香港戦でA代表デビュー。それでも田中のスタンスはブレない。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 川崎ユースの生え抜きボランチは今年、急激なステップアップを遂げている。

 プロ3年目の田中碧は、2018年のリーグ戦では4試合の出場にとどまっていたにもかかわらず、19年シーズンのリーグ戦では24試合に出場。10番を背負う大島僚太や守田英正ら実力者が揃うボランチで、大きな存在感を示し、Jリーグが選ぶベストヤングプレーヤーにも選ばれた。

 これまで世代別代表の常連でもなかったが、今年6月のトゥーロン国際大会で初めてU−22代表活動を経験してから、ガラリと戦う環境が変わった。国内から世界へと目が向くようになった。トゥーロン国際大会で3番目の優秀選手に輝き、チームの準優勝に貢献すると、10月のブラジル戦では豪快ミドルシュート2発で王国の度肝を抜いた。

 そして、ついに12月、E-1選手権に臨むA代表に選出され、14日の香港戦で国際Aマッチ初キャップを刻む。

「出始めた頃はついていくことに必死でしたけど、初めて代表に呼ばれてプレーさせてもらった時から、フロンターレのなかで引っ張られる選手ではなく、フロンターレを引っ張るような選手にならなきゃいけないなと少しずつ感じていた。

 代表に来て、同い年とやる機会も増えて、自分が中心にならなきゃいけないなと感じるし、そういう自覚というか。他の選手にやってもらうではなくて、自分が局面だったり、ゲームを変える、そういうことをやっていかなきゃいけないなと。それはボールを保持していてもそうですし、ボールを持っていなくても、どの敵でも。それを、いろいろ海外で試合をさせてもらって感じている。その理想像ははっきりしてきました」
 
 飛躍のシーズンをそう振り返る田中から感じるのは、成長への意欲だ。ただ、それはがむしゃらに燃え盛っているというよりは、どちらかというと淡々と我が道をいっている、という印象を受ける。

 東京五輪へのサバイバルに訊かれた時も「五輪に向けてはそんなに考えていない。代表に生き残るっていうよりは、自分自身の成長のためにやっている。そしたらまた代表の舞台に呼んでもらえると思うから」と、あくまでクールに振る舞う。

「いろんな代表活動に呼ばれますけど、自分のスタンスはあくまで、毎日毎日成長するということ。そこがブレていないことが、今につながっているのかなと思います」

 ただただ成長のために、マイペースに突き進む。そんなスタンスが田中の飛躍の背景にはあるのだ。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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