戦術練習に入った日本代表MF田中碧(川崎F)

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 日本代表MF田中碧(川崎F)のA代表デビュー戦は、わずか67分間のプレータイムで終わった。「何もしていないというか、僚太くん(MF大島僚太)が決定的なチャンスを作っていたし、フロンターレで隣でやっているけど力の差、そういうものを感じさせられている」。E-1選手権第2戦・香港戦(○5-0)の後半22分、最初の交代カードでピッチを退く21歳の表情には悔しさばかりが浮かんでいた。

 それでも結論を言えば、田中の交代は温存策だった可能性が高い。森保一監督は第1戦中国戦(○2-1)と第2戦で先発全員を入れ替えた中、第1戦でボランチを担っていたMF橋本拳人(FC東京)の負傷離脱が決定(発表は第2戦試合後)。連戦中のローテーションを考えれば第1戦メンバーを中心に第3戦の韓国戦へ臨むのが自然だが、そこに欠員が出ていたためだ。

 実際、15日の練習ではその他の第2戦先発メンバーと一緒にリカバリーメニューをこなしていた田中だったが、16日の練習では第1戦先発メンバーにただ一人混じって戦術メニューに参加。これまでと同じ3-4-2-1のフォーメーションを置いた中、MF井手口陽介(G大阪)とのダブルボランチでプレーする姿が見られた。

 ところが、田中自身に「温存された」という意識はなかった模様。「結局、次出るか出ないか分からないし、(第2戦の自分は)良くなかったので。自分ができるものはもっとたくさんあったと思う」。香港戦での途中交代は素直に自らの力不足と受け入れ、フラットな気持ちで次の試合に臨もうとしている。

 もっとも、第3戦の相手は今大会で最大の強敵である韓国。来年の東京五輪代表に生き残りをかける田中にとって、大きなアピールのチャンスが到来しそうなのは間違いない。「次が一番大事なので、次の試合でどれだけできるかが自分の力の物差しになる。できなければ力が足りないということ」。そうした思いは田中もわきまえている。

 引き分け以上で3大会ぶりのタイトル奪還が決まる日韓戦。「小さい頃から見ていたし、そこは自分の中でも思うところはある。負けちゃいけない相手だと思うし、厳しい試合になるのは分かっているし、なかなか簡単に勝てる相手じゃないとは思うけど、自分の力を出せれば敵わない相手じゃない」。代表デビュー戦での悔しさと向き合う21歳が、決意の2試合目で本領を発揮する。

(取材・文 竹内達也)