フィンランド・ラップランド地方にあるアミューズメントパーク「サンタクロース村」で、そりに乗る観光客ら(2019年12月2日撮影)。(c)Jonathan NACKSTRAND / AFP

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【AFP=時事】フィンランドの北極圏、ラップランド(Lapland)地方にあるアミューズメントパーク「サンタクロース村(Santa Claus Village)」は、トナカイのそりやスノーモービルに乗ったり、雪の家イグルーに泊まったりできる、1年365日クリスマスを味わえる場所だ。その真ん中には、サンタクロースが住むメルヘンチックなログハウスがある。

 観光業界のトップたちは1980年代、ラップランドの中心都市ロバニエミ(Rovaniemi)を世界公認のサンタクロースの故郷として打ち出すことにした。今では北極圏の冬を体験しようと訪れる観光客が、かつてなく増えている。

 しかしラップランドは同時に、先住民族であるトナカイ遊牧民、サーミ(Sami)人の故郷でもある。サーミ人たちは今、観光業界の一部の人々が侮辱的なサーミ人像を広めたり、古代から続く彼らの文化でもうけようとしたりしていると抗議している。

「毎日のようにサーミ人の住む地域に誰かがやって来て、『シャーマン(霊媒師)にはどこで会えるのか、サーミの魔女はどこにいるのか?』と聞かれる」と、フィンランドのサーミ議会(Sami Parliament)議長、ティーナ・サニラ・アイキオ(Tiina Sanila-Aikio)氏はAFPに語った。

 今では使われなくなった「ラップ人」という呼称でかつて知られていたサーミ人は、スウェーデン、フィンランド、ノルウェーの北欧3国北部とロシアのコラ半島(Kola Peninsula)にまばらに居住している。

 サーミ議会の議員らは、観光業者の中にはサーミ人ではないのにサーミ人を装う者や、サーミ人を「魔術を使う原始的な人々」といった描き方をして、みやげ物や催しを売り出している者がいると批判している。

 サーミ議会は昨年、サーミの文化保存のため、ツアー業者や観光客らに「倫理的責任」のある振る舞いを求めるガイドラインを発表した。

 3000年以上にわたり広大な森林地帯でトナカイ放牧を行ってきたサーミ人は、ラップランド観光で最も人気のあるハスキー犬のそりも批判している。議員らによると、ハスキー犬のそりはラップランドの伝統ではなく、また森の中を自由に歩き回っているトナカイに苦痛を与えているという。

 イグルーを使ったホテルの増加にも、サーミ人は反対している。イグルーは北極圏の別の地域から借りてきたもので、やはりラップランドの伝統ではない。

 イグルーは北極圏の文化を混合させ、均一化させてしまう恐れがあるとサーミ議会は警告している。代わりにラップランドの歴史に即した宿泊施設として、米先住民族の住居ティピに似たサーミ人の木造テント、「ゴーティ」を建てるよう観光業者に提案している。

【翻訳編集】AFPBB News

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