最終ラインからチームを束ねた阿部。その存在は静岡学園になくてはならないものだった。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[高校選手権決勝]静岡学園3-2青森山田/1月13日(月)/埼玉スタジアム2002

 前年度の覇者である青森山田に2点を先行されながら、持ち前の攻撃サッカーで鮮やかに逆転し、見事に24年ぶりの選手権を成し遂げた静岡学園。そんな個性派軍団を取りまとめたのが、不動のCBとして君臨したキャプテンの阿部健人だ。

 鹿島アントラーズ入りが内定している松村優太(3年)をはじめとする技巧派のタレント陣が織りなす、多彩な攻撃が真骨頂の“静学”にあって、その存在は決して目立つものではない。だが、常に最終ラインでチームを統率し続けた主将の存在はなくてはならないものだった。

 決勝でもキャプテンシーが光った。前半は青森山田に1-2でリードを許し、阿部自身も相手の武田英寿と田中翔太の縦関係に苦戦を強いられていた。

 だが、ハーフタイムに「追いつけないとか逆転できないという気持ちにはなっていなかった」という阿部は、前半に苦しめられた相手のアタッカー陣に応戦。チームの逆襲劇を最後尾からお膳立てした。

 およそ260人を超える部員がいる名門・静学のキャプテンだけに苦労は少なくなかった。「(サッカー部に)周囲から批判的なクレームを受けることもあった」と振り返り、こう続けた。

「ピッチの中だけじゃなくて、ピッチ外でもチームを変えようと思って、身だしなみとかを自分から率先して整えるようにしたんです。キャプテンを務めさせてもらって、責任感もあったけど、仲間にも恵まれた」

 ピッチ内外で努力を重ねてきた阿部の次なるステップは、なんとアメリカ。9歳までアメリカで育った帰国子女であり、バイリンガルであることから「海外の環境の方が自分に合っているのかな」と、卒業後の留学を決断。15日には渡米し、滞在期間中には現地の大学でトライアウトを受ける予定になっている。

「日本を離れる前にチームのために結果を残したかった」と、高校生活最後の大会に誰よりも強い決意で臨み、まさに有言実行のタイトル奪取をやってのけた阿部。そんな背番号3の夢は壮大だ。

「アメリカでプロ、MLS(メジャーリーグサッカー)を目指したいですね。それと同時に大学でも自分の知識の幅を広げていけたらと思います」

 全国制覇の夢を叶えた静学のキャプテンならば、必ず“アメリカン・ドリーム”を掴む。そんな期待を抱かずにはいられない。

取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)