【記述式の問題点についてはこちらの記事を参照:大学入試共通テスト問題。「記述式」で生じる3つの大きな問題<短期連載:狙われた大学入試―大学入学共通テストの問題点―>】

 さらに、論述形式の記述式の問題はすでに国公立大学の個別試験(2次試験)で出題されています。

Q.2:センター数学は4択5択で解答するから思考力が育たない。(元文科大臣)

 一度、今年のセンター試験の問題をご覧になってから発言されるとよいと思います。確かに、ある条件が「必要条件」か「十分条件」か等を選ぶ問題では4択から選ぶ問題ですが、問題のほとんどはそのようになっていません。そこから、センター試験の性格がわかります。

 それから、共通テストの試行調査の問題はご覧になっているでしょうか。共通テストの方が多岐選択式問題は増えています。残念なことに共通テストの方が思考力をはかる点では後退しました。

Q.3:記述式はどんなマークシート方式よりも優れているものなんだ。(元文科大臣)

 果たしてそうでしょうか。例えば、「さいころの目で3の倍数は何個あるか」という問題で、「2と書く」のと「2をマークする」のはどれほどの違いがあるのでしょうか。それは、公平性が失われることを犠牲にしても達成しなければならないことかは疑問です。

Q.4:野党は、今のマークシート型主体の入試のままでよいと思ってるのだろうか。(政治評論家・雑誌編集者)

 共通テストの試行調査の問題を見るとおわかりになることですが、共通テストになってもマークシート型主体であることには変わりはありません。記述試験は、「数学I」「数学I・数学A」にのみ課される試験で、「数学II」「数学II・数学B」の試験には出題されません。

Q.5:マークシートで本当の能力が測られる時代ではないことを認識すべき。(議員)

 まず、国公立大学に限れば82大学の中で81大学が2次試験に記述式、しかも共通テストよりもはるかに質の良い論述式の問題を出題しています。一方で、センター試験のみで合否を判断する大学も少なくないのは事実です。そのような大学は、本来2次試験などの個別試験で記述式の問題を出題した方がよい「できない大学」です。もしも、「できない大学」のために共通テストに記述式を導入するのなら、きちんとした論述型のものを実施しなければ意味がありません。もちろんそれには実施可能かという問題がつねに存在します。今の共通テストの記述式では役に立ちません。

 一方、「できる大学」には何のメリットもありません。それよりも質の良い試験を実施しているのですから。メリットはなく、公平性などのデメリットだけがある試験を押しつけることになります。

◆共通テストは難癖つける連中のいう問題点を増してるだけ

Q.6:日本は詰込み式の教育から切り替えていくべき。そのためには記述式が必要。(ジャーナリスト)

 まず、教育を詰込み式にするかどうかは、半分は教える側の問題です。教える人が詰込み方式にすればどんな問題を出題しても詰め込み教育になります。この場合は、教える側の問題で、記述式を出題すべきかどうかという問題とは別に議論する必要があります。

 次に、自前で入試問題を作ることができる「できる大学」が出題している入試問題をご覧ください。例えば、東京大学ほど入試問題に多くの対策がとられる大学はありません。しかし、目先の対策では解けるようにならない問題がほとんどです(時々、小手先のテクニックで解ける問題もあります)。

Q.7:(記述式の方が)技量が如実に現れる。

 一般には、その意見は正しいのですが、残念ながら共通テストで出題される問題は技量が如実に現れる問題ではないのです。また、マークシート方式でも技量が如実に現れる問題はある程度は作ることは可能で、これまでのセンター試験がそれを証明してくれています。