガン妃を擁護する人々は、他の王族メンバーと比較する不公平な報道に同妃が耐えているともしている。

 他の王族がしても否定的に報じられることのない行動でも、メーガン妃の場合には批判の対象となり、メディアからは「気難しい公爵夫人」「気まぐれ」と繰り返しレッテル貼りをされてきたというのだ。

■「報道が偏狭という証拠はない」

 しかし新聞各社は、その報道姿勢に対する批判に耳を傾けるそぶりを見せていない。発行部数最大のタブロイド紙の大衆紙サン(The Sun)は14日、「報道が偏狭という証拠はない」と強気の姿勢を見せた。

 この中でコラムニストのトム・スレーター(Tom Slater)氏は、「彼らは最初、ブレグジットの原因は人種差別だと言っていた。今度はメグジットの原因を人種差別だとしている」と語っている。

 それとは対照的に、中道左派の英紙ガーディアン(Guardian)のネスリン・マリク(Nesrine Malik)氏は、人種差別であるという主張とそうではないと反対する主張が対立している状況について「英国における人種差別の無言劇」と表現し、その背後にはさらに大きな問題が隠れていると指摘する。

 同氏は、「人種差別をスポーツ観戦(のよう)にするメディアの怠惰、共犯、それに自己満足について語っている暇はない」と述べ、「歴代の保守政権は常に移民排斥を強めてきた。そのようなこの国の政治風土でじわじわと進む右傾化について話している時間はないのだ」と続けた。

【翻訳編集】AFPBB News

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