岩渕の得点王トロフィーも代役で受け取ったMF中島依美(INAC神戸)

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[12.17 E-1選手権 日本女子1-0韓国女子 釜山九徳]

 大一番を前に攻撃の“2枚看板”が負傷離脱。危機的な状況に陥りながらも粘り強く戦ったなでしこジャパンが、4大会ぶり3度目となる東アジアの頂点に立った。代役キャプテンのMF中島依美(INAC神戸)は「選手たち一人一人が声を掛け合いながら助け合うことができた」とチームワークを誇った。

 第1戦の台湾戦を9-0で勝利し、第2戦の中国戦も3-0で完勝。理想的な形で優勝に向かおうとしていたなでしこジャパンだったが、最終戦を前にアクシデントが相次いだ。攻撃を牽引するMF長谷川唯が第2戦で負傷交代すると、翌日の練習では大会5得点を挙げていた主将のFW岩渕真奈も負傷。2人の大黒柱が離脱を強いられた。

 そうして迎えた韓国戦は戦前の予想どおり、攻撃の形を作るのにとにかく苦しんだ。台湾戦の2得点を皮切りにブレイクの予感を漂わせていたFW池尻茉由を前半だけで代える荒療治に出るも、代わって入ったFW小林里歌子も存在感を発揮し切れず。高倉麻子監督も「顔を上げてボールを前に運ぶ選手がいなかった」と苦しい表情で振り返った。

 しかし、そのような状況でも戦い方はブレなかった。引き分け以上で優勝が決まる中でも「得点を取って勝つ方向性で戦っていた」と攻撃姿勢は変えず、中央のパスワーク攻撃を連発。すると後半43分、MF籾木結花のシュートが相手のハンドを誘い、獲得したPKを籾木が決めて土壇場でゴールをこじ開けた。

「相手も勢いがあって難しかったけど、結果としてPKで得点を取って勝てたことが良かった」。そう振り返った中島は「そういう状況はあると思うし、ここにいる以上は責任や自覚は持っている。ピッチに立った選手は表現できないといけない」と主力不在を言い訳にしない姿勢を強く打ち出した。

 来年の東京五輪を見据えれば「さらに上を目指していかないと強豪国との差は埋まらない」(中島)と油断ができる状況にはない。それでも、選手たちはこうした目の前の一戦一戦を戦い続けていくしかない。「次に向けては良い大会であったし、優勝という結果は次につながる結果」。4大会ぶりのタイトルは、さらなる高みへのステップとなる。

(取材・文 竹内達也)