プロのフォント使いを実例から解く
気になるフォント、
知りたいフォント。

デザインの構成において、最も重要な要素の一つ「フォント」。本コーナーでは、無数の選択肢から導き出されるプロのフォント使いを、素敵な実例ベースで紹介していきます。(記事一覧はこちら
今回取り上げるのは、書籍『“よむ”お酒/パリッコ、スズキナオ』です。
2019年12月5日 取材・文 山口 優『“よむ”お酒/パリッコ、スズキナオ』
書籍/2019/イースト・プレス(URL

●Designer+Illustrator:カヤヒロヤ[コニコ](URL

丸ゴシックをベースに使いゆるくて楽しい感じに

人気酒場ライターふたりによる酒飲みユニット「酒の穴」が著した初エッセイ集。「会社の飲み会」や「酒のシメ問題」「粋な飲み方」など、酒にまつわるあれこれがゆるーく、ぬるーく、たまに真剣に書き綴られている。表紙カバーは「お酒の中に広がる宇宙空間」をコンセプトに、ほんわかしたタッチのイラストやタイトル文字で、著者ふたりのゆるくて楽しい雰囲気が表現されている。

使用フォント1(メインタイトル)
「筑紫A丸ゴシック B」
温かな丸ゴシック体で
ゆるくて楽しい感じに

著者の人柄や本の内容に合わせてゆるくて楽しい空間を演出するため、文字要素はすべて丸ゴシック系の書体が検討された。そのうちメインタイトルの文字は一般的な丸ゴシック体のデジタルフォントとは一味違う温かで味わい深いラインを持つ「筑紫A丸ゴシック B」(フォントワークス)がベースに。全体のバランスを意識して長体をかけ、読者の目を引くようにレイアウトされている。

使用フォント2(タイトルの欧文)
「JAF Domus Titling Bold」
丸みのある文字で
POPかつスマートに

タイトルのローマ字表記部分は、伝統的なローマン体の骨格をベースにしたラウンド系のサンセリフ体「JAF Domus Titling Bold」(Just Another Foundry)。POPな雰囲気を出すため、メインタイトルと相性がよく、丸みがありつつもスマートな印象の書体が選択された。

使用フォント3(著者名)
「UD新丸ゴ H」
メリハリを意識しつつ
親しみやすい書体に

著者名や出版社名の文字は、ユニバーサルデザインに配慮した判読性の高い丸ゴシック体「UD新丸ゴ H」(モリサワ)。ここではメインタイトルとメリハリをつけるため、クセの少ないシンプルで親しみやすい書体をチョイス。

気になるフォント、 知りたいフォント。
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