韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、新年早々、窮地に立たされている。緊迫している中東情勢をめぐり、米国からはホルムズ海峡の安全確保を目指す有志連合への参加を強要されているが、駐韓イラン大使からは「(参加すれば)われわれは黙っていない」と“恫喝(どうかつ)”されたのだ。さらに、敵対する検察は大統領府(青瓦台)を捜索した。経済も、政府系機関から「不振」の烙印(らくいん)を押されている惨状だ。

 「断交までをも考慮するほどの影響が出る可能性がある」

 駐韓イラン大使のサイド・シャーベスタリー氏は9日、韓国・中央日報の取材に応じ、米軍主導の有志連合への韓国軍参加について、こう語った。

 有志連合をめぐっては、同盟国・米国が昨年から再三に渡り韓国軍の参加を要請しているが、韓国政府は二の足を踏んでいた。そんななか、イラン側が脅しに近いかたちで牽制(けんせい)してきたのだ。

 日本は、河野太郎防衛相が10日、海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」とP3C哨戒機に対し、中東への派遣命令を出した。有志連合とは違う独自派遣だが、20日から活動を始める。

 イランには、中国とロシアが支持を表明している。このまま韓国が有志連合入りを拒否すれば、ドナルド・トランプ米政権から「韓国は中国にすり寄った」「裏切り者だ」と見なされかねない。

 文氏の悲願である検察改革でも、壮絶なバトルが繰り広げられている。

 韓国検察は10日、韓国南東部・蔚山(ウルサン)市長選の政治介入疑惑で大統領府に捜索に入った。文氏に近い与党系の現市長を当選させるため、選挙前に大統領府が前市長側の不正情報を警察に流して捜査させた疑惑が指摘されている。韓国メディアは「下命疑惑」と報じている。

 これに対し、大統領府は「見せしめ捜査だ」などと批判しているが、韓国法務省は8日、文政権に迫っていた検察幹部ら32人を一斉に交代させた。一部メディアはこれを「大虐殺」などと表現している。

 経済も回復の兆しが見られない。

 韓国の政府系研究機関は国内経済を10カ月連続で「不振」と評価している。中央日報が伝えた。

 研究機関が特に指摘するのは、投資と製造業の不振だ。設備投資が19年11月で2・3%減、10月で2・5%減と「似た流れ」と診断した。韓国経済の屋台骨ともいえる自動車も、現代自動車、起亜自動車など5メーカーの昨年の販売台数が前年比3・8%減と結果が出ていない。同機関は18年11月から19年3月までを「鈍化」と評価し、同年4月からを「不振」と評価している。

 文政権にとって、厳しい2020年の船出となっている。