【戸塚啓コラム】E−1選手権はなぜ納得のいかない戦いになったのか
システム上のミスマッチを是正するのは、監督の仕事でもある。森保監督は3−4−2−1のなかで選手たちの対応力を見極めたかったのだろうが、タイトルのかかった一戦である。追いかける展開となってからは、勝負に重心を置いた采配が求められたはずだ。
結果的に韓国に優勝をさらわれただけでなく、選手の対応力も監督のベンチワークも不満が残るものとなった。システムが違えばもっとできた選手はいたかもしれないが、海外組を交えたチームに食い込んでいきそうな選手は見つけられなかった。
また、U−22から日本代表への選手の吸い上げを考えても、同じシステムにしたほうが適合に時間はかからない。ふたつのシステムを使い分けるのは理想的だが、現状の3バックはシステムありきになっている。
日本代表の19年はE−1選手権で終了となったが、U−22日本代表は年末にテストマッチを消化し、来年1月早々にAFCのU−23選手権に挑む。
東京五輪アジア最終予選を兼ねた大会は、すでに出場権を持つ日本には優勝が絶対条件ではない。ヨーロッパでプレーする選手の招集も、普通に考えれば難しいだろう。
そうは言っても、「選手が揃わないから負けてもしかたのない大会」ではない。6月のコパ・アメリカと今回のE−1選手権などで、五輪世代を数多く日本代表で起用してきたのだ。何よりも、五輪で表彰台を目ざすとの目標に見合った戦いを、招集メンバーに関係なく見せていかなければならない。
20日には20年のスケジュールが発表される。関塚隆技術委員長と森保監督からも、20年へ向けた言葉が聞けるだろう。それを受けてさらに、代表について掘り下げていきたい。
1968年生まれ。'91年から'98年まで『サッカーダイジェスト』編集部に所属。'98年秋よりフリーに。2000年3月より、日本代表の国際Aマッチを連続して取材している