韓国戦にフル出場した上田もノーゴール。チームを勝利に導けなかった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 森保一監督はE-1選手権に向けて、ふたつのテーマを掲げていた。ひとつが「優勝」、そしてもうひとつが「チーム、選手個々の成長」だ。

 今大会の開幕前に以下のように話している。

「東アジアの諸国は国の威信をかけて戦いを挑んでくる。我々は対戦国以上の気持ちで、日本のために戦って勝ちたい。そして選手たちがその厳しい戦いをもって、貴重な経験を成長につなげてほしい。今回のメンバーにはU-22代表の選手も含まれていますが、まずはこの経験をもって、これからも代表を背負うということをこの大会で示しながら、さらに成長してほしい。結果にこだわりつつ、この大会で選手層を厚くする。チームも選手も成長させたい」
 
 しかし「結果」の面で見れば、まったく称賛できるものではなかった。1戦目の中国、2戦目の香港に連勝したまでは良かったものの、選手たちが「ここで勝ってこそ」と口を揃えて意気込んでいた3戦目の韓国戦で敗戦。しかも引き分け以上で優勝が決まる条件に加え、韓国よりも1日長く休養を取れた優位な立場にいながら、その状況を活かせなかったのだから、酷評されてしかるべきだった。

 序盤から韓国の圧力に成す術がなかった韓国戦の不甲斐なさを見ると、果たして森保監督は本気で勝とうとしていたのかと、そんな疑問すら浮かぶ。勝利を優先するなら、香港戦でハットトリックを決めた小川航基、圧巻のパスセンスを見せた大島僚太、切れ味鋭いドリブルで度々チャンスを作っていた相馬勇紀ら好調の選手を先発させるべきだっただろう。実際に、途中起用された大島や相馬は流れを好転させていた。

「韓国が激しさ、厳しさを持って押し込んでくるのは予想出来たところで、そこを上回っていけなかった。そのために監督として選手に準備させるところでやれることがあった。反省しなければいけないと思っています」と試合後に森保監督は自責の弁を述べたが、試合前も、試合が始まってからも、狙いが見えない采配ばかりだった。
 もちろん「成長」という部分では、収穫がなかったわけではない。中国、香港という格下相手にはある程度、理想通りに試合を進められて当然なので、パフォーマンスの評価は難しい。それでも香港戦で3ゴールを奪った小川が「得点する感覚はまた蘇ってきたというか、そこは自信がつきました。なによりA代表は目指していたところではある。メンバー的には東京五輪世代が多かったですけど、A代表をひとつ経験できたのは大きいと思います」と言うように、国際経験の浅い若手が東京五輪を前に、フル代表の舞台を経験できたのは、少なくとも前向きに捉えていいだろう。
 
 完敗に終わった韓国戦にしても、学べるものはある。

「マークを剥がして、あと1個パスが通っていれば、っていうシーンはあった。そこでミスが起きてしまうところがまだまだなと思うけど、逆にそこが出来ればビッグチャンスを演出できるとポジティブに捉えたい。韓国のような勢いを自分たちが出せるようにもしていかないといけない。そこは個人としても、チームとしても、この大会で学べたこと。いい経験になりましたし、これを次につなげないといけないと思います」(鈴木武蔵)

「成長」というテーマを達成できたのか、その評価が下せるのは、今後次第だ。この大会を意義あるものにするためにも、屈辱的な敗戦を受け入れ、チームの糧にしなければいけない。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)