E-1選手権のメンバーでは3番目の年長者に。責任感は強まっている。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 16歳でフル代表に選ばれた、かつての天才サッカー少女は今や、なでしこジャパンのエースだ。12月10日から韓国で開幕したE-1選手権に参加している岩渕真奈は、「自分の明るさで、チームの雰囲気を引っ張れたらなと思います」と笑顔を見せる。

 26歳となった岩渕は今大会のメンバーの中では、中島依美、池田咲紀子に次ぐ3番目の年長者。さらにはインターナショナルマッチデー期間ではなく招集の強制力がないため、フランスのリヨンで活躍するキャプテンの熊谷紗希は不在。自ずとチームを引っ張る意識は強まっている。

「高倉さんになってからチームが変わって、そのなかで、いろんな経験をさせてきてもらっています。だから自分がやらなきゃなという気持ちは持つようにはなっています。でも、やっぱり今回のチームでは上から3番目で、今までよりも、強く思うんじゃないかなと思います」

 2016年4月に高倉麻子監督が就任したなでしこジャパンは大きく変わった。すでに日本女子サッカーの象徴だった澤穂希は引退し、佐々木則夫前体制でチームの核を担った宮間あや、大野忍も徐々に代表からは遠ざかっていった。

 代わりに台頭してきたのが、長谷川唯や籾木結花といった若手。世代交代が進むチームで、いつしか岩渕は上の年代となり、2011年のワールドカップ優勝など”黄金時代”を知る数少ない選手となった。
 
「澤さん、宮間さん、他の先輩ももちろんですけど、会うと『頑張ってね』とか、『期待しているから』って言われたりして、やらなきゃなという気持ちにはなっています。でも正直そういう人たちにはなれないと思うので、自分なりに、今まで経験させてきてもらったことをピッチのなかで、自分がまずは率先してやって、他の選手に何かひとつでも感じ取ってもらえるようなプレーが出来たらいいです」

 チームが韓国入りした12月9日の時点では、まだ今大会のキャプテンは発表されていないが、自分なりにチームメイトを引っ張るという岩渕のスタンスは、腕章を巻いていようと巻いていなかろうと、大きくは変わらない。

「正直誰がキャプテンをやってもいいと思っています。自分がもしやったとしても、特に変わることはないというか。もちろんつけることで生まれる責任感もあるかもしれないですけど、個人的には紗希がキャプテンの時でも、自分なりにやっているつもりなので。そういう選手がひとりでも増えたら、チームとしても強くなりますし、キャプテンどうこうというよりは、全員が責任感を持ってやれたらいいんじゃないかなと思います」

 A代表デビューを飾った試合は、奇しくも、東アジア選手権(E-1選手権の旧称)の中国戦だった。それから約10年が経ち大人になった岩渕は、あくまで自然体でエースの仕事を全うする覚悟だ。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)