東京地検特捜部の家宅捜索を受ける自民党(離党済み)の秋元司衆院議員の地元事務所=19日、東京都江東区(時事通信社)

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◆粗贈収賄逮捕の秋元議員と「パチンコ」業界

 12月25日、自民党(離党済み)の衆議院議員、秋元司議員が東京地検特捜部に逮捕された。容疑は贈収賄。中国の「500ドットコム」の日本法人役員から不正なお金を受け取った疑惑が取り沙汰されている。秋元議員本人は潔白を主張しているが、特捜部の捜査は、当初のIR関連企業のみならず、秋元議員の元政策秘書が設立した会社にコンサルティング料を支払っていたという、大手パチンコチェーン企業にまで及んでいる。

 12月26日に配信された「JIJI.com」配信の記事、”東京地検、パチンコ会社を捜索 元秘書会社に「コンサル料」―秋元議員事件”では、
「秋元容疑者は一時、同社の顧問となり、顧問料を受け取っていた。元秘書2人の自宅が捜索を受けた後の今月9日、記者団に「経営に口出しもしていないが、仕事はやるべきことはやっていると聞いている」などと説明。顧問に就いたのは落選中で、「私に対し、やましいお金の移動もない」と語っていた。 捜索を受けたパチンコ会社は今年秋まで約2年にわたり、芸能関連会社に毎月20万円を支払っていたという。特捜部もこうした支払いを把握しており、秋元容疑者をめぐる不透明な資金の流れの解明を急いでいるもようだ」(同記事より)
と報じている。

 筆者としては、秋元議員が落選中に同社の顧問になり、顧問料を正規に受け取っていたのであれば、「仕事」の実態はどうであれ大きな問題はないと思うのであるが、やはり世間の耳目を集めているのは「パチンコ」というワードであろう。

 秋元議員とパチンコ業界とは縁が深い。特に自民党内に設置されている「時代に適した風営法を求める議員連盟」(以下、風営法議連)では事務局長を務めており、その事務局長を務めている秋元議員が逮捕され、自民党を離党(*25日に自民党に離党届を提出し、スピード受理されている)したことで、パチンコ業界関係者の間には衝撃と落胆が広がっている。

◆秋元議員が事務局長をしていた「風営法議連」とは

「風営法議連」は、主にパチンコの諸問題について考える議員連盟である。開催は不定期であるが、活動内容は他の議員連盟と同じく、多くの場合はパチンコ業界関係者が現状の報告や陳情を行い、業界外の有識者や行政とも連携を図りながら議員連盟としての解決策を模索し、必要に応じては政策として国会の審議事項にまで引き上げる役割を担う。過去には「パチンコ税」についての議論等も同議員連盟でなされていた。

 最近の「風営法議連」の活動は活発であった。

◆苦境のパチンコ業界の期待を受けていたが……

 IR法案の成立と時を同じくして、ギャンブル依存症問題がクローズアップされ、パチンコを含める、ギャンブル等依存症対策が国策として積極的に推進されるなか、パチンコ業界は、遊技機の射幸性の大幅な抑制や、ホール内における依存対策実施等のため、かなりの苦境に立たされており、特に新しい遊技機規則に則った新基準機の速やかな導入に際しては、射幸性と依存症の因果関係が不明瞭であるという問題も含め、依存症対策を推進したい警察行政側と議論の対立軸が多く生まれていた。

 この問題について対応していたのが、「風営法議連」であり、その窓口が秋元議員であったのだ。ちなみに「風営法議連」では2019年4月に、同問題に対する提言を採択している。

 設置されているすべての遊技機を2021年1月末までに新規則機に入れ替えなくてはならないパチンコ業界は、いまだ数多の問題を抱えており、政治の力に期待するところも小さくなかった。しかし今回の秋元議員の逮捕・離党によって、パチンコ業界にとっての「政治力」は限りなく制限されてしまった。議員連盟には、秋元議員の他にもパチンコ業界に詳しい議員もいるが、IRやパチンコに対するアンチテーゼが吹き荒れる報道や世論の動向を見る限り、その腰は重いだろう。

◆「パチンコバッシングに繋がるかも」と落胆する業界関係者

 或るパチンコホール経営者は言う。

「秋元先生の逮捕は業界にとって大きなマイナス。報道などでは、秋元先生に対する献金問題などが取り上げられるかも知れないが、それは合法的なものであり、特に問題はないと思っているが、報道のされ方によっては世論のパチンコバッシングに繋がるかも知れない。何よりも、今回の件によって、また政治家との距離が生まれてしまった。議連の活動には多少ならず期待していたのに残念だ」

 秋元議員の逮捕がもたらした衝撃の余波は、IR事業者たちよりも、パチンコ業界関係者たちを更なる苦境に追い込んでいるのかも知れない。

<文/安達夕>

【安達夕】
Twitter:@yuu_adachi