貪欲に仕掛け続けた上田(手前)。決して手放しに喜べる内容ではなかったものの、日本の若きタレントたちは随所で積極性を前面に打ち出した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 火曜日に行なわれたE-1東アジア選手権、日本対中国の一戦は、2−1で前者に軍配が上がった。

 若き森保ジャパンに2点をリードされながらも終盤に猛攻を仕掛けて1点を返し、最後まで食い下がった中国代表。一夜明け、その戦いぶりに対しては、ファンやメディアの間で賛否両論が渦巻いている。

 そんななか、中国共産党・機関紙のひとつである『北京青年報』が、冷静かつ的確な分析を試みた。銘打ったのは「1−2というスコアでは推し量れないほど、日本と中国の間には依然として小さくないギャップがある」という一文で、主筆のジャン・クンロン記者が次のように論じている。

「まず確認しておきたいのは、日中どちらも正規のA代表ではなかったという点だ。日本は平均年齢が22歳前後の若いチーム構成。一方の中国も何人かの主力を欠き、代表経験が豊富なベテランが多いとはいえ、リ・ティエ新監督の下でとりあえず繕ったような寄せ集めである。だからなおさらだろう。両国の“違い”が如実にピッチ上で浮き彫りになったのだ」

 クンロン記者曰く、日本は中国と同じく序盤から少なくないパスミスをしていたが、彼らのそれはチャレンジした結果のもので、誰かがミスを犯せば、他の選手がカバーすべくしっかり連動していたと分析。「若いながらも技術の使い方、試合のペースの掴み方を分かっていて、戦術理解の深さもある。日本人は本当にサッカーをよく知っていて、ハイブリッドな集団だと認めざるをえない」と称えた。

 とりわけベタ褒めしたのが、29分の鈴木武蔵の先制点だ。佐々木翔のクサビを上田綺世がヒールで流し、颯爽と走り込んだ森島司が左サイドを抜け出す。すかさず中央へグラウンダーのパスを送ると、鋭く呼応していた鈴木が左足で倒れ込みながらダイレクトでゲットした。こちらを「見事に洗練されたチームゴール。現時点の中国代表にはほぼ望めない形のゴールだ」と絶賛したのだ。

 
 かたや母国代表チームに対しては、かなりシビアな論調を展開した。

 中国の選手たちは、31分に起こったジャン・ジーポンの橋岡大樹に対する“ハイキック”が象徴するように、ミスが重なると余裕がなくなり、ラフプレーが増加するばかりだった。同記者は「パスを繋ごうという意図は中国の選手たちからも感じられたが、ひとつのミスがミスを呼び、徐々に消極性が先に立ってしまった。個と個が難局を克服するために助け合うこともなく、共通の理解が得られていなかった」と嘆き、「チームはマシンで、選手はパーツ。各パーツが機能的に絡み合ってこそ、良いマシンが生まれるのだ。日本と中国の差は、そうしたところに如実に表われている」と断じた。
 それでも、クンロン記者は苦言を呈するばかりではない。2点をリードされてからの中国の反発は称賛に値すると持ち上げ、アディショナルタイムに奪った意地のゴールは、代表チームとしての尊厳を示すに足る場面だったと論じた。

 ただ、中国サッカーは根本的に「時代遅れだ」とも言う。若手育成がいまだ軌道に乗っていないのが最大の要因だと訴える。

「ひと昔前に比べれば、中国サッカー界の若手育成に対する考え方はかなり改善されただろう。でも、まだまったく十分ではない。国や協会を挙げての取り組みや確固たる指針はなく、なによりも同時に進めるべき指導者の育成がまるでなされていない。サッカーの競技人口が増加傾向にあっても、これでは明るい展望は描けない。抜本的な改革が必要で、ここを怠るなら、日本や韓国との差は今後もっと広がっていくだろう」

 そして同記者は「昨日(火曜日)の試合で、ベテラン揃いの中国代表はサッカーをよく知る若き日本人選手たちの軍門に降った。まさに今季のアジア・チャンピオンズリーグで、Jリーグ勢が中国クラブを凌駕したのと同じようにだ」と、最後まで手厳しかった。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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