国際Aマッチ6試合目での初ゴールを挙げた鈴木。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 国際大会の初戦は、いつも難しいものだ。

 相手の力、個のレベル、環境面などを把握したり、相手が出足からラッシュして攻撃してきた時、どうしてもチームがバタバタしてしまう。そういう時、チームを落ち着かせ、自分たち本来を取り戻すキッカケになるのが先制点だ。

 東アジアE-1選手権、初戦の中国戦、その先制点を挙げたのが、鈴木武蔵だった。

 鈴木にとってシステム的には、札幌と同じ3−4−2−1の右シャドー。今シーズンJリーグで13得点を稼いだポジションゆえに、やりにくさはなかっただろう。実際、プレーを見ていて、窮屈な感じはしなかった。

 今回の代表に、鈴木は大きな危機感を抱いていた。3月のコロンビア戦で初めて代表に招集された。その後、コンスタントに代表入りをしていたが、11月のベネズエラ戦ではボールが収まらず、前半での交代となった。スタメンのチャンスを与えられたが機能せず、ゴールも奪えず、「試合に出してもらっているけど、まだ結果を出せていない。FWも競争が激しいんで、点を取らないとヤバいという危機感はすごく抱いています」と、思い詰めた表情で話をしていた。

 あれから1か月弱、待望の初ゴールが重要な先制点となって生まれた。
 

 29分、上田綺世のヒールパスを受けた森島司が縦に走り、グラウンダーの早いクロスを中央に送った。飛び込んできた鈴木が左足で決めたのだ。森島らが鈴木に抱きつき、歓喜の輪ができた。このゴールに至る一連のプレーは今シーズン、札幌で身に付けたものだ。

 鈴木の利き足は右だが、「今シーズンは左の方が決められる。シュート練習は右でばっかり打っているんですけど。左だと力抜けていい感じなんですよ」と左足のシュートに自信を持っていた。このゴールもボックスに飛び込んで、早いボールに伸ばした足をきれいに当てて決めた。今年、鈴木が絶対的な自信を持っている左足のシュートのうまさが見えたゴールだった。

 また、このゴール直前の動きも秀逸だった。

 動き過ぎず、クロスが来るだろうなというタイミングでペナルティボックス内に素早く入って行った。それは、ミシャ(札幌のペトロヴィッチ監督の愛称)から学んだものである。

「ミシャさんは動き過ぎると怒るんですよ。ゴール前は動き過ぎないように我慢して、ワンチャンスで決めろと言われています」
 
 さらにプレーの予測ができるようになったことも大きいという。

「次、どこにボールがいくのか。どう動けばいいのか。予測できるようになった。それもミシャさんに教えてもらってできるようになったことですね」

 もちろん、ミシャの求めるものと森保監督が求めるのは若干違いがある。

「森保監督には、できるだけでぺナルティボックス内で動いてほしいと言われるし、真ん中での駆け引きだったり、ポストワークを求められる。それをこなした上でゴールをしっかり奪うことが求められる」

 鈴木は、自分をより活かすにはもっと周囲の選手とすり合わせていく必要があると思っていた。ベネズエラ戦も自分が動き出すタイミングなどもっと要求すべきだった反省していた。

 今回は、東京五輪世代の若い選手が多い中、刷り合わせていくのが大変だった。それでも先制点のようにうまく繋がってゴールが生まれたのは、短い時間の中で鈴木の動きを森島が理解していたからだ。
 
 もっとも鈴木は攻撃だけではなく、自陣に戻って相手をチェイシングするなど守備面の貢献度も高い。中国戦でも目立たないが相手サイドの選手やボランチなどにもプレッシャーをかけていた。中国戦は、初ゴールを生み、結果を出したという意味では及第点がつけられるだろう。ただ、鈴木自身は満足していない。国際Aマッチ6試合目での初ゴールなど、遅いくらいだと考えている。

「もっともっと獲れるようにしたい」

 札幌でもゴールを奪った後、よく同じことを言っていた。そういう貪欲さは、FWとして、日本代表の選手として、不可欠なもの。初ゴールを挙げたことで、これからは肩の力が抜け、自分らしいプレーがより発揮できるはずだ。依然として胸の中に危機感は残るが、今の鈴木なら香港戦、韓国戦でも多くのゴールが期待できるだろう。

取材・文●佐藤俊(スポーツライター)

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