堀江貴文さんが目標も計画もたてない理由とは?

日本初の民間ロケットの打ち上げに成功、最近はYouTuberとしても注目される堀江貴文氏。さまざまなイベントや、ゴルフなどの趣味に国内外を飛び回る堀江氏は、スキマ時間に触るスマホで仕事の指示を送っている。

「いかに時間を使わずに多くのものを生み出し、効率よく世の中に伝えるか」を徹底する堀江氏の「時間術」とは? 堀江氏が何よりも大切にする「時間」だけをテーマにした初の著書『時間革命』から一部を抜粋・再構成して紹介します。

ぼくはいっさいの計画を持っていない

僕は「目標を持たない」のだが、「計画」というものもムダだ。

「まず3カ月以内に○○して、半年後には○○する。3年後には○○して、5年後、10年後には……」というふうに、やたらと細かくステップを踏みたがる人が多い。

いまだに「計画→実行→評価→改善」からなるPDCAの本がベストセラーになったりしているところを見ると、「将来の計画(Plan)からはじめる」というのが、人々の思考のクセになり、行動を妨げてしまっているように思う。

しかし、わざわざ段階を踏む必要なんてあるのだろうか? 0歩でたどり着けるなら、それがベストではないのだろうか?

極端な話だが、今この瞬間に、信頼する人から「6時間後に知的生命体のいる別の恒星系に向けてロケットが出発しますけど、堀江さんも乗りたいですか?」と声をかけられれば、ぼくは躊躇なく「もちろん!」と答えるだろう。

「何も訓練していないし……」とか「コンディションをもう少し整えてから……」とか「事故のリスクはないのかな……」とかいったことは考えない。

ぼくにとっての「やりたいこと」は、決して「いつか叶えたいこと」などではない。実現できるなら、今すぐにでも実現してほしいことばかりだ。

ぼくは何事についても、どうすれば「最短の時間・距離」で実現できるかを考えている。

例えば以前、テレビ局買収に向けて動いたことがあった。これは「テレビとインターネットを融合させれば、絶対に面白いサービスがつくれる!」という確信があり、「テレビ局の買収こそが最短ルートだ」と判断したからである。つまりぼくは、もともとテレビ局のオーナーになる「計画」を立てていたわけではない

現実の世界、とくにビジネスの世界では、将棋の棋士のように何手も先を読んで行動するのはナンセンスだ。経営計画とか経営戦略なんてものも、コンサル屋たちが稼ぐためにつくった「絵に描いた餅」だと思ったほうがいい。

「将来に向けて、どんなことを勉強すればいいですか?」

こんなことを聞いてくる人も、「計画」とか「戦略」の呪縛に陥っている。

ビジネスが計画どおりにいくことなんてない

何を学ぶべきかなんて、そのときになってみないとわからない。何かに“備える”ための勉強なんて、苦痛でしかないはずだ。

「大学に合格するため」「転職するため」「依頼された仕事を終わらせるため」「会社をつくるため」……など、短期的なゴールを達成するうえで、どうしても必要だから勉強するのである。

ぼくが起業したときだって、それまでは麻雀をやっては酒を飲むばかりの大学生だったわけで、何か具体的な勉強をして準備をしていたわけではない。サイト制作の依頼を受けるたびに、さまざまなプログラミング言語やデータベースなどの知識・技術を、独学で仕入れていっただけである。


「戦略的に段階を踏んでマーケットを押さえていく」というのは、お勉強好きな人間たちが後づけで考えた「お話」にすぎない。

「計画を立てることで、リスクを減らすことができる」なんて幻想だ。ビジネスが計画どおりにいくことなんてないし、何よりそんなことを考えている時間がもったいない

緻密な計画なんかなくていい。「やりたいこと」があるやつが本当に強い。

それを実現するための知識を、素早くインプットしていければ、もはや最強だ。

やりたいことがないまま、「何を学べばいいのか?」などと計略を弄するのは実にくだらない。

先のことなんてわからないし、わかりたくもない。唯一確かなのは、1年後も、10年後も、100年後も、ぼくは間違いなく何かにハマっているということだ。