「それでもぼくらは、アップルに注目してしまう:『WIRED』が振り返る2019年(ガジェット編)」の写真・リンク付きの記事はこちら

2019年も「WIRED.jp」では、多くのガジェット関連記事を公開した。振り返ってみると、やはりと言うべきか、読まれた記事のベスト3はアップルの話題が独占した。

カリスマとして君臨したスティーブ・ジョブズが2011年に亡くなって以降、アップルのクリエイティヴに陰りが見え始めたという声も少なくない。だが、されどアップル。毎年恒例の開発者向けカンファレンス「WWDC」の前になると、さまざまな憶測記事がSNS上に飛び交うのは相変わらずだ。それは、「それでもアップルは何か驚かせてくれる」という、わたしたちの期待の表れなのかもしれない。

そのなかにあって、2019年の最もセンセーショナルだったアップル関連のニュースは、ガジェットではなくジョブズ以降のアップルのクリエイティヴを牽引してきた最高デザイン責任者(CDO)のジョナサン・アイヴがアップルを去ると発表したことだろう。

ジョナサン・アイヴの退任に関する記事ジョナサン・アイヴがアップルを去る「本当の理由」「アップルの美学」そのものであるジョナサン・アイヴと、精神的な同志だったジョブズが共創したものアップルを去るジョナサン・アイヴが、デザインについて語っていたこと

アップルを離れ、盟友であるオーストラリア人デザイナーのマーク・ニューソンとともにクリエイティヴエージェンシー「LoveFrom」を立ち上げるというニュースは、まさに“驚き”をもって伝えられた。

今後もアップルとはビジネスパートナーとして関係は続いていくようだが、ジョブズ亡き後、ティム・クックとともに屋台骨を支えてきたアイヴが去るアップルは、果たして今後どのようなプロダクトでわたしたちを驚かせてくれるのだろうか。

10月末に発売された「AirPods Pro」は、間違いなくアップルらしい“驚き”をもった製品だった。アップルのみならず、ここ10年のガジェット全体を見渡しても、「iPhone」以降に世界に革新をもたらすようなプロダクトは生まれていない。まさに分断の時代において、メガヒット・プロダクトは生まれない、そんな空気さえ漂うなかで「AirPods Pro」はiPhoneに続くメガヒットの可能性を秘めたプロダクトと言えるかもしれない。

これまでも既存のプロダクトのマイナーチェンジを繰り返し、そのたびに“それなり”に驚かせてくれてはいたが、これほどまでにユーザーを納得させるプロダクトが登場するのは何年ぶりのことだろうか。『WIRED』US版、UK版ともに、細かなリクエストはあるものの、好意的なレヴューを挙げていることからも読み取れる。

5G普及元年とも言われる2020年は、どのようなプロダクトが登場するのだろうか。デジタル分野において中国企業が存在感を高めるなか、DJIのような中国系企業がますます躍進していくことは想像に難くない。それでも変わらずアップルが話題の中心をさらうのか、それとも新たなるドミナントが登場しているのか。2020年のガジェットを振り返るとき、アップルの牙城は崩されているかもしれない。