A代表デビュー戦でハットトリックを達成した小川航基。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 E−1サッカー選手権、香港戦に出場した小川航基は、26分、45+1分、58分にゴールを決め、日本代表史上3人目の、A代表デビュー戦でのハットトリックを達成。5−0の勝利に貢献し、東京五輪代表のFW争いで大きな存在感を示した。

 圧巻のゴールショーだった。

 小川は1トップでA代表初出場を果たすと、エンジン全開でゴールを狙った。

 1点目は26分、田川亨介からのパスをペナルティエリア前で受けると、左足でトラップして横に流し、回転して右足で決めた。14分に田川が代表初ゴールを決めていただけに、小川も負けていられないと狙っていたのだろう。イメージ通りの素晴らしいミドルを決め、満足そうに両手を振って軽くガッツポーズをした。

 2点目は前半アディショナルタイムの45+1分、菅大輝からの折り返しを冷静に左足で1回止め、右足のトゥーキックで決めた。ゴール前でも慌てず、冷静なシュートだった。

 3点目は58分、左サイドの大島僚太からのクロスを一度相手DFに当たり、ボールが変化するが、そのボールに反応しヘディングを決めた。多彩なゴールパターンを見せ、万能型と言われる小川の良いところが全て出た3ゴールだった。
 
 小川にとっては、香港戦は年度末の期末テストだった。

 FWの序列は、選手起用から容易に読むことができる。初戦の中国戦は上田綺世がスタメン出場を果たし、田川が途中出場した。今回、招集されたFWの中における小川のポジションは鈴木武蔵を除くと東京五輪世代では3番目という位置づけだ。香港戦は、その序列を変えられるだけの活躍ができるかどうか――。

 今シーズン、小川は常に危機感を抱いてプレーしてきた。

 大きなショックを受けたのは、6月にコパ・アメリカに参戦する東京五輪の主力組に招集されなかったことだ。小川は、トゥーロン国際大会を戦う方の代表チームに招集され、メキシコ戦、ブラジル戦で1ゴールずつ上げて、チームの勝利に貢献したが、強烈なインパクトを残せなかった。

「なんか忘れられていた小川航基がまだいたんだぐらいのニュアンスだったと思う。これじゃ何も状況は変わらないし、このままじゃコパに行けなかった選手が東京五輪代表から落選してしまう。コパに行った選手を蹴落とすためには、自分がゴールを取るしかない。FWは、誰がどのくらい点を取るのかというところに掛かっているんで、そこだけを意識してやっていく」
 7月、小川は磐田からJ2の水戸に移籍した。磐田で出場機会がないままシーズンを過ごしては成長が望めず、東京五輪代表の椅子も失ってしまうと判断したからだ。小川は、水戸で貪欲にゴールを求めた。

「15点は取りたい。そのくらいやらないと僕がここに来た意味がなくなる」

 自分を追い詰め、ハードなノルマを課した。だが、最終的に水戸では17試合出場7得点に終わった。水戸では自分が望むような結果を出せなかったが、U-22日本代表の北中米遠征に参加し、11月17日のU-22コロンビア戦に招集され、後半から出場したが、ともにゴールという結果を出すことができなかった。

 そして、今回、E-1選手権に出場する日本代表に招集され、チャンスをもらった。

「A代表で、あの時(トゥーロン)の小川航基が頑張って這い上がってきたと思われるようにならないといけない」

 その決意で、香港戦のピッチに立った。そして、ハットトリックという満点解答で序列にくさびを打った。どんな相手だろうが、キッチリと点を取り、結果を残すことがFWの役目だ。A代表初出場で、ハットトリックを決めたことは自らの評価を高め、森保一監督にも強烈なインパクトを与えたことだろう。

「もっと点が取れたと思う」試合後も小川が貪欲な姿勢を見せたのは、同期の仲間たちに圧倒的な差をつけたわけではないからだ。