「AI国家戦略」について説明する崔起栄科学技術情報通信部長官=17日、ソウル(聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】韓国政府が急速に発展する人工知能(AI)を活用し、2030年までに最大455兆ウォン(約43兆円)の経済効果を創出し、現在、経済協力開発機構(OECD)加盟国中30位程度の生活の質を10位まで引き上げることを目標にした「AI国家戦略」用意して推進する。

 政府は17日の閣議でこのような内容を骨子とする「AI国家戦略」を発表した。

 崔起栄(チェ・ギヨン)科学技術情報通信部長官はこの日午後、政府ソウル庁舎で教育部や雇用労働部などの関係者と共に会見を開き、「AI国家戦略」について説明し、「人中心のAIの実現」を強調した。

 AI国家戦略は「IT強国を越えAI強国に」をビジョンとし、2030年までにデジタル競争力世界3位、AIを通じた経済効果を最大455兆ウォン創出、生活の質で世界10位達成などを目標に掲げた。

 このために政府は▼世界をリードするAIエコシステムの構築▼AIを最もうまく活用する国▼人中心のAIの実現――の3分野で9の戦略と100の実行課題を用意して推進することにした。

 AIエコシステムの構築分野にはAIインフラ拡充とAI半導体技術確保策が盛り込まれた。政府はこのために2021年までに公共データを全面的に公開し、24年までに光州にAI集積団地を造成する計画だ。

 AIを最もうまく活用する国を実現するために政府はすべての国民がAIの基礎的な知識を習得できるよう教育体系を再構築することにした。そのために来年、AI関連学科を新・増設し、AI大学院プログラムを拡大する計画だ。関連学科の教員が企業で働くことができるよう、副業も許容することにした。 

 また、来年から軍の将兵や公務員が必修でAIの基礎教育を受けるようにし、教員の養成・採用過程にソフトウェアとAI科目の履修を課す計画だ。

 さらに22年までに小学校・中学校でソフトウェアとAIの必修科目を拡大し、低年齢からこれらの科目を学ぶようにする方針だ。 

 人中心のAI実現の分野ではAIによる雇用の変化に対応するため、社会保険を拡大し、就職が難しい人たちのための就職支援サービスを提供する制度を来年から導入する計画だ。 

 またAIによる倫理的な問題に対応するためのAI倫理体系もAI国家戦略に盛り込まれた。

 崔長官は会見で「(今回の戦略は)世界の主要国と比較し、われわれはわれわれがうまくできる分野に国家的な支援を集中し、それと同時に単純な技術、産業戦略を超えて人に対する配慮と尊重を盛り込んで人中心のAI実現のための推進課題が含まれた」と話した。 

 また「教育部、雇用労働部、科学技術情報通信部が協力してすべての年齢と職種を網羅した全国民を対象とするAI教育体系を構築するという点も今回の戦略の特徴」とし、「AI時代にすべての国民がAIを活用して幸せな人生を送り、新しい機会を探せるようにすることを主眼とした」と説明した。