88分、籾木のPKで勝ち越し。3連勝で優勝を飾った。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[E-1選手権2019/女子]日本1−0韓国/12月17日/釜山九徳スタジアム

 わずか218名しか観客がいなかった1戦目の台湾戦、少し増えたと言っても、それでも570名と盛り上がりに欠けた2戦目の中国戦と比べて、明らかにこの日の会場の雰囲気は変わっていた。

 E-1選手権で2連勝を飾ったなでしこジャパンは12月17日、釜山九徳スタジアムで最終戦の韓国戦に臨んだ。引き分け以上で優勝、しかし負ければ順位が入れ替わるという事実上の決勝戦。“日韓戦”ということも相まって、今大会ここまで男子の試合も含めて最多の4218人のギャラリーが集まった。

 選手の入場時には歓声が上がり、試合前からここまでの試合の何倍もの声量の応援歌が轟いている。そんな韓国サポーターに負けじと、アウェーチームのサポーターも、少ない人数ながらも懸命に「ニッポンコール」を送る。集客が問題視されていた今回のE-1選手権で初めて、ようやく国際大会らしい雰囲気が生まれていた。

 そんなスタジアムの熱気に促されるように、試合もキックオフ直後から激しい肉弾戦の様相を呈していった。
 
 イニシアチブを握っているのは日本。4分にはパスカットした三浦成美から中島依美とつなぎ、最後は池尻茉由が鋭いシュートを放つ。42分にもテンポの良いパスワークから中島のシュートチャンスを演出した。

 しかし大きなチャンスと言えばそれくらいで日本の攻撃は停滞気味だった。右膝の怪我を負った長谷川唯に続き、今大会2戦5発のエース岩渕真奈までもがコンディション不良で離脱するというアクシデントも大きかっただろう。ふたりの主軸を失ったことで、ゴール前でのクオリティは明らかに低下。さらにはライバル韓国が予想外の奮闘を見せたことで、なかなかゴールが奪えず、0−0のまま試合が進んでいった。

 それでもこの日のなでしこジャパンが見せたのは、勝利への執念だった。

 ついに均衡が破られたのは86分、エリア内でボールを受けた籾木結花のシュートが相手のハンドを誘い、PKを獲得。これを籾木自らが冷静に決め、ついに待望の勝ち越しゴールをゲットする。結局これが決勝点となり、4大会ぶり3度目の優勝を果たすのだ。
 
「五輪で優勝を目指すうえで、この3連戦を勝てないようだと、絶対に果たせない。3連勝は最低限のことだと思っていました。そのうえで自分たちがやりたいことを積み上げられれば、というのを突き詰めていきたかった」

 殊勲の籾木が試合後にそう振り返ったように、今大会のなでしこジャパンが見据えていたのは3連勝のみ。チームパフォーマンスは決して良くはなかったが、“日韓戦”を勝利で終え、それを見事に体現してみせた意義は大きい。

 試合後、高倉麻子監督は言う。

「なかなか自分の思ったとおりにいかないなかでも、粘り強く試合をしながら、PKでの得点ではありますけども、勝利をもぎ取った。その意味では、チームの成長を感じますし、選手が勇気を持って戦ってくれて、この金メダルを獲れた。選手にはおめでとうと言いたいです」
 
 昨年はアジアカップ、アジア大会で2冠を達成しながら、今年6月のフランス・ワールドカップではラウンド16で敗退。世界との差を痛感させられた。だからこそ、この大会では実力を証明したかった。

「やはりワールドカップで負けて以降は、その悔しさがチームの根底にはあった。今日こうやって勝ち切るチームになりつつあることが非常に大きな自信になりますし、まだこれで終わりじゃないですけど、今年のいい締め括りができたんじゃないかなと思う」

 来年の東京五輪で再び世界と伍する。そして次こそは頂点へ――。リベンジを期すなでしこジャパンに“勝ち癖”が備わってきた。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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