内燃機関を積んだエンジン車にしかない魅力がある

 だれもが知るところのスポーツカーメーカーであるポルシェが量産EVのタイカンをリリースしたことからもわかるように、もはやEVだからといって走りがツマラナイというのは時代錯誤というのは周知の事実だ。

 しかし、それでもなお、内燃機関を積んだエンジン車にしかない魅力というものも存在する。それは現在でもフィルムカメラやレコードといった前時代のアイテムが愛されていることにも通じるところがあるのかもしれない。

1)満タンまでの速度

 EV最大の欠点といってもいいのが、充電にかかる時間だろう。どんなにのんびりやっても満タンにするまでに数分で完了してしまう内燃機関車に比べ、EVの充電は数十分単位の時間が必要となってしまう。

 また、まだまだ外部の充電設備は十分とは言い難く、週末や大型連休などになると場所によっては充電待ちの列ができてしまうほど。こうなると目的地に到着する時間も大幅にずれ込んでしまうのだ。

2)航続距離の長さ

 カタログ燃費で計算すると1回満タンに給油すれば1000kmを無給油で走行することも不可能ではないモデルも存在するエンジン車。一方のEVは現状、一番長い航続距離を誇る量産モデルでも600kmほどと差が大きい。

 もちろん大容量のバッテリーを搭載すれば航続距離は伸びるが、そうなると重量増や価格増がのしかかるという痛し痒し状態で、現状EVはロングツーリングには不向きというのが実情である。

エンジンルームには物足りなさを感じる

3)エンジンのルックス

 クルマ好きというのは不思議なもので、最近のようにカバーされたエンジンルームよりも、昔のようにヘッドカバーやマニホールドが露出したエンジンルームにときめきを覚えてしまう生き物だ。

 しかし、そもそもEVにはヘッドカバーや排気管という概念がなく、エンジンルーム(モータールーム)を覗き込んでも無機質なモーターやインバーター、高圧電流が流れるオレンジの配線がある程度で美しさや凄みを感じることはできないのである。

4)サウンド

 EVではどうしても実現できないもの、それがエンジンサウンドだろう。実用車ではそこまでではないが、うまく調律がなされたスポーツカーなどではエンジンの回転数と共に盛り上がるサウンドは気分を盛り上げてくれる重要なファクターと言える。

 また、街乗りではネガティブな方向にも作用する振動だが、純粋に走りを楽しんでいるときはその振動さえも心地よいビートに感じてしまうのだから不思議なものだ。