Filmarksで映画好きから高評価が集まるおすすめの邦画15本をまとめてご紹介。

アキラ AKIRA』(1988)

新型爆弾の脅威により勃発した第三次世界大戦。それから31年後、反政府ゲリラと軍との衝突が続く2019年のネオ東京で不良少年の金田は仲間たちとオートバイを乗り回す毎日を送っていた。しかし仲間の鉄雄とタカシがいざこざを起こしたことで金田たちは警察に逮捕されてしまうのだった……。

原作は大友克洋によるSFアクションコミックの金字塔。サイバーパンクな作風と未来世界を描いた映像美は多くの映像作品に影響を与えた。これまで幾度も実写映画化に関する報道があったが、タイカ・ワイティティ監督、レオナルド・ディカプリオ製作による2021年公開予定だった企画も現在は未定となっている。

『千と千尋の神隠し』(2001)

10歳になった千尋は、両親に連れられ引っ越し先へ車で移動していた。しかしその途中、車は地図には載っていない不思議な町に迷い込む。千尋だけが怪訝な表情を浮かべる中、両親は屋台にあった料理を勝手に食べ、巨大な豚の姿に変えられてしまう。ひとりぼっちになった千尋は、この町の支配者である湯婆婆が経営する湯屋で働くことに……。

日本が世界に誇るアニメ映画界の巨匠・宮崎駿監督が描く思春期を迎えたひとりの少女の冒険譚。国内では308億円の興行成績を収め、歴代興行収入トップの記録は未だに破られていない。第52回ベルリン国際映画祭ではアニメ作品としては初となるグランプリ金熊賞を受賞。世界中で大きな話題となった。

『ピンポン』(2002)

卓球で世界の頂点を目指す星野と幼馴染みの月本との友情が卓球を中心に描かれる。窪塚洋介と井浦新(ARATA)がそれぞれのキャラクターを好演し、多くの女性観客たちの心を鷲掴みにした。

監督の曽利文彦は本作が監督デビュー作で、松本大洋の原作の世界観を見事に実写化。近年の「マンガ実写化ラッシュ」の火付け役的作品となった。脚本は日本映画界のヒットメーカー、宮藤官九郎が担当している。

『サマーウォーズ』(2009)

並外れた数学力を持つ天才理系少年の小磯健二は、高校2年生の夏休みに密かに慕っていた先輩、夏希にアルバイトを頼まれる。連れて行かれた先は長野県の田舎。何と伝統ある一家を束ねる曾祖母の栄に彼氏として紹介したいと言うのだった。必死にその役目を演じようとする健二であったが……。

『時をかける少女』(06)の細田守監督初のオリジナル長編アニメーション作品。キャラクターデザイン・貞本義行、脚本・奥寺佐渡子など『時をかける少女』のスタッフが再集結。公開年の夏最大のロングランヒット作となり、国外では第42回シッチェス・カタロニア国際映画祭アニメーション部門で最優秀長編作品賞を見事受賞した。

『横道世之介』(2013)

大学進学のため長崎から上京した横道世之介(高良健吾)はお人好しの青年で、社長令嬢の与謝野祥子(吉高由里子)に振り回されながらも忙しく充実した大学生活を謳歌する。多くの人との出逢いは世之介にとってかけがえのない思い出となっていく。

吉田修一による青春小説を、『南極料理人』(09)や『キツツキと雨』(12)の沖田修一監督が映画化。劇団「五反田団」主宰の劇作家で小説家の前田司郎が共同脚本を担当。沖田監督らしい人間味とユーモアに溢れた物語に心温まる。

『舟を編む』(2013)

玄武書房の営業部に務める馬締光也(松田龍平)は、その得意な言語感覚を評価され、「大渡海」という新しい辞書の編纂編集部に配属される。そこには光也に負けないくらい個性的な編集部員が集まっていた。光也は辞書編纂に没頭しながらもある日、林香具矢(宮崎あおい)という女性に出逢い、たちまち恋心を抱くのだった……。

2012年本屋大賞受賞作である三浦しをんによる同名小説を『川の底からこんにちは』(10)の俊英・石井裕也監督が映画化。その緻密な映像表現が高く評価され、第86回アカデミー賞外国語映画賞の日本代表作品に選出された。第37回日本アカデミー賞では最優秀作品賞の他、6部門の最優秀賞を受賞。

『百円の恋』(2014)

30歳を過ぎても実家でだらしない生活を送っている斎藤一子(安藤サクラ)。ある日、妹が子どもを連れて出戻りしたことによって家族関係がぎくしゃくしだす。やむなく一人暮らしを決意した一子は、通っていた百円ショップでアルバイトも始めるのだが……。

足立紳による脚本を『イン・ザ・ヒーロー』(14)の武正晴監督が映画化。自堕落な生活からやがてボクシングに目覚めるヒロインを演じた安藤サクラの熱演が話題となり、瞬く間に上映館が拡大していった。その年公開の最高傑作として第88回アカデミー外国語映画賞日本代表作に選出され、第39回日本アカデミー賞で最優秀脚本賞、最優秀主演女優賞(安藤サクラ)を受賞している。

『シン・ゴジラ』(2016)

東京湾アクアトンネルが突如崩落する事故が発生。首相官邸で閣僚を集めた緊急会議が開かれ、内閣官房副長官の矢口蘭堂(長谷川博己)は未確認巨大生物の存在を指摘するが、聞き入れられない。ところが直後、海上に巨大生物が出現。街中を破壊し始めた生物を前になすすべもなかった。現代日本に初めてゴジラが現れた時、日本人はどう立ち向かうのか。

本作はゴジラシリーズ第28作『ゴジラ FINAL WARS』(04)以来12年ぶりのオリジナル作品として東宝が製作。『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明が総監督と脚本を担当し、実写版「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」シリーズ(15)の樋口真嗣が監督を担当。フルCGのゴジラ映画はたちまち大ヒットを記録し、第40回日本アカデミー賞では最優秀作品賞、最優秀監督賞ほか7部門で最優秀賞を受賞した。

『君の名は。』(2016) 

朝目覚めると身体が入れ替わっていた高校生の瀧と三葉。二人は不思議な結びつきによって、引きつけられながら、長いの姿を探し合う。時間の流れがまるで糸の結び目のように一つのファンタジーが紡がれる。

興行収入200億円を突破し、日本中が「君の名は!?」現象に沸き立った。空前のスマッシュヒットを放った新海誠監督の淡い恋の感覚が見事に結実した作品。ボイスキャストには、神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみらが名を連ね、主題歌/挿入歌をRADWIMPSが担当した。

『怒り』(2016)

八王子で起きた夫婦殺人事件の犯人は顔を整形し、今なお逃亡を続けている。事件から一年後、3つの都市で身元の知れない3人の男が現れる。その3人は、新たに公開された、夫婦殺人事件の犯人の顔とどことなく似ていた……。

吉田修一の原作を、『悪人』(10)などの李相日が映画化。渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮粼あおい、妻夫木聡とオールスターキャストが集結。先の読めない展開で、目が離せない作品。

『映画 聲の形』(2016)

小学6年生の石田将也はクラスのガキ大将。ある日転校してきた西宮硝子に対して不思議な想いを抱く。しかしその想いを伝えられぬまま、硝子は再び転校してしまう。5年後、高校生になった二人は再会するが……。

「週刊少年マガジン」に連載された大今良時の同名漫画を『映画 けいおん!』(11)の山田尚子監督が映画化。京都アニメーション制作の本作は人と人との繋がりをテーマに、活発な主人公と先天性の聴覚障害を抱えるヒロインの交流が描かれる。第40回日本アカデミー賞では優秀アニメーション作品賞を受賞した。

『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)

女でひとつで娘を育ててきた双葉(宮沢りえ)は突然の余命宣告を受け愕然とする。しかし前向きな彼女は4つの絶対にやるべきことを実行すべく、家出中の夫一浩(オダギリジョー)を連れ戻し、休業中だった銭湯を再開させたり、気弱な娘を独り立ちさせようと奮闘する。

自主制作映画『チチを撮りに』(16)で注目を集めた中野量太監督の商業デビュー作となった本作。心温まる物語が日本中を感動させ、第40回日本アカデミー賞では6部門を受賞。包容力のあるヒロインを熱演した宮沢りえは最優秀主演女優賞を、心優しい娘役に体当たりの演技で挑んだ杉咲花も最優秀助演女優賞、新人俳優賞を見事受賞した。

『この世界の片隅に』(2016)

戦時下の1944年。見知らぬ土地へ嫁にいった18歳のすずの日常が描かれる。幾度も空襲に襲われ、生活は少しずつ変化していく。そうしてやってきた昭和20年の夏……。激動の時代を生き抜いたた人々のくらしが描かれる。

こうの史代の大人気コミックを片渕須直監督が繊細な表現力でアニメ映画化。女優・のんが声優に挑戦し、主人公の声を担当。第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を見事受賞した、『君の名は。』に劣らぬヒット作。

『カメラを止めるな!』(2017)

自主制作の撮影隊がある山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影をしていた。監督の演出は妥協を許さず、テイクを重ね続ける現場は徐々に不穏な雰囲気に。するとスタッフのひとりがゾンビ化し、リアルな描写を求める監督は歓喜し撮影を続行するのだった……。

監督と俳優養成スクールであるENBUゼミナールの「シネマプロジェクト」第7弾作品として製作された本作は公開後、口コミによってたちまち上映館を増やし、低予算映画では考えられない程の大ヒットを記録。日本中がカメトメ旋風によって一大ブームを巻き起こした。監督の上田慎一郎の他、監督役の濱津隆之や妻役のしゅはまはるみなど無名監督・俳優たちがこぞってブレイクした。

『キングダム』(2019)

時は紀元前245年の春秋戦国時代。秦の国の戦災孤児である信(山崎賢人)と漂(吉沢亮)はいつの日か天下の大将軍になることを夢見て、日々鍛錬を積んでいた。そんなある日、漂が王宮に召し上げられることとなり、二人はそれぞれ別の道を歩むこととなるのだった……。

累計4700万部の発行部数を誇る原泰久によるベストセラー漫画を『GANTZ』(10)などの佐藤信介が映画化。主演の山崎賢人は“実写化王子”の名に相応しく古代中国の青年を体当たりの演技で熱演。他にも、吉沢亮、長澤まさみ、橋本環奈、本郷奏多、満島真之介、高嶋政宏、要潤、大沢たかおなど豪華キャストが揃った。

『万引き家族』(2018)

祖母の初枝(樹木希林)の年金に頼りに、治(リリー・フランキー)と信代(安藤サクラ)、治の息子祥太(城桧吏)、信代の妹亜紀(松岡茉優)が身を寄せ合って暮らしていた。彼らの生業は万引き。それでも一家の間には楽しげな会話が絶えなかったが、ある事件をきかっけにその暮らしは一気に破綻してしまう。

今や日本映画界が世界に誇る是枝日裕和監督による渾身の人間ドラマ。実際の事件を元に10年の構想をかけて製作された本作は、第71回カンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールを見事受賞。日本人監督としては、1997年の今村昌平監督作『うなぎ』以来の快挙となった。

【文・チャーリー】

※本記事で紹介する映画は国内最大級の映画レビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」のデータに基づいてセレクトしたものです。