クルマを楽しむためにはまだまだ有効!

 教習所で習う運転の基本とは別に、クルマを華麗に操るために存在するさまざまなドライビングテクニック。しかし、ここ最近では車両の進化が目覚ましく、クルマが代わりにやってくれるようになったものや、そもそもそのテクニックに必要なものが消滅してしまっているものなども増えつつある。

 もちろん純粋にドライビングを楽しむためにはまだまだ有効な技術であり、今後も消滅することはないと思うが、忘れ去られることのないようにという思いも込めてここで改めて紹介したい。

1)ダブルクラッチ

 通常、MT車でシフトチェンジをするときはクラッチペダルを踏み込み、シフトを操作し、クラッチペダルを戻すという動作が必要となる。このとき、クラッチペダルを切るだけでスムースにシフトチェンジができるのは、各ギヤの回転差をなくすシンクロナイザー(シンクロ)が備わっているからなのだ。

 このシンクロがないと、回転数の異なるギヤにシフトをムリヤリ入れることになり「ギャギャギャ!」と悲惨な音が響き渡ることになる。そうならないように、次に入れるギヤの回転を合わせるため、クラッチペダルを踏んでギヤをニュートラルにした状態で一旦クラッチペダルを戻し、アクセルをあおって適切な回転数まで上げてから再度クラッチペダルを踏んでギヤを入れる、というのがダブルクラッチとなる。つまり1回の変速で2回クラッチペダルを操作するためにダブルクラッチというわけである。

 もちろんゆっくりやっているのではいつまでたっても変速できないので、かなりの素早さが要求されるテクニックであった。もちろん最近ではシンクロも進化しているので、そのまま難なくシフトチェンジが可能となっている。

操る楽しさが醍醐味なのに! MT車の機能も自動化

2)ヒール&トゥ

 これも「シフトチェンジをする際に回転数を合わせてあげる」という目的という意味ではダブルクラッチに似ているが、こちらは減速しながらシフトダウンをするための技術。これはコーナー直前で減速と共にあらかじめシフトダウンをしておき、コーナーを抜けたあとにスムースに加速するためのテクニックとなる。

 もちろん、シフトダウンしてそのままクラッチを繋いでしまうとエンジン回転数がアンマッチとなるため、急激にエンジンブレーキが発生して挙動を大きく乱してしまうことになる。そうならないように、つま先でブレーキペダルを踏みながら足首を回してかかとでアクセルペダルをあおって回転数を合わせるというのがヒール&トゥである。

 しかし、最近ではMT車でもシフトダウンをすると自動的に回転数を合わせてくれる機能を持った車種が存在しており、ブレーキングに集中することができるようになっている。

3)サイドターン

 ジムカーナやドリフト競技などではまだまだ現役のテクニックであるサイドターン。これはその名のとおりサイドブレーキ(パーキングブレーキ)を使用して瞬間的に後輪をロックさせ、小まわりを利かせたりドリフト走行のきっかけに使うものだ。

 しかし、最近ではパーキングブレーキが電動化される車種が増えており、ターンやドリフトのきっかけに使うことはおろか、引き加減によって減速力を調整することもできないため、補助ブレーキ的な使い方すらできなくなってしまっている。