アクセスが困難な絶壁や橋梁、ダムやビルの壁面など過酷な場所で調査や補修を行う企業、特殊高所技術(株式会社特殊高所技術)。そんな作業現場で安全に作業を行うには、より吟味された機器が必要になる。同社が、その厳しい環境の中で安心に使えるタブレット野帳として開発したのが「T-NOTE」だ。東京ビッグサイトで12月4日から6日まで開催された「社会インフラテック 2019」(主催 インフラメンテナンス国民会議、日本経済新聞社)で同製品を初めて外部に公開していた。特殊な環境で使われるタブレット野帳はどのようなものかレポートしよう。

タブレット野帳「T-NOTE」。インフラテックの特殊高所技術ブースより

同社の社名にもなっている"特殊高所技術"は、橋梁やダムの壁面、巨大建築物の壁や絶壁に近い法面などのアクセスの困難な高所で高強度のロープやハーネス、特殊高所機材と呼ばれる装備品を活用して調査点検、非破壊検査、補修工事などを行う技術。非常に過酷な場所で行われる作業が多いため、何よりも安全が重要な世界だ。そんな困難な現場で活用できるタブレットアプリとして開発したのがタブレット野帳「T-NOTE」だ。

特殊高所技術(公式Webサイト)

タブレット野帳「T-NOTE」のコンセプトは、アナログを目指したデジタル。過酷な現場で活用するには、できるだけ機能を絞り、操作もできるだけシンプルな方がよい・・・アナログの手帳でスケッチするようにCADデータにスケッチできるのか?がこのアプリケーションの特長だ。CADデータを表示し、そこにペン器具を使ってスケッチや文字の入力を行うという一見単純に見える動作も危険が隣り合わせの現場では細かいニーズが見えてくる。近年見落とされがちな、このシンプルで着実な使い勝手の向上を目指している。実際に同社では、このアプリケーションを活用して、検査対象の損傷個所のスケッチ、サイズの記載。損傷のメモなどCAD作成に必要な要素を記入し、データ化に活用。特殊な環境での業務をしなければならない同社が改良を重ねている。

ペンを使った入力は、紙に書くのにかなり近い操作感を実現している。CADの画像に損傷個所のスケッチやメモを記入する

テキストの入力もご覧のようにササッと大きめのテンキー画面で行う

ペンを使った自然な書き心地だと計算されたシンプルさ。同社の公式ページにも掲載されているが特殊高所技術の作業現場は、群を抜いて過酷な場所が多い。できることも限られてくるのだ。いろいろな機能があっても混乱するだけで時間も機会も無駄になる。むしろ、その機能をできるだけ絞ってそれを使いやすくしたほうがよい。それが、同社の"アナログを目指したデジタル"なのだ。

検査の現場では、たくさんの写真を撮る。写真を撮った日付場所のデータもペン入力で簡単に記入できる。当然撮影はタブレットで行える

保存したスケッチデータは、AutoCADのデータフォーマットDWG形式で保存されるので、そのまま納品データとして活用できる。従来は、手書きでスケッチしたデータを改めてCADでデータ化する作業が必要であったがその工程を削ぎとしている。

必要な機能をまとめた左側のメニューで操作を選択。設定もカンタンに

複数のCADデータを閲覧。ズームやデータ選択もスムーズだ

今回、展示された「T-NOTE」は、まだ開発中のもので外部に公開するのは今回初めてとなる。ブースの担当者によれば、展示会や事前に話をいただいた企業にサービスを提供し、充分にヒアリングして機能の改善を行った後に、2020年内にリリースを予定しているという。