国民は戦争をどのように受け止めるのか。

2018年8月に出版された1冊が、今、注目を集めている。

ある日、戦争が始まる

1941年(昭和16年)12月8日未明、日本軍がハワイのアメリカ軍に攻撃を仕掛けた。

同日午前7時、ラジオは臨時ニュースとして「帝国陸海軍は、本8日未明、西太平洋においてアメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり」と放送する。

日本人は戦争をどう感じ、何を考えたのか。同書は、当時を生きた知識人・著名人の日記や回想録から「戦争の実感」に迫る。大本営発表を報じるラジオニュースの原稿を挟みながら、淡々と羅列される人々の言葉は、かえって生々しい。

表紙の写真では、街角で洋装の女性が男性とともに宣戦布告を報じる新聞を眺めている。その姿と表情に、差し迫った緊迫感はみられない。戦争が日常の延長にあったことを印象付ける。

付記として、開戦の日のことを書いた太宰治の短編小説「十二月八日」も収録した。

出版社によると、昨年12月27日(金)放送のNHKのラジオ番組が取り上げたことで再び注目を集めているという。

「朝、目覚めると、戦争が始まっていました」=提供:方丈社

同社は「太平洋戦争がどのような結果になったのかを知っている、私たちが読むと、開戦を喜んでいる人が少なからずいたということにまず驚くはず。戦争を知らない世代がほとんどになったいまだからこそ、読んでいただきたい作品」とコメントしている。

2020年1月3日、アメリカがイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を空爆で殺害した。イランは報復として、同8日に隣国イラクに駐留するアメリカ軍基地にミサイル攻撃を行い、両国間の緊張が一気に高まっている。

事態が平和的に鎮静化することを願ってやまない。

作家、政治家、芸能人ら56人を収録

【収録者一覧】

吉本隆明、鶴見俊輔、加藤周一、黒田三郎、ピストン堀口、新美南吉、岡本太郎、野口富士夫、保田與重郎、竹内好、埴谷雄高、中島敦、火野葦平、高見順、亀井勝一郎、坂口安吾、伊藤整、神山茂夫、木山捷平、山本周五郎、阿部六郎、古川ロッパ、島木健作、今日出海、中野重治、上林暁、矢部貞治、尾崎士郎、井伏鱒二、横光利一、金子光晴、獅子文六、河合栄治郎、近衛文麿、清沢洌、青野季吉、木戸幸一、室生犀星、中江丑吉、長與善郎、折口信夫、木下杢太郎、東條英機、秋田雨雀、高村光太郎、斎藤茂吉、松岡洋右、正宗白鳥、永井荷風、正宗白鳥、真崎甚三郎、徳田秋声、鶯亭金升、幸田露伴、徳富蘇峰(以上、開戦時年齢順)

小説:「十二月八日」太宰治

【朝、目覚めると、戦争が始まっていました】

編集:方丈社編集部
解説:武田砂鉄
発売日:2018年8月3日
定価:1200円+税
ISBN:97849089255344