U-22ジャマイカに快勝したU-22日本代表

 2020年の東京五輪を目指すU−22日本代表が、U−22ジャマイカ代表との親善試合を行ない、9−0で勝利した。

 さすがに相手のプレーがこれほど淡白で、これほど点差が開いてしまうと、少々拍子抜けの感がなかったわけではない。事実、レゲエの国からやってきた若者たちはノリのよさを見せるどころか、ボールコントロールにミスが目立ってリズムに乗れず、苛立ち紛れのファールが多いわりに、球際での対応は総じて軽かった。勝って当然、の相手ではある。

 しかし、やるべきことを忠実にやり続けた日本の出来が、対戦相手との相対ではなく、あくまでも絶対評価において、11月のU−22コロンビア代表戦(0−2で敗戦)よりも数段よかったのは間違いない。

 コロンビアを相手に今日のプレー内容をぶつけていたら、結果はどうなっていただろうか。そんな想像をさせてくれる出来だった。

 では、この試合の日本は、何がよかったのか。その答えをひとつのキーワードで表すなら、「厚み」である。

 3−4−2−1の日本は前線の3枚、いわゆる”1トップ2シャドー”のボールアプローチを合図に、チーム全体が連動した力強いプレッシングを敢行。本来なら、ショートパスをつないで攻撃を組み立てたい(ように見えた)ジャマイカから、ことごとく高い位置でボールを奪った。

 もちろん、前線の3枚がプレッシングからそのままボールを奪えれば、言うことなしだが、たとえボールを奪い切れなくとも、相手のプレーを限定することで、中盤から後ろの選手はボールの行方を予測しやすくなる。

 そこで狙いを定めた中盤の選手が、ボールをカットする。あるいは、カットできなければ相手のプレーを遅らせ、その間に前線の選手がプレスバックしてボールを奪う。そんな「厚み」のある守備は、90分間に何度も見られた。

 3バックの右に入ったDF岩田智輝は、コロンビア戦の反省を踏まえ、こう語る。

「とくにみんなで話をしたのは、守備のところ。前線からのプレッシャーのかけ方だった。前回(コロンビア戦)も、前から(プレスに)行こうとは言っていたが、徹底できていなかった」

“惨敗”を喫したコロンビア戦と今回のジャマイカ戦では、先発11人のうち9人が入れ替わった。2戦連続で先発出場したのは、岩田のほかに、MF中山雄太がいるだけ。だからこそ、岩田は「雄太くんとも、試合の入りからしっかり準備していこうと話していた」という。

 チームを率いる森保一監督も、そうした選手たちの対応を称える。

「11月のコロンビア戦の反省を生かして、意思疎通をしっかりやること。個々が持っているものを100%出すだけでなく、互いのよさを引き出せるようにピッチ内外でコミュニケーションを取り、試合の入りからアグレッシブにプレーするところを選手が自分たちの意志でやってくれたことがいい形の勝利になった」

 もちろん、「厚み」があったのは、守備だけではない。

 ほとんど連係が成立せず、個人能力頼みの単発な攻撃に偏っていたコロンビア戦から一転、この試合では、高い位置にボールが収まると、後方の選手が次々にボールを追い越し、前線のスペースへと飛び出していった。

 後方でパスをさばくばかりでなく、相手ペナルティエリアまで再三進出した、ボランチのMF松本泰志が語る。

「前線3枚の動きがよかったので、相手がつられた。シャドーがいい位置に立ってタメてくれたら、ボランチも出やすい」

 まずは日本の2シャドーが、相手DFラインとMFラインのスペースに入ってボールを受けることで、相手DFを食いつかせる。相手のCBが食いつけば、中央に空いたスペースへボランチが、SBが食いつけば、サイドに空いたスペースへアウトサイドMFが、次々に飛び込んだ。サイドを使うにしても、ニアゾーンを使うにしても、相手ゴールライン近くまで深くえぐり、チャンスを作り出すシーンは多かった。

 日本は大量リードを奪ってもなお、ピッチ上の誰ひとり足を止めることなく、こうした質の高い攻撃を緩みなく続けた。そこに9点を取ったこと以上の価値がある。

 当然、攻守に厚みが生まれれば、それぞれが互いの厚みを増幅させる。松本が「見てもらってもわかるように、攻守の切り替えがすごく早かった」と言えば、岩田もまた、「攻撃の厚みが出る分、守備は楽になる。切り替えを早くして、相手陣内でゲームを進められた」と胸を張る。どれほど力の差があったとしても、相手にまともな攻撃機会を与えず、ほぼ完璧に敵陣に閉じ込めることなど、簡単にできるものではない。

 11月の惨敗と12月の快勝。両方の試合でキャプテンを務めた中山が、笑顔で語る。

「試合前のロッカールームや、アップのときから(コロンビア戦とはチームの)雰囲気が変わっていると思った。森保さんからの発信がありつつ、選手が行動を起こし、コミュニケーションをとったことが結果につながった」

 内容、結果ともに見るべきところがなかったコロンビア戦から1カ月ちょっと。あまりの出来の違いに、これができるならコロンビア戦でもやってくれよとも言いたくなるが、不甲斐ない試合内容が(コロンビア戦に出ていなかった選手も含めて)チーム全体に危機感をもたらし、ひいてはチームの強化につながったということだろう。

 ジャマイカの出来の悪さをいくらかは割り引いて考える必要があるとはいえ、東京五輪での金メダル獲得を目論むチームは、そのプレ・イヤーをひとまずいい形で締めくくったと言っていいのではないだろうか。