「愛はお金で買える」というデヴィ夫人の婚活論が、ネットで話題になっています。「大好きだけど年収200万円の男性と年収1憶円の男性なら、断然後者と結婚したほうがいい」。なぜなら「どんなに好きでも年収が低い男性と結婚すれば、しだいに相手に対して尊敬や信頼がもてなくなる」から。国賓だったスカルノ元大統領の接待を命じられた際に見初められ、第3夫人となった人の言葉には、実績を伴う説得力があります。ご本人とて、第1夫人や第2夫人の方々との軋轢はあったでしょうし、そもそも異国で暮らすのです。文化へのとまどいだってあったでしょう。波乱に満ちた半生を送ってきてもなお、「好きでなくても、その男性に甲斐性があれば愛せる」と断言できるのはさすがです。

とはいえ、庶民の私たちも理解はしています。シンデレラとその継母娘たちがお城のパーティーに行きたかったのも、シンデレラが落としたガラスの靴を村中の娘たちが試し履きしたのも、人柄などはほぼ知らないけど、国いちばんのお金持ちである“王子様”と結婚したかったからだし、かぐや姫に求婚した貴族たちは自分がお金持ちだから結婚してもらえると思っていたわけで。そういった話を子供のころから読んでいれば、幸せな結婚=お金持ちという擦り込みはじわじわとされていくものです。もちろん、貧乏でも幸せな結婚はありますが、やはりそこには“でも”という逆接の接続詞がついてしまう。ということは、貧乏そのものは幸せじゃないんです。

20代の女性で「大好きな彼氏と結婚したいけど、お金がないから結婚できない」と、もやもや悩んでいる場合には、デヴィ夫人の言葉は胸に刺さるのかもしれません。結婚したい20代ならば、年収1憶円とはいわずとも、その彼に固執せず、次にいったほうがいいのかもしれない。じゃないとタイミングを逃したまま、どんどん大人になってしまう……。

愛情とお金のバランスの悩ましさ

周囲の独身アラサーも、「200万男と1憶男という金額だけで比べたら、もちろん1憶円のほうがいい」という人が圧倒的です。しかし、それと同じくらい「好きでもない男とは結婚するなんて、ムリ」という声が多いのも事実です。これが30代独身女子の総意なのかもしれません。

「年収1憶稼げるというスキルは尊敬に値するし、結婚したら金銭面で不安になることはないのかもしれないけど、尊敬がそのまま愛になるかっていうと話は別では?」「幸せな結婚を求めて婚活を頑張っているのに、相手は好きでもない男なのか?」と、もやもやしてしまうのです。

よく好きなタイプを「尊敬できる人」などと言うことはありますし、尊敬できる部分がなければ好きにならないかもしれません。でも、尊敬できるから好きになれるかっていうと、どうなんでしょうか。デヴィ夫人は極端な例として1億円という数字を挙げたのでしょうが、年収300万円時代と言われるなか、「確かに1憶円なら、自分の愛が売れるかも?」という人もいます。税金を払ったって5000万円くらいは毎年入ってくる計算になるからです。少なくとも、「このままひとりぼっちで死んでいくのかな」とか「病気になって働けなくなったらどうしよう」といった今の漠然とした不安を埋めるには十分といえましょう。

でも、年収200万円の人はたくさん知っているけれど、年収1億円なんて。芸能人がユーチューバーくらいしか思いつきませんから現実味がありません。では、いくらなら売れるのか?ということで、その2では、あずき総研が独身30代、40代に聞いた「愛はお金で買えるのか」について意見をご紹介します。〜その2〜に続きます。

プリキュア、セーラームーンより前の世代は、王子様と結婚してお城で暮らしたいと一度は考えたものです。