写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[選手権準決勝]青森山田2-1帝京長岡/1月11日/埼玉スタジアム

 試合の行方を分けるビッグプレーだった。青森山田の2点リードで迎えた65分、帝京長岡のエース晴山岬がペナルティエリア内でボールを受けて完全フリーに。至近距離からの左足のシュートをGK佐藤史騎(しぶき)が完全に読み切って、左手一本のファインセーブで阻んだ。

 誰もが「入った!」と思った決定的なシュートだった。しかも晴山のシュートの前のプレーは、右からのクロスが流れたところを左から勢いよく走りこんできたDF吉田勇介が放ったミドルシュート。このシュートに佐藤は一度反応していたが、そのシュートを遮るように目の前で晴山がワントラップした瞬間、もう一度重心を立て直して構えたからこそ、冷静に晴山のシュートモーションを見て反応することができた。

 打った晴山自身も止められた瞬間、「マジか!?」と叫び、頭を抱えるほどのスーパープレー。2点はリードしていたが、47分にMF松木玖生の追加点の後はずっと帝京長岡ペースで、もしこのプレーがなかったら、帝京長岡はエースストライカーのゴールで1点差に迫り、さらに勢いに乗っていただろう。

 加えてこのプレーで佐藤自身が乗った。直後の67分、左CKから強烈なミドルシュートを浴びるが、正面に飛んできたボールを身体で包むようにキャッチ。一見簡単そうに見えるプレーだが、このミドルシュートは無回転でゴールに向かって揺れながら伸びてくる軌道だった。さらにシュートが放たれた瞬間、帝京長岡のFW2枚が詰めようと佐藤にプレッシャーをかけていた。キャッチかセーフティーに弾くか難しい判断の中、彼は軽くジャンプをして吸収するようにキャッチ。これもスーパープレーだった。

 77分にはMF田中克幸に鮮やかなドリブルシュートを決められてしまったが、そのシーン以外はどんなに帝京長岡に揺さぶられても佐藤はゴール前にどっしりと構え、同点ゴールは許さなかった。

 追いすがる帝京長岡を2-1で振り切り、2年連続となる決勝進出を果たした青森山田。間違いなく佐藤は立役者のひとりとなった。

「(65分のスーパープレーは)晴山選手の動きが冷静に見えていた。思わずガッツポーズが出るくらい快心のプレーでした。67分のプレーは無回転だったのでキャッチに行くか迷ったのですが、相手が詰めに来ているのも分かっていたので、キャッチングを選びました」
 
 試合後、佐藤は2つのプレーを振り返ったが、すぐに失点のシーンに言及をした。
「失点の時はブラインドになっていたのもあったのですが、ちょっと重心が高かった。そこは反省点です。重心の置き方は常に考えていて、高すぎると下のボールに行けませんし、低すぎると上のボールに行けないので、そこは状況を見て重心の置き方を考えながらやりたいです」

 佐藤は決勝進出だけでは浮かれてはいなかった。冷静に失点のシーンを振り返り、最後の1試合を制して2連覇をするために自分は何をすべきかを考えていた。

「黒田剛監督から『大会は生き物だ。何があるか分からない』と言われていたので、プレミアリーグに優勝したからといって選手権で勝てるとは限らないと全員が分かっていた。だからこそ次が大事。もう一度気を引き締めて、最後の1試合は無失点で締めくくりたい」

 最後はクリーンシートで終わる。青森山田の守護神は固い意志を持ってファイナルの舞台に挑む。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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