多くの旅客機の座席には、窓際なのに窓がない席があります。これらの席がなぜ発生するのかJALに聞きました。同じ会社の同じ機種でもあったりなかったりする窓なし席ですが、回避するには、どうしたらいいのでしょうか。

翼の上や胴体中央部に多い窓なし席

 航空会社で就航する多くの飛行機の座席には、「窓際なのに窓がない」席があります。たとえばJAL(日本航空)国内線主力機種のひとつ、ボーイング777-200型機(国内線用)の場合、15列目、25列目、45列目の3列に窓がなく、それらの窓際席は壁になっています。

 なぜこのような席が生じるのでしょうか。JALに聞いたところ「エアコンの配管を通しているためです」と話します。


JALのボーイング777-200型機。主翼上付近に窓がない箇所がある(2019年12月、乗りものニュース編集部撮影)。

 現代のジェット旅客機が飛んでいる高度1万mでは、外の気温が摂氏マイナス50度にもなります。対しエアコンが効いている機内の室温は摂氏25度前後で、旅客はおおむね地上との違和感なく過ごすことが可能です。

 多くの機種において機内の空気は、エンジンに取り込まれた高圧空気の一部を空調したもので、そののち客室の天井に一旦送られてから機内に流されます。おもにこの空調配管が通っているのが、窓なし席の壁の中だそうです。

 なお空調処理を行う中枢部分(空調パック)は、主翼の付け根にあるのが一般的です。配管はこの主翼付近に設置されていることが多いので、窓なし席は翼の上や胴体中央部に多いというわけです。

最新機種では減少傾向という窓なし席 回避策は?

 JALによると、新しいモデルの飛行機は、配管などのパーツが小型化され以前ほどスペースを取らなくなったため、窓なし席は徐々に減少傾向にあるとのことです。同社が2019年9月に新導入した国内線用エアバスA350-900型機は、前出のボーイング777-200型機とほぼ同様の座席数にもかかわらず、窓なし席は39列目の1列のみです。

 ちなみに、飛行機における座席配置のルールは「窓ひとつにつき1列」と決められているわけではなく、各航空会社の裁量で決められています。


ボーイング777-200型機の窓なし席。写真はANAの機材(2019年11月、乗りものニュース編集部撮影)。

 加えて同じ会社の同じ機種でも、窓なし席があるものとないものがあります。一般的に国内線仕様機は、座席の列を多く配することから窓なし席が増え、逆に国際線仕様機は座席数も少なめで列が減るため、窓なし席も減る傾向です。また国際線仕様機では、キッチン(ギャレー)などの機内設備を窓がない場所に設置するパターンもあります。

 なおJALやANA(全日空)では、チケット予約やチェックイン時の座席指定ページで、窓なし席がわかるようになっています。座席指定は空港のチェックイン機やカウンターでもできますが、チケット予約時に前もって指定可能です。

 さらにJALやANAの場合、航空会社や購入した航空券の種別、予約状況により差はありますが、出発2、3日前から指定できる座席が増えることもあるとのこと。予約時に一旦、座席を仮押さえし、出発数日前になったら再度、好みの席が空いていないか確認する人もいるそうです。