結婚を目的に相談所に入会したにもかかわらず、男女のすれ違いが起こる理由とは(写真:Kazpon/PIXTA)

結婚相談所の経営者として婚活現場の第一線に立つ筆者が、急激に変わっている日本の婚活事情について解説する本連載。今回は、結婚相談所で起こる男女の「すれ違い」についてです。お互い結婚が目的で入会しているはずですが、それぞれの結婚観が異なることでお見合いや交際に至っても、温度差が生じてしまうことは珍しくないのです。

交際しても結婚が決まらない男女

ロマンを求めて恋愛したがる男性と子どもを産みたいと願う女性は本当に多い。「男はいつまでも少年」と俗に言われますが、結婚観も本当に少年のまま、非現実的な人がいます。結婚相談所で探したお見合い相手なのに、どこかで電撃的な運命の出会いを果たしたように思い込みたがるのです。

一方、子どもを産みたい女性は現実的で目的志向。「いつプロポーズもらえますか?」「いつ親に挨拶しに来てくれますか?」と期限を決めて段取りよく進めたがります。これではロマンを追いかける男性と背中合わせ。交際まで行ったのになかなか結婚が決まらないというカップルは少なくありません。


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そもそも女性が結婚相談所に入会する動機として「早く子どもが欲しい」はつねに上位にきます。とくに初婚の場合は多いですね。やはりリミットがあるものですから、焦ってしまうのは仕方がありません。不妊治療をしなければならないこともありますから、その費用を出してくれる人、協力的な人といった条件付きでお見合いをする女性もいます。

意識としては「この男性の子ども産みたい」ではなく「自分の子どもが産みたい」。自分の子どもを産むために見合う男性を探すという現実的な考えです。ですから、お見合いでは徹底的にリサーチをしますし、いつ何人子どもを産もうか、仕事復帰はいつになるか⋯⋯さまざまな計算をして成婚を目指します。

一方、ロマンを求める男性は、何度も何度もデートをして楽しんで、「好きだよ」「僕のこと好き?」とイチャイチャした時間を過ごしたいようです。いい中年になっても会うたびに「僕は〇〇ちゃんのここが好き。君は僕のどこが好き?」と聞いてくる男性もいるそうです。

女性としては何を考えているのかわからない。「私たちは結婚するために会っているんでしょう? どこが好きかなんて話は結婚してからでいいじゃないの?」とイライラし始める。こうしたパターンの場合、私たちが介入して進めていかないと一向に成婚に至らず、女性はしびれを切らして嫌になってしまいます。

20代後半の女性A子さん。お住まいの地域柄、同級生はほとんど結婚し、子どもが2人、3人いることも珍しくないそうです。そのためA子さん自身も「早く結婚しなきゃ」という思いが強い。

お見合いをした40代男性から「結婚しよう、結婚しよう」と猛アプローチが来たので、「じゃ、いつにしますか?」と話を切り出したところ、「もっとたくさん会って、毎日でも会って愛を確かめ合って疑似夫婦になってから」と言われたそうです。

女性の希望をスルーする男性

弊社は結婚相談所であって出会い系サイトではありません。日本結婚相談所連盟では婚前交渉を禁止しています。性交渉したことが発覚すれば成婚退会と見なし、成婚料をいただく規則となっています。「疑似夫婦」なんてありえません。

そこで仲裁に入り、男性が入会している相談所に「入会時にきちんとルールを説明してくださいね」と申し入れたうえ、「〇月〇日までにプロポーズがなければお別れします」と期限を設けました。先方の相談所は「ルールは説明したんですけど⋯⋯本人は『同棲してからでないと結婚できない』と言っています」と言う。困りますね。

30代半ばの女医B子さんと40代男性。B子さんは年齢的なこともあり、すぐにでも結婚して子どもを産みたい。必要があれば早期に不妊治療も進めたい。お見合いの段階でそうした具体的な話をして折り合いがつく男性と結婚したいと言います。

ところが、この40代男性にいくら話をしてもスルー。そればかりか会うたびに「君といられてうれしいよ」「好きと言って」などと迫ってくるそうです。会話がキャッチボールにならずドッジボール。もう10回も会っているのに、なかなか結婚が決まらない。結婚相談所では、お見合いをして交際が始まったら2〜3カ月でプロポーズが理想です。

結婚相談所でお見合いしているにもかかわらず、結婚よりもまず恋愛がしたい、幸せな時間を引き伸ばしたいと考える男性は、おそらく学生時代にあまり恋愛をしてこなかったと思われます。

30歳過ぎたら、手をつないでドキドキするような恋愛をするのは難しい。学生のときにできなかった初々しい恋愛を、今になって謳歌しているのかもしれません。

また、結婚したら女性がすごく怖いものになると考えている節もありそうです。会社で「うちのカミさんは怖いよ」などと冗談を言う男性既婚者は結構いますよね。結婚して奥さんに管理されるなら、ラブラブの交際期間を楽しみたい。そう思っているのかも⋯⋯。

「結婚式より妊活」を宣言して成婚

30代後半の女性C子さん。とにかく子どもが欲しい。だからセックスの相手として生理的に嫌になるような男性でなければ結婚すると婚活を始め、成婚となりました。

相手の男性に「なぜ彼女と結婚を考えたんですか?」と聞いたところ、お見合いの最後にC子さんが「私は子どもが欲しいから結婚したい。だから結婚が決まったらすぐに妊活に入ります。結婚式や新婚旅行はどうでもいいです。それを前提にお考えください」と宣言したそうなんです。

男性はびっくりしたものの「こんなデリケートなことをはっきり堂々と伝えることに敬意を表したい。本気で結婚する気があるかどうかわからないような女性よりよっぽどいい」と感心していました。

近年、結婚相談所でさっさと結婚する女性は、C子さんのようなわかりやすい女性が多い傾向にあります。言い方を変えれば「奥ゆかしさ」はないのですが、今や「奥ゆかしさ」という言葉は否定的な意味に変わってきています。

わかりやすい女性は「私はこう思います」と自分の希望をはっきり伝える。奥ゆかしい女性は「お任せします」と相手に判断を委ねておいて、いざ決まったらウラで愚痴ばかり。例えば、デートの場所も「お任せします」と言ったのに「あんな店」とケチをつける。それでは男性どうしていいかわかりません。

わかりやすい女性ならむしろ「この店はどうですか?」と自分からリードする。時には男性に対し「それは違うと思う」「そういう態度は女性が傷つく」と、男性がうまくエスコートできるように教えてあげることもある。教えながら成長させ、自分色に染めるわけです。

「LINEの意味がわからない」と憤慨

「わかりやすい女性」が「仕事ができる女性」かというとそれは別の話です。役職が上がれば上がるほど部下が細々としたことをしてくれて当たり前となり、自分は指図するだけ。その習慣を婚活に持ち込んでしまうと、「これ回答もらってないよね? どうして?」などと相手に強気に出てしまうんです。

頭の切れる20代女医のD子さんもそのタイプ。彼女は、相手の男性から送られてくるLINEに対して「意味がわからない」と言う。 彼女によると、相手の男性はポン、ポン、ポン、ポンと一言ずつ送ってくるそうです。ある時は7通送られてきたとのこと。読んでみると、その男性は7通の間に「これってどうなんだろうね?」「結局こうだよね」と自分で問いかけて自分で結論を出していたそうです。

そこで「よかったね」で終わればいいと思うのですが、D子さんは「7通も送ってきておかしいと思いませんか?」「自分で完結するなら、最初から質問を送ってこないでほしい」と仕事モードで憤慨。

私は「違うよ、それはつぶやきなんだよ。あなたに『フフフ』『そうだね、わかんないね』『そう思うよ』と送ってほしくて、つながっていたくて送ったんだよ」とやんわり教えてあげました。それでも納得いかない様子でしたね。

ロマンを求める男性は、女性からの幸せいっぱいの言葉を、ハートマークを待っているんです。その点が目的志向の強い女性には理解ができないようです。