東京オリンピックで輝け!
最注目のヒーロー&ヒロイン 
バレー 柳田将洋 編

 昨年のワールドカップバレーで、男子日本代表のキャプテンを務めた柳田将洋。2019年2月に左足首を骨挫傷の影響もあって出場機会はあまり多くなかったが、常にチームを鼓舞し、途中出場でも強烈なサーブで試合の流れを変えるなど存在感を示した。

 現在は、ドイツのブンデスリーガに属するユナイテッドバレーズ・フランクフルトでプレーし、試合ごとに選出されるMVPに輝くなど調子を上げている。そんな柳田に、ワールドカップで感じた収穫や課題、東京五輪に向けた意気込みなどを聞いた。


ドイツ・ブンデスリーガで徐々に調子を上げる柳田 photo by Amy

――まずは、2019年の全日本でのプレーを振り返っていただきます。チームが4位と奮闘したワールドカップは、ケガ明けだったこともあり出場機会が限られましたね。

「たしかに、例年に比べてコートに立つ時間は短かったですけど、その中で自分の役割はしっかり遂行できました。もちろん、個人としてはプレー時間が長いほうがいい。でも、チーム全体のことを考えると、目標を達成できるかどうかが大切です。昨年の代表シーズンは、そのことについて自分なりに考えながら、キャプテンとしての役割を果たすことができたと思います」

――コート内外で、どのようなことを意識していたのでしょうか。

「当たり前のことですが、コートに立っていない時でも、気持ちは常にメンバーと共に戦っています。外から見ていて気づいたことがあれば、アドバイスをするなど話し合いながら解決していきました。自分がコートに入ったときは、『自分が何かを変える』というアクションを心がけていました」

――石川祐希選手と西田有志選手の活躍をどう見ていましたか?

「もちろんすごい活躍でしたし、石川と西田が中心となってチームを引っ張ったことが、4位という結果をもたらしたことは間違いありません。しかし、『2人だけがすごい』ということではない。周囲が2人を生かすことを考えてボールをつなぎ、動いたことも評価されるべきです」

――ほかに、チームとしてよかった点は?

「僕はちょっと例外になってしまうんですけど、チーム全体としてケガが少なかったですね。2018年は西田が、2017年は石川がケガをしてしまいましたが、2019年はそういったこともなくワールドカップに臨むことができました。大会中も、タイトなスケジュールでありながら離脱する選手がおらず、うまくメンバーを循環させて戦えたことは大きな収穫でした」


東京五輪で結果を残すため、高い意識を持って戦う重要性を説く photo by Nakanishi Mikari

――東京五輪に向けた課題を挙げるとしたら?

「ワールドカップではベストメンバーを揃えていないチームもありましたから、『4位』という順位を額面どおりに受け止めていてはいけないですし、納得している選手はいません。みんなが現状を冷静に見つめ、負けた試合について『どこを詰めれば勝てたのか』という点にフォーカスし、チーム力をアップさせていきました。

 東京五輪までに代表選手が集まってできることは限られています。だからこそ、所属チームに戻って戦っている選手たちが、今から『五輪に向かっていく』という意識を持ってプレーすることが重要だと考えています。そういった意識づくりは僕も経験がないですし、今の代表選手のほとんどがそうなので、難しい部分もあるでしょう。それでも、『五輪のコートにどう立つのか』ということを考えながら準備を進めていけば、また集まったときに高いレベルからチーム力を上げることができるんじゃないかと思います」

――柳田選手自身は、ブンデスリーガに戻ってからの調子をどう自己分析していますか?

「今はケガの影響もまったくなく、思いどおりにバレーボールができていますし、出場時間も多くなってきています。これからは、少しずつトレーニングの量も増やしていけたらと思います。先ほども言いましたが、ケガをして大一番に本調子で臨めないということは避けたい。正直、今はケガをしたことを忘れてしまうくらい動けていますが、体が動くようになるにつれて負傷のリスクも上がってきます。でも、それも十分に気をつけながらコンディションを高めることができています」
 
――チームメイトとの相性などはいかがですか?

「チームに合流したばかりで関係性を築く前は、コンビネーションやお互いの(サーブレシーブの)範囲などにギャップがありましたが、試合も重ねながら把握することができました。今のチーム状態はすごくいいと思います。ブンデスリーガは多国籍なリーグで、とくにうちはその色が強いんですけど、英語でしっかりコミュニケーションがとれています。昨シーズンまでプレーしていたチーム(ポーランドリーグ1部リーグのクプルム・ルビン)はほとんどがポーランド人選手で、みんな英語も話せるんですが会話はポーランド語が多かったですから、それに比べるとストレスが少ないですね」

――チームはリーグと並行して、ヨーロッパ各国のリーグのトップチーム(32チーム)で争う「チェブカップ」も戦い、昨年12月中にベスト8進出を決めましたね。

「ヨーロッパ各国の上位のチームと対戦できるチャンスはあまりないですし、そこから得られるものも多いです。ドイツ以外のヨーロッパのチームと試合をして、その力を肌で感じることは、代表での試合を考えても意味のあることだと思います。また1月の下旬からカップ戦の試合も再開されますが、そちらでもしっかり結果を出せるようにしていきたいです」

――現地でリーグの試合を見ると、常に柳田選手を撮影するテレビカメラが印象的でした。ドイツで柳田選手は「日本のスター」として扱われているようですね。

「なぜそういうことになっているかは、わからないです(笑)。『日本人選手の僕が珍しいのかな』と、あまり気にしないようにしています。もちろん注目してくれることはうれしいですけど、個人的にはスターとは思ってないですし、名前が先行しないよう気を引き締めていこうと思います」

――現地に応援に来る日本人のファン、日本から応援しているファンもたくさんいます。

「本当に多くの方が現地まで来てくれますし、こっちの試合を映像で見てくれている日本のファンもたくさんいて、さまざまなメッセージまでいただけることは『アスリートとして幸せだな』と実感しています。いいプレーや、勝利という結果で恩返しをしていきたいです。みなさんの応援をモチベーションにして頑張っていきます」

――東京五輪も見据えた、今後の目標を聞かせてください。「(2016年の)リオ五輪は出場権を獲得できず悔しい思いをしたので、その分、東京五輪で結果を残したい気持ちは強いです。そのために、まずはリーグでコートに立ち続けることが大切。そこで活躍し、存在感を高めていければ、海外勢と戦える力が自ずとついてくると思っています。そして、あらゆる世代の選手が融合しつつある日本代表を、さらにいいチームにしていきたいです」